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メンズファッション界にも新風? 変化するピッティ・ウオモにWakapediaが迫る!

ワカペディア、ピッティウオモへ行く!

年に2回、1月と6月にイタリアのフィレンツェで開催される、メンズファッションの展示会ピッティ・ウォモ(通称ピッティ)。イタリアといえば、ヨーロッパの主要ファッションウィークと言われる、ロンドンやパリで発表されるコレクションに比べ、エレガントでクラシックなコレクションが多く見られるというイメージだ。そんなイタリアの中でも、フィレンツェはミラノに比べて、昔から革産業が有名なため、展示会も「革のカバン、革靴、それらの小物に合うスーツ」などをメインとしたコレクションが多い印象だった。しかしここ数年、「ピッティが大きく変わってきている」と言う声を耳にするようになった。そこで今回ワカペディアは、最新のファッション事情を探るべく、ピッティ・ウオモのシーズン真っ只中のフィレンツェへ旅立った!

ピッティウオモ97回のスナップ

フィレンツェ市内に到着すると、入念に手入れされたヒゲ、色使いが上品なスーツやジャケット、くるぶしが見える短め丈のパンツ、綺麗な色合いの革靴でスタイリッシュにキメた、ファッショニスタなちょいワルオヤジ達がいたるところにいた。そんな彼らで溢れるピッティの会場は、とても賑わっているように思えたが、ワカペディアの古くからの友人である世界的ファッション誌の編集長や、某有名セレクティブショップのオーナー、敏腕バイヤーらに話を聞いたところ、「昔に比べて、バイヤーが減った」とのこと。また、「最近はピッティで見るコレクションも昔とジャンルが変わりつつあり、ごちゃごちゃしている」という意見が多かった。「もっとその実態を詳しく知りたい! エスプレッソでも飲んで作戦会議だ!」と思い立ったワカペディア。しかし、自他共に認める(?)ラッキーガールに、神様はすぐに手を差し伸べてくれた!

ピッティウオモのスナップ

エスプレッソを注文したちょうどその時、一本の電話が入った。たまたまピッティに参加していた友人から「連れて行きたい場所があるから、今すぐ来て!」と言われ、慌てて待ち合わせ場所となるファッションショー会場へ。ラッキーなことに、今シーズンの目玉とも言える、特別ゲストとして呼ばれた2名のデザイナーのファッションショーを見ることができたのだ。

招待ショーをチェック!

ピッティウオモの招待ショー、テルファー

一つ目のブランドは、ニューヨーク生まれの Telfar Clemensが2005年に発足したブランドTelfar(テルファー)。型にはまらない、ジェンダーレスなファッションで話題を集めている。彼のショーでは、前日パーティーが行われた会場がそのまま使われ、こぼれたワインのシミやスパンコールが残ったテーブルの上を、ニーハイブーツや、オフショルダーのニットワンピースに身を包んだ、トランスジェンダーのモデルやアーティスト達が歩いた。

ピッティウオモの招待ショー、テルファー

歩きながら歌い始めたかと思うと、突然踊り出すなど、クラシックなイメージのピッティの印象をガラッと変えるような、過激でアバンギャルドなショーだった。

ピッティウオモの招待ショー、ランダムアイデンティティーズ

あまりにも急ぎすぎて、次第にお腹が減ってきた。そう、ここは肉料理が有名なフィレンツェ。今すぐにでも食べに行きたい気持ちを抑えながら、二つ目のブランドとなるRandom Identities(ランダム アイデンティティーズ)のショー会場へ向かった。デザイナーは、Yves Saint LaurentとErmenegildo Zegnaのクリエイティブ ディレクターを務めた経験を持つ、Stefano Pilati(ステファノ・ピラーティ)が独立して立ち上げたブランドだ。

ピッティウオモの招待ショー、ランダムアイデンティティーズ

ショーでは、ヒールを履いた中性的なモデルがランウェイを歩き、ブラジャーやガーターなど、女性のランジェリーをモチーフとしたアクセサリーを取り入れるなど、Telfar同様、ジェンダーレスをテーマとしていた。
服のデザインだけでなく、テイラーとして服の仕立て方法も熟知している彼は、アプローチの仕方がTelfaとは異なり、そのデザインはモダンながらも品がある。全体的には、クラシックな一面もありつつ、斬新なアイディアを取り入れ、服を綺麗に見せるコレクションという印象を受けた。
また、服が売れにくいと言われている時代を意識してか、彼の服は高級ブランド並みの品質を保ちつつも、値段が控えめに設定されている。既存の枠にとらわれず、誰しもが個人に合ったファッションを楽しんでほしい、というメッセージなのだろうか。ジェンダーという現代の踏み込んだテーマを扱っているのにもかかわらず、シンプル且つ綺麗にまとめあげたショーだと言えるだろう。

このように、クラシックなイメージが強かったピッティにも、新しい風が吹き始めている。今回のピッティ・ウオモは、既存のファッション業界のあり方に疑問を投げかけるという印象を受けた。そんな充実した日々の締めとして、ワカペディアチームはフィレンツェの名物料理であるTボーンステーキをたいらげ、ミラノ行きの電車に飛び乗ったのだった。
(しまった、トスカーナ産キャンティを飲み忘れた!)
Article by Wakapedia Japan Team

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