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本場イタリア人が教える、おうちで美味しいエスプレッソを楽しむ方法

あなたは一日にコーヒーを何杯飲みますか?全日本コーヒー協会の統計によると、日本では一人1週間当たり約10杯以上のコーヒーを飲むそうです。そしてその半数以上は、自宅で飲まれています。


そこで今回は、おうちでもコーヒーを楽しみたいあなたのために、日本でイリ―コーヒー大学の講師も務めるイタリア出身のステファノ・カヴァリエーリさんに、本場イタリア直伝、自宅で美味しいエスプレッソを楽しむ方法を伺いました。


イタリア人にとってのコーヒーとは

イタリアのコーヒーバルのイメージ

―――イタリアと言えばコーヒーのイメージが強いですが、イタリアでは一日にどれくらいコーヒーを飲みますか?


イタリア人は1日平均1~2杯コーヒーを飲みますが、多いときは4~5杯飲むこともあります。毎年公開されている統計を見ると、イタリアンバールで飲むコーヒーがイタリア人に一番好まれています。もちろん、家で飲むことも多いです。


―――ちなみにステファノさんさんは、一日にどれくらいコーヒーを飲みますか?


私は1日に3杯飲んでいます。集中力をアップさせるため、とても大事な3杯です!仕事のUdC(イリーコーヒー大学)のバリスタ向けのセミナーで教えるときは、受講生から20杯以上飲まされますので、コーヒーが大好きな私でも、さすがにそれは多すぎて困ります・・・。笑


―――20杯以上!?すごい数ですね。イタリアではどんなコーヒーを飲みますか?


まず、イタリア人にとっては「コーヒー」イコール「エスプレッソ」という方程式がとても強いです。イタリアンバールで「un caffè perfavore(訳:コーヒーをください)」と頼むと、バリスタは何も確認せずにエスプレッソを用意してくれます。
もちろん、イタリアンコーヒーは他にたくさんのアレンジメニューがありますね。ミルクや、チョコレートソース、ココアパウダーはよくアレンジに使われている材料です。


時間帯別にみると、朝はカプチーノ(エスプレッソにフォームドミルク)を飲みます。これがないと一日が始まりません!カプチーノはどちらかというと、イタリア人にとっては「朝ごはん」そのものですね。全国的にCornetto(クロワッサン)かBiscotti(イタリアのビスケット)をカプチーノに漬けて食べる習慣があります。


そして、午前中の休憩時間(10時半ぐらい)にエスプレッソを一杯飲みます。ランチの後にも消化を助けるためにコーヒーを飲みますね。このタイミングでは、チョコレートを使用したのものか、フォームドミルクを入れたものなどもよく飲まれています。たとえば、人気のある「マロキーノ」は、チョコレートソース、エスプレッソ、フォームドミルクとココアパウダーで作られているもので、甘くて美味しいデザート的な飲み物です。


夜になるとコーヒーを飲む人はぐっと減ります。ディナーの後のコーヒーをあきらめられない人は、エスプレッソ(デカフェが多い)か、Corretto(直訳:訂正された)というお酒入りのエスプレッソを飲んでいますね。


―――コーヒーに始まり、コーヒーで終わる。イタリアらしいですね。日本とイタリアのコーヒーで大きな違いはありますか?


日本では間違いなくホットコーヒーが一番飲まれていますね。自分のデスクであろうとカフェであろうと、町を歩きながらであろうと、ホカホカのコーヒーを「ゆっくり飲む」のがキーワードです。


一方、イタリア人にとってコーヒーを楽しむポイントは飲むことではなく、飲んだ後に口に残るアフターテイストを堪能することです。これは一番大きな違いですね。


他にも、イタリア人はアイスコーヒーを飲まないということを知ってましたか?
唯一のコールドメニューは「シェケラート」と呼ばれているものですが、それもエスプレッソベースとなっており、ワンショットで飲めるぐらいのショートなドリンクで、日本のアイスコーヒーとはだいぶ異なります。


illyコーヒー

自宅で美味しいエスプレッソを楽しむ方法

―――自宅でエスプレッソを淹れるにはどのようなアイテムが必要ですか?


「エスプレッソ」を抽出するためには「エスプレッソマシン」が必要ですが、なかなかそこまでこだわっている人は少ないと思います。そんなとても忙しい今の時代でトレンドとなっているのは、カプセル式のマシンです。ワンタッチで「エスプレッソ」コーヒーが作れるので、とても便利です。イリーのカプセルシステムは「IPERESPRESSO」と呼ばれていて、バールのエスプレッソと同じコーヒー粉量を使用することと、バールと同じような抽出圧力を出せるという特徴から、リッチなアロマとベルベットみたいに柔らかい口当たりのエスプレッソを生み出すことが可能です。


カプセルマシンがない場合は、家庭用のエスプレッソマシンまたはモカポットもおすすめの器具です!


