ART & DESIGN

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イリー・アートコレクションズの30周年を記念した特別展が開催中!

今年は、2年に一度ヴェネチアで開催されるヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展の年。本来は2021年に開催予定だったが、パンデミックで1年延期されたこともあって、世界中のアート愛好家は、この時を心待ちにしていた。さらに、今回のヴェネチア・ビエンナーレは、ワカペディアにとって特別な年でもある。2003年からヴェネチア・ビエンナーレのスポンサーを務めているillycaffè(イリーカフェ)が手がけるアートプロジェクト、illy Art Collections(イリー・アートコレクションズ)が、今年で30周年を迎える。イリー・アートコレクションズといえば、これまでにアニッシュ・カプール、アイ・ウェイウェイ、オノ・ヨーコといった様々なアーティストとのコラボレーションカップを手がけてきた。今回は、30年の歴史を刻む、様々なコラボレーションカップに加え、今年のヴェネチア・ビエンナーレのキュレーターであるチェチリア・アレマーニ氏が選んだ、フェリペ・バエザ、ジュリア・チェンチ、プレシャスオコヨモン、アレクサンドラ・ピリチ、笹本亜希、セシリア・ビクーニャとのコラボレーションカップも初披露されているというから必見だ。


ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展会場内にイリー・アートコレクションズのカップが並んでいる写真です。
会場に展示されたカップ
写真提供:Ernesto Ruscio/Getty Images & Giorgio Perottino/Getty

なぜイタリア人は、illy(イリー)を愛してやまないのか?
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なぜイタリア人は、illy(イリー)を愛してやまないのか?

「ITALIANITY」編集部 / 2019.04.19


イタリア生まれ育ちのワカペディアチームは、人生の様々な瞬間をイリーカフェと過ごしてきた。 ヴェネチア・ビエンナーレだけでなく、トキメキも学びもいっぱいのミラノ万博(詳しくはワカペディアの記事をチェック!)、職人技術やデザインに特化したホモ・ファーベル(詳しくはこちらを!)といった、イリーカフェがスポンサーを務める数々の展覧会でお世話になってきたのはもちろんの事、 毎朝、コクのある香りとともに気持ち良い目覚めまで与えてくれる。さらに、イタリアのW杯予選敗退を目の当たりにし、ショックで泣き崩れた私たちを癒してくれたのもイリーカフェだ。そんな「大好きなイリーカフェのバースデーを逃すわけにはいかない!」と意気込んで、ヴェネチアのジャルディーニ・レアーリで6月30日まで開催中の特別展に、いざ出発!


コーヒーメーカー・イリーカフェとアートの関係

1933年にトリエステで創業されたイリーカフェは、世界最高の品質を誇る独自のアラビカ種100%のブレンドを生産していることでも有名だ。毎日800万杯のイリーカフェのコーヒーが、140カ国以上で、バー、レストラン、ホテル、カフェでも飲まれているというのだから、もしかしたら知らず知らずのうちにイリーカフェのコーヒーを飲んでいる可能性もあるかも?!その品質はもちろんのこと、環境保護やサステイナビリティーに対するコミットメントが国際レベルで認証されている。


さらに、社会や環境に力を注ぐだけでなく、私たちの人生にコクを与えてくれるアートも大切にしている。アートと言えば、ギャラリーやオークションなどと結びつけられ、敷居の高い印象があるかもしれない。そんな既存のイメージに挑戦するかのように、「誰もがアートを自宅で気軽に楽しめるように」と始まったのがイリー・アートコレクションズだ。このコーヒーを飲みながらアートまで楽しめてしまう二度美味しいプロジェクトは、1991年にマッテオ・トゥーンによってデザインされたイリーカフェのアイコニックな白いカップから誕生した。どんな色にも染まることができるこのキャンパスに、数々のアーティストのイマジネーションの世界が30年に渡って描かれ続けているのである。


イリー・アートコレクションズ30周年を記念した特別展をリポート!

ヴェネチアに到着し、有名なサン・マルコ広場の近くに位置するジャルディーニ・レアーリに入ると、多くの人で賑わう外の世界と一変して、自然あふれる静かなオアシスに迷い込んだかのような気持ちになる。実は、現在は一般公開されているジャルディーニ・レアーリだが、元々は、王宮の庭園として作られた高貴で優雅な憩いの場所だ。そんなジャルディーニ・レアーリの中にある温室には、青々とした緑の庭園を彩る花のように、名だたるアーティスト125人によって手がけられた459個の個性豊かなカップが飾られている。


ジャルディーニ・レアーリの温室にカップが展示してある様子を写した写真です。
ジャルディーニ・レアーリの温室
写真提供:Ernesto Ruscio/Getty Images & Giorgio Perottino/Getty

ところで、初お披露目となる6人のアーティストのカップには、どんなイマジネーションの世界が描かれているのだろうか?とワクワクするワカペディア。そんな彼らのカップには共通するテーマがある。それが、今回のヴェネチア・ビエンナーレのタイトルでもある「The Milk of Dreams」だ。おとぎ話の世界のようなスウィートでハッピーな夢を連想するかもしれないが、実際は、現代社会を生きる私たちが直面している「身体の表現とその変容」「個人とテクノロジーの関係」「身体と地球のつながり」などのテーマを示唆しているのだ。このテーマをアーティスト達がそれぞれ自分のイマジネーションと掛け合わせできたのが今回のカップだ。植物や葉のモチーフ、花や空想上の人間など、見た目はオシャレで美しいデザインであるが、強いメッセージ性を含んでいる。


「The Milk of Dreams」で初お披露目となる6人のアーティストのカップの写真です。
「The Milk of Dreams」で初お披露目となる6人のアーティストのカップ
写真提供:Ernesto Ruscio/Getty Images & Giorgio Perottino/Getty

中でも気になったのは、アレクサンドラ・ピリチによりデザインされた、葉のモチーフが描かれたカップ。しかし、よく見ていると、指紋のプリントからできているもので、ハイブリッドな植物を連想させる。さらに、フェリペ・バエザの眠れる森の美女を思わせるようないばらやツタが描かれたカップは、強制的に移住しなくてはならない環境に立たされた人々、そしてその個人が変容していくことを意味しているそうだ。 ひとつひとつがストーリー性を持つこのコレクションでは、アーティストのユニークな世界観に引き込まれ、彼らと共にイマジネーションの旅でもしているかのような気持ちにさせられるのである。全部のカップの世界を旅するとなると、時間がいくらあっても足りないくらいだ!


アレクサンドラ・ピリチがデザインした、植物をモチーフとしたカップの写真です。
アレクサンドラ・ピリチ作
写真提供:Ernesto Ruscio/Getty Images & Giorgio Perottino/Getty
フェリペ・バエザが
デザインした、薔薇をモチーフにしたカップの写真です。
フェリペ・バエザ作
写真提供:Ernesto Ruscio/Getty Images & Giorgio Perottino/Getty

そんな壮大な旅の終わりを告げたのは、どこからともなく漂ってきたコーヒーの香ばしい匂い。導かれるようにして展示場の外に出ると、イリーカフェのコクのあるコーヒーがワカペディアを迎えてくれた。イリー・アートコレクションズの特別展会を後にし、あなたは何を思うのだろうか?さて、アートが私たちに投げかけてきた多くの問いについて語り合いながら、イリーカフェのコーヒーを飲んで一息つくとしよう!


日程:4月20日から6月30日

時間 9時から17時

場所ジャルディーニ・レアーリ

ホームページhttps://www.illy.com/it-it/tazzine-caffe-illy-art-collection