おいしくワインを飲みながら楽しめるお話をご紹介する「ワインに合うつまみ話」。
第8回目のメニューは「炭焼き人風」という、職人気質な名前がついたパスタのお話。
ローマ出身のこのパスタ、どんな特徴があるのかご紹介します。
炭とは真逆の白系パスタ
イタリア料理の名前を調べてみると、以前ご紹介した「暗殺者風」や「漁師風」のように「〜風」というネーミングの料理が多く存在します。
しかも、なかなかトリッキーな名前というのもイタリアならではなのかも。
今回ご紹介する「炭焼き人風」のパスタ、これって実は「カルボナーラ」のこと。
このカルボナーラが大好物という人も、結構多いことと思います。
イタリアンレストランに行くと、必ずカルボナーラを注文する筆者の友人は、お店によって味や食材が違うため、確認をせざるを得ないのだとか。
そんな、シンプルだけど奥深いカルボナーラ。
その名前の由来は諸説あるのですが、有力なのが炭焼き職人が炭を焼きながら、その火を使って作ったのがカルボナーラという説。
ローマ東南部の山間部発祥とされるカルボナーラ。
スパゲッティとたまご、グアンチャーレ(豚ホホ肉の塩漬け)、ペコリーノチーズという、この地域ではお馴染みで持ち運びしやすい食材で作られたのがきっかけのようです。
では、なぜ黒胡椒をかけるのか。
それは、炭焼き人が調理する際、炭がパスタにかかったからという説が。
いまでは、黒胡椒を炭に見立てて最後にかけるのが、美味しさの決め手になっているそうです。

絶妙な方言が隠し味
先出で「炭焼き人風 = カルボナーラ」とご紹介しましたが、イタリアの標準語だと炭焼き人は「カルボナイオ(carbonaio)」。
この地域では、方言で炭焼き人風を「カルボナーロ(carbonaro)」と呼ぶため、このパスタはカルボナーラという名前になり、ローマからイタリア全土、そして世界に広まった料理なのです。
実は、ローマの絶妙な方言が名前をおいしく、そして覚えやすく味付けしていたのですね。
だからこそ、カルボナーラの仕上げは必ず黒胡椒。これは、この名前を意味する上でも、鉄則の掟と言えるのです。

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