スペシャルレシピでクリスマスを忘れがたいものに
今回はサルディーニャ島料理教室を主宰するクラウディア・カズさんに、クリスマスを家族で楽しく過ごすためのスペシャルレシピを教えてもらいました。
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「みなさん、こんにちは。私はサルディーニャ島で生まれ育ち、ローマやロンドン、東京でグラフィックデザイナーをしていました。日本では母や祖母が作っていたサルディーニャ島の料理の趣味が高じて、友人に教えるほどになっていしまい、現在は「SARDEGNA COOKING STUDIO」料理教室を主宰し、料理好きのアマチュアからプロのシェフまで生徒さんがたくさんいます。今回は家族で楽しめるレシピを作ります。思ったよりも簡単ですので、ぜひ挑戦してみてください。お店では食べられない愛情こもったラザーニャ、スフォリア・タタミを作ってみましょう」
Sfoglia Tatami(スフォリア・タタミ)の作り方
オーセンティックなラザニア=スフォリアですが、すべてを手作りすることで深い味わいがでます。
また最上部を日本の畳のように繊細に編み込むことで、見た目の美しさもあり、クリスマスの料理に最適といえるでしょう。
材料
ラザニア(スフォリア)生地
セモリナ粉 200g
ぬるま湯 90g
塩 ふたつまみ
ラグーソース
牛・豚肉挽肉 200g
たまねぎ 70g
にんじん 70g
セロリ 70g
無塩バター 20g
San Giulianoエキストラバージンオリーブオイル 15g
バジル、塩
オーガニックトマト缶詰 1つ
ベシャメルソース
牛乳 300ml
薄力粉 30g
無塩バター 30g
塩、ナツメグ
パルミジャーノレッジャーノ(粉) 100 g
※耐熱容器は18x18cmを使用
※今回のレシピは4人分です
STEP1 ラグーソースは前日に作って寝かせます
ラグーとは煮込みの意味です。日本ではミートソースと呼ばれるソースを今回は使います。
牛と豚の挽き肉を各100gを用意してください。「牛豚の合い挽き肉も売っていますが、別々で購入した方が、生産地などを確認できるので安心です」とクラウディア・カズさん。
まずは玉ねぎ、にんじん、セロリをみじん切りにします。
たまねぎ、にんじん、セロリの順でオリーブオイルでいためます。「鍋に火を入れる前に野菜を入れ、バターとオリーブオイルを順に入れておくのがポイントです」とクラウディア・カズさん。火加減を調整しやすく、焦げにくくするのがその理由。
「オリーブオイルの品質をケチると全体の味を落とすことにもなります」とクラウディア・カズさん。
野菜に火がある程度通ったら挽き肉を加えてさらにいためたら、オーガニックトマトの缶詰を投入。このトマト缶も安いものはまずいです。イタリアのオーガニックものを推奨します。
コトコト煮込んで水分がなくなってきたら一晩寝かせます。寝かせることでソースが馴染むのです。
STEP2 手作りラザニア(スフォリア)生地がおいしさの秘訣
食べる当日に、スフォリア生地を作ります。スフォリアの生地は、パスタ同様に市販のものもありますが、せっかくのクリスマスですのでここから手作りしましょう! 思ったよりも簡単ですから、ご安心ください。
セモリナ粉をボウルに入れ、ぬるま湯(40度くらい)を少しずつ加えていきます。この時のポイントは、ぬるま湯を直接セモリナ粉へかけず、かならず手の甲を介して加えていく点にあります。約40度のぬるま湯がセモリナ粉と合わさることで全体が人肌になることを意識しましょう。
4、5回にわけてぬるま湯を入れ、塩を加えながら、その都度生地をこねましょう。ちなみに、サルディーニャ島のスフォリアは卵もオリーブオイルも使わないのがポイントです。シンプルでソースの味わいを堪能できるスフォリア生地が出来上がります。
セモリナ粉が一塊になったらボウルから取り出し、まな板の上でこねます。粉っぽさがなくなったらボウルに戻して、まな板で蓋をして30分ほど寝かせます。
スフォリア生地を伸ばします
30分ほど寝かせたスフォリア生地を半分に切ります。半分を麺棒で伸ばしていきます。
向きや表裏と場所を変えながら数回伸ばします。
厚さが1㎜ほどになったら完成です。
Tatamiのような繊細な編み込み方とは?