イタリアで有名なモカポット
モカポット

―――自宅で美味しいエスプレッソを淹れるにはどうすればいいでしょうか?


日本でもモカポットをよく見かけるので、今回はモカポットを使ったエスプレッソの正しい淹れ方をレクチャーしますね。

<モカポットを使ったエスプレッソの淹れ方>

①水タンクのバルブの真下まで水を入れます。
②スプーンを使ってモカ用の粉をフィルターがいっぱいになるまで入れます。この際、粉はプレスしません。
③本体をしっかりと閉めてから、弱火のコンロに直接乗せます。
④コーヒーが抽出され、ポットの上部分に溜まります。抽出口からプシュっと空気の出る音がしたらすぐに火を消して、コンロから外し、コーヒーをスプーンで混ぜてからカップに入れて出来上がりです!お砂糖をお好みで入れます。

―――意外と簡単ですね。美味しいエスプレッソを淹れるポイントなどがあれば教えてください!


どんな器具を使っていても参考になるゴールデンルールは:


1)いつも温かいカップを使いましょう!
カップにコーヒーを入れる前にお湯を入れましたら、さらに長い時間でコーヒーのアロマを保つことが出来ます。


2)器具ごとに、正しい粗さの粉をよく選びましょう!
選んだ器具より、ふさわしい粉の粗さは異なります。もし粗すぎる場合、水っぽいコーヒーになる可能性があり、逆に細かすぎると過剰な苦味とエグミが出るリスクが高いです。


3)コーヒー豆(もしくは粉)を冷蔵庫で保存しましょう!
コーヒーの一番恐ろしい敵は湿気と温度、光です。特にこれから暑くなりますので、気をつけないと高い品質のコーヒーでも、すぐに劣化してしまいます。


4)友達とシェアしましょう!
コーヒーは誰かと一緒に飲むということはお忘れなく。


illyコーヒーアート

さらにエスプレッソを楽しむには

―――これで美味しいエスプレッソがおうちでも楽しめそうですね。他により楽しむポイントがあれば教えてください!


エスプレッソの特徴はショートなボリューム(30cc)と、濃厚な口当たりと液体の上に浮かんでいるクレマ(泡の層)です。この3つのフィーチャーを保護するため、ちゃんとしたカップが必要です。


理想的なカップは:


●底が厚い
より長く保温するため

●縁が薄い
カップを口にするとコーヒーがやや冷えて火傷しないため

●直径が6センチを超えない
広いカップにエスプレッソを淹れるとすぐにクレマが消えるため

●スタイリッシュ
見た目にもこだわったら、完璧なコーヒーエクスペリエンスができます!


―――エスプレッソを楽しむにはカップも重要なのですね。エスプレッソと一緒に楽しむのにおすすめなスイーツは?


エスプレッソは一口程度で楽しむ飲み物ですので、ケーキなどよりは小さなチョコレートと合わせたいものです。illyのようにアラビカ種コーヒー100%で出来上がっているデリケートな味わいのコーヒーに一番相性がいいのは、ビターチョコレートです。先にチョコレートを口にしてからエスプレッソを飲みます。そうすると、エスプレッソがさらにチョコレートのアロマを引き出して、口の中に複雑なアロマがバランスよく広がりますよ。


―――エスプレッソを使ったアレンジメニューなどはありますか?


おすすめのアレンジメニューは「エスプレッソ・ティラミス」といい、名前の通りイタリアの有名なデザートで、illyのごちそうレシピです。今回は特別にエスプレッソ・ティラミスの作り方をレクチャーします。

<エスプレッソ・ティラミスの作り方>

【材料】
illy エスプレッソ 50ml~60ml
バニラ アイスクリーム 80ml
レディーフィンガー 2本
(スポンジビスケット)
ココアパウダー 適量

【作り方】
1)エスプレッソを抽出します。
2)ブレンダーに、アイスクリーム、砕いたレディーフィンガー、エスプレッソを入れます。
3)ブレンダーのスイッチを入れ、レディーフィンガーが細かく砕け、全体が良く混ざったら止めます。
4)グラスにそそぎ、ココアパウダーをしっかりトッピングして、できあがりです。
Buon appetito!
エスプレッソ・ティラミスの作り方(英語サイト)

―――美味しいエスプレッソの淹れ方から、さらにエスプレッソを楽しむ方法まで、本日はたくさんのことを教えていただきありがとうございました!

 
ステファノ・カヴァリエーリ

ステファノ・カヴァリエーリさん

1983年生まれ。ローマ大学で日本とアジアの文化を勉強した後、2012年より来日。イタリアと日本の架け橋となることを望み、初回来日時から様々なイタリアンブランド(主に食材)に携わった。現在はイリー社の代理店のキーコーヒー株式会社にて、UdC(イリーコーヒー大学)のインストラクターと、イリーブランド担当者として活躍中。イリーコーヒー大学のコーヒーセミナーは、一般の方向けのも、バリスタ向けのも担当する。
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