トスカーナ地方のお菓子・スイーツの作り方〜農民菓子編〜

さて、前回に続きトスカーナ地方のお菓子達の今回は秋の味覚たっぷりの農民菓子をご紹介します。

トスカーナの農民菓子

トスカーナ州では貴族菓子と共に農民菓子が同時に発展した地域で、贅を尽くした貴族菓子に対して農民菓子は、季節に沢山収穫出来た食材を使ったシンプルな行程のお菓子が殆どです。
いくつかの農民菓子は何百年にもわたって作り続けられていて、今でも季節のお菓子として愛され続けています。その理由は手近にある材料を使って簡単で美味しいから。世界中のどの地域の農民菓子でもこの法則で出来ていますね。

トスカーナ州での秋の味覚

トスカーナ州での秋のではこの季節はトリュフやポルチーニ茸などのきのこ、かぼちゃやさつまいも、そして栗、フルーツでは葡萄、イチジク、柿など秋ならではの産物が並びます。
特に有名なのが栗。丘陵地が広がるトスカーナは栗の一大産地として有名で各地で栗祭りが開かれ、多くの人で賑わい、焼き栗や栗のお菓子や料理の屋台が並びます。
栗は栄養価が高く、古くから貧しい農民達の貴重な栄養源として料理にしたりお菓子にしたりと様々な形で食されてきました。栗を粉にした栗粉もその一つ。粉状に挽いて作られた栗粉に水を加えただけで作る素朴なお菓子は、ほんのり甘い栗粉の味が味わえます。
個人的に感動したのがイタリアの焼き栗(Caldarroste)の屋台。
殻のままホクホクに焼かれた栗は自然の甘さがいっぱい。イタリアの栗は日本の栗よりも皮が薄く剥きやすいのが特徴です。
また、季節に収穫出来たフルーツを使ったお菓子も外せません。ぶどうやイチジクなどを使ったお菓子も秋の風物詩の一つです。また沢山収穫した果物はコンポートにして保存するのも定番です。

それでは早速レシピをご紹介します。

カスタニャッチョ

トスカーナの人々が大切にしている農民菓子の一つで、砂糖や卵、動物性油脂も入らないシンプルで素朴なお菓子です。栗粉とドライフルーツの甘みがしみじみと美味しく、合わせる飲み物はコーヒーというよりも甘めのワインやヴィンサントという食前酒と一緒にいただくのが定番です。

＜作り方＞

１　オーブンを180度に余熱する。
２　栗粉をボウルにふるい入れ、水を少しづつ加えながら泡立て器で滑らかになるまで混ぜる。
３　松の実、くるみ、レーズンを飾り用に少々残し、残りを２に加え、混ぜ、塩を加えて混ぜる。
４　型にオリーブオイル（分量外）を塗り、３を流し入れ、飾り用に取り置いた松の実、くるみ、レーズン、ローズマリーを散らし、オリーブオイルを全体にかける。
180度に温めたオーブンで35分程焼く。

イタリア産の栗粉は製菓店やインターネットで購入できます。
ほろ苦い味が特徴でクレープ生地の中に混ぜても美味しいです。

スキアッチャータ　コン　ウーヴァ

秋、葡萄の収穫期になるとトスカーナのパスティッチェリアに並ぶ、葡萄をたっぷり乗せたフォカッチャ。フォカッチャ生地に葡萄の果汁が染み込んで、噛み締めるごとにジュワッと出る果汁とパンの表面のカリッとした食感のコラボレーションが美味しい一品です。

＜作り方＞

１　ボウルにAの材料を入れ、混ぜ、ひとまとまりになったら取り出し、滑らかになるまでこねる。
２　１を丸めて、生地の継ぎ目を下にしてオリーブオイルを塗ったボウルに戻し、ラップをして電子レンジの発酵モードで（もしくは温かい場所で）1時間程、生地が2倍に膨らむまで発酵させる。
３　２の空気を抜き、オーブンシートを敷いた天板におき、厚さ1センチ程の好きな形に成形する。
４　葡萄を全体にのせ、グラニュー糖をふる。
５　180度のオーブンで25分程焼く。

伝統的には小粒で種が大きくて甘いカナイオーロ種という葡萄を使いますが、今回は年中手に入るレッドグローブで代用しました。

素朴で力強いトスカーナの料理には土っぽい器がよく合います。
お菓子に合わせる器はイタリア製でなくてもテイストが同じ陶器をよく使います。

プルーンのコンポート

スパイス入りのコンポートはそのままいただくだけではなく、チーズと合わせてワインと一緒にいただいても美味しいです。冷蔵庫で1週間程保存可です。

＜作り方＞

１　コンポートを作る。水500mlにコンポート液の材料を全て入れ、火にかける。一煮立ちしたら、プルーンを入れて弱火で5分煮る。
２　火からおろし、そのまま冷まし、保存容器に入れる。

フルーツをいただいた後のコンポート液は使い回し出来ます。イチジク、洋梨、プラム、りんごなどで作っても◎。

いかがでしょうか。
トスカーナの農民菓子達は飾り気がなくて素朴で優しい味がします。そしてなぜかまた食べたくなるから不思議です。まるでトスカーナそのものを表している様に。
作り方はどれも簡単です。是非トライしてみてくださいね♪