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トスカーナ地方のお菓子・スイーツの作り方〜宮廷菓子編〜

トスカーナ特集KV

ルネッサンス期のヨーロッパの文化を牽引した都市フェレンツェを擁するトスカーナ州は、メディチ家の繁栄により宮廷菓子が発展した一方、良質な小麦と美しい丘陵地帯で収穫される栗を材料とした素朴な農民達が作るお菓子が多く作られています。手に入る身近な食材を無駄なく使い、美味しく作り上げる精神は今も受け継がれており、今でも伝統的なお菓子達がパスティッチェリアに並び、愛され続けています。

トスカーナ地方のお菓子・スイーツの作り方〜宮廷菓子編〜

宮廷菓子は14世紀から15世紀にかけてのルネサンス期、メディチ家とサヴォイア家と諸外国王家との晩餐会で発達し、ヨーロッパの菓子文化に多大なる影響を与えました。マカロン、フロンタンなどのプチフール、フルーツの砂糖煮などのシャム、シャーベットなどの氷菓など、そしてメディチ家のカテリーナ・デ・メディチがフランスのアンリ二世に嫁ぐ際にフランスに伝えられ、フランス菓子の元祖ともなりました。

ズッパ イングレーゼ

ズッパ イングレーゼ

スポンジケーキにアルケルメスというスパイスを漬け込んだ真っ赤なリキュールを染み込ませて、カスタードクリームと重ねたドルチェ。カトラリーを早い時期から使用していたイタリアでは、この時期にスプーン菓子(プリンやムースなど)という新しい分野が生まれました。
アルケルメスの代わりに手に入りやすいグレナデンシロップを使用し、カスタードクリームはレンジで手軽に作れるレシピをご紹介します。

<材料(グラス2個分)>

市販のスポンジ ― 50g
〜カスタード〜
卵黄 — 1と1/2個分
砂糖 — 35g
コーンスターチ・薄力粉 — 各大さじ1/2
牛乳・生クリーム — 各大さじ5
バニラエッセンス — 少々
〜シロップ〜
グレナデンシロップ ― 20ml
キルシュ ― 10ml

生クリーム ― 100ml
砂糖 ― 小さじ1

<作り方>

1 カスタードクリームを作る。卵黄と砂糖を混ぜ、粉類を混ぜる。牛乳と生クリームを少しずつ加え、網で漉す。
2 1を耐熱容器に入れ、レンジ(500W)2分加熱し、全体を混ぜ、さらに様子を見ながら30秒ずつ加熱する。とろみがついたら冷ます。
3 グラスの1/4の高さに1.5センチ角に切ったスポンジ生地を敷き、シロップを染み込ませる。カスタードクリームを1/2の高さまで入れる。もう一度同様にする。
4 生クリームと砂糖を合わせて8分立てにし、絞り袋に入れ、デコレーションする。

ズッパ イングレーゼ

ズッパ イングレーゼ

グレナデンシロップは、ザクロの果汁から作られる鮮やかな赤が美しいシロップ。
本来はアルケルメスというスパイスを漬け込んだものを使用します。昔は赤い色を出すために カイガラムシの一種!のエンジムシから作った着色剤を使っていました。

ズコット

ズコット

ルネッサンス期に冷凍技術が誕生し、イタリアンのデザートセミフレッド(半分凍った)という新しいお菓子のジャンルが生まれました。イタリアンのドルチェの定番「ズコット」は、聖職者がかぶる小さな円形の帽子zuccottoから由来。
イタリアのパスティチェリアでは生クリームやカスタード、リコッタクリームなど様々なズコットのバリエーションがありますが、今回はオリジナルのマスカルポーネクリームを使用したレシピをご紹介します。

<材料(直径15センチのドーム型)>

市販のスポンジ生地 ― 75g
〜マスカルポーネクリーム〜
生クリーム(乳脂肪が高いもの) ― 200ml
マスカルポーネクリーム ― 100ml
砂糖 ― 大さじ2
アーモンド(粗みじん切り) ― 30g
ヘーゼルナッツ(粗みじん切り) ― 30g
オレンジのシロップ煮(粗みじん切り) ― 50g
ビターチョコレート(粗みじん切り) ― 50g
〜シロップ〜
グレナデンシロップ ― 40ml
キルシュ ― 20ml

ココアパウダー ― 適量

<作り方>

1 マスカルポーネクリームを作る。生クリームに砂糖を加えてしっかり泡立て、マスカルポーネチーズを加えて混ぜ合わせる。全ての材料を混ぜ合わせる。
2 スポンジ生地は5ミリの厚さのものを3枚作り、1枚は放射線状に切る。1枚は縦に4等分に切る。残りは蓋用にする。
3 直径15センチのボウルに大きめにサランラップを敷き、2を隙間なく敷き詰める。
4 3に混ぜ合わせたシロップを刷毛で染み込ませ、1のクリームを詰め、スポンジ生地で蓋をし、冷蔵庫に一晩置く。
5 型を逆さにし、ココアパウダーをふる。

ズコット

ズコット

ズコット

放射状にする部分は底にし、側面は縦に切り分けたものを貼る。

フロランタン

フロランタン

カテリーナ・デ・メディチがアンリ2世のもとへ嫁ぐときにイタリアから伝えたお菓子で、「フロランタン」は「フィレンツェの」という意味。丘陵地が多いこの地方ではアーモンドなどの木の実を使ったお菓子が多いのも特徴です。一度に沢山作れるのでプレゼントにも最適です。

<材料(20センチ×20センチ)>

〜生地〜
バター ― 100g
砂糖  ― 60g
卵 ― 1個
薄力粉 ― 200g
〜トッピング〜
バター・はちみつ ― 各30g
砂糖 ― 60g
生クリーム ― 大さじ3
アーモンドスライス ― 100g

<作り方>

1 バターを常温に出し、柔らかくなったら泡立て器でクリーム状になるまで混ぜ、砂糖を加え白っぽくなるまでよくすり混ぜる。
2 溶き卵を少しずつ加え、その都度混ぜる。
3 薄力粉をふるい入れ、ゴムべらでさっくり混ぜ合わせ、ひとまとめにしてラップで包み、冷蔵庫で30分以上休ませる。
4 オーブンを200度に余熱をする。
5 3の生地を20センチ角にめん棒で伸ばし、オーブンシートを敷いた天板に乗せ、フォークで所々穴を開け、15分程焼く。
6 5の焼き上がりに合わせてトッピングを作る。鍋にアーモンド以外の材料を入れて、火にかけ、煮立ったら弱火にして混ぜながら煮詰める。薄いきつね色になったら火を止め、アーモンドを加えよく混ぜる。
7 オーブンを170度に余熱する。5に6をまんべんなく乗せ、表面をならす。
8 170度のオーブンできつね色になるまで15分程焼く。
9 取り出し、まだ熱いうちに好みの大きさに切り分ける。

フロランタン

フロランタン

アーモンドの層が割れやすくなってしまうのなるべく早い段階で切り分ける。

パスティチェリアに並ぶお菓子達には歴史があるものが数多くあります。ルネサンス期に生まれたお菓子達は、その完成度の高さから時代の豊かさをうかがい知る事ができます。
次回は同時に発達を遂げた農民菓子をご紹介しようと思います。

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