大きな一枚生地のスフォリアを上手にカットするコツは、容器を定規代わりに使うことです。生地の上に容器を置いて、その内側を目星に包丁で切ります。ちなみに、スフォリアは5枚以上重ねないと美味しくなりません。
ナイフはヌーオロ市出身”Franco Piredda”さんにオーダーして作ってもらったものです。
さて、今回のスフォリアのなかでスペシャルなのが最上部の、畳のように繊細な編み込みです。まずは短冊状に生地にタテの切れ目をいれます。すべてをカットせず、上部で繋がるようにします。
横に編み込んでいくスフォリアはすべて切っていきます。
上部の繋がったスフォリアの短冊の横へ、カットしたスフォリアを編み込んでいきます。完成したものは複雑ですが、こちらの動画のように、実は単純な作業の繰り返しです。
しかし、丁寧に編み込まないと完成したラザーニャが崩れやすくなってしまいます。お子さんと一緒にやってみてはいかがですか? クリスマスの思い出となることでしょう。
STEP3 ベシャメルソースを作る
日本ではホワイトソースと呼ばれるベシャメルソースを作ります。このソースはとにかく焦がさず、じっくり、じっくり熱を加えることが肝心です。
まずバターを30g、ソースパンに入れます。まだ火をつけないでくださいね。そこに薄力粉を加えてから火をつけます。バターがすぐに焦げてしまうので、弱火でじっくり。薄力粉の粉っぽさがほぼなくなったら、牛乳を入れてください。
ここでもじっくり、沸騰させないよう、かき混ぜながら。
ある程度火が通り、粘り気が出てきたらナツメグで香りづけします。粉上になったものも売っていますが、都度、すりおろすと香りが全然違います。
STEP4 スフォリアことラザニアを重ねて複数形のラザーニャに
ラザニアとは単数形で、何枚も重ねるので複数形のラザーニャ(ラザニエ)となります。
さて、材料が揃いました。スフォリアは茹でません。またここでパルミジャーノレッジャーノの出番です。チーズはやはりこれの粉が一番。決して安価なとろけやすいチーズを使わないでください。あくまでシンプルかつ上質な食材で作るのが、サルディーニャ島、イタリアの料理の本質ですから。
まずは、一番下にラグーソースを伸ばします。最下層にスフォリアを敷くと、焼けた際に器にくっついてしまいます。
その上にスフォリア、ラグーソース、ベシャメルソース、パルミジャーノレッジャーノの順にのせていきます。さらにスフォリアをもう一枚引いて、手で軽く押します。それからラグー、ベシャメル、パルミジャーノレッジャーノのソースを順に。
それを数回繰り返し、最後に編み込んだスフォリア=Tatamiをのせ、残ったベシャメルソースとパルミジャーノレッジャーノをかけます。
STEP5 いよいよオーブンで焼き上げます
200度の余熱となったオーブンにスフォリアを入れます。180度で30分ほど焼き上げれば完成です!
「スフォリアは大人も子供喜ぶ料理としてイタリアでも人気のメニューです。使う食材は少ない分、それぞれを上質なものを選ぶのがポイントです。また、イタリア人はレシピのグラムや切り方を数値化しない特徴があります。目分量や味見して、となるわけですが、それは季節(気温、湿度)や食材の状態によって、数字は変わってくるのがその理由です。それを克服するためには、とにかく怖がらず、作ってみて、成功と失敗を繰り返し、自分のものにしてください」とクラウディア・カズさんはアドバイスをくれました。
とはいえ、一人で作るのはちょっと怖い……という方は、ぜひ一度クラウディア・カズさんが主宰する「SARDEGNA COOKING STUDIO」料理教室を訪れてみてください。カズさんのご自宅で開かれるレッスンは、文字通りアットホームそのもので、必ず腕が磨かれ、家族は大喜びすることでしょう。家族の喜びは貴方の喜びなのですから。
次回は、クリスマスならではのテーブルコーディネートをご紹介します。
SARDEGNA COOKING STUDIO
サルディーニャ・クッキングスタジオのお問い合わせ先
https://www.facebook.com/SardegnaCookingStudio/
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