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イタリア最大の湖「ガルダ湖」を散策する、ミラネーゼの秋の過ごし方

北イタリアの湖水地方を代表する「ガルダ湖」

ミラノも10月に入り、一気に肌寒くなってきて、街路樹も紅葉しはじめ秋の気配を感じることが多くなってきました。そんなある日、仲の良い友人達と食事会の際に、寒さが本格的になる前に、彼ら友人カップル二組と私たち夫婦の6人、そして私たちと友人カップルの愛犬2匹を連れて、2泊3日の行楽に出かけようということになり、決定した行き先が「ガルダ湖」。

ミラノ近郊の北イタリアは湖水地方と呼ばれていて、ハリウッドスターが多く別荘を持つことで有名なコモ湖や、スイスと国境を挟むマッジョーレ湖、そして今回の目的地、イタリア最大の湖「ガルダ湖」など、大小様々な湖が点在しています。ガルダ湖の総面積は370㎢で、日本最大の湖「琵琶湖」の総面積669㎢に比べると半分弱の大きさです。また、ガルダ湖周辺には、温泉地として有名なシルミオーネ、別荘地「サロー」などがあり、ミラノから車で約2時間、ミラノとベネチアのほぼ中心に位置した場所にあり、ミラネーゼの多くが週末に出かけるにはちょうど良い場所にあります。

イタリア最大の湖「ガルダ湖」を散策

私たちが宿泊先に選んだのは、ガルダ湖の西側の小さな町「Manerba del Garda(マルネバ・デル・ガルダ)」にあるペット同伴OKのアグリツーリズモのB&B「Agriturismo La Filanda(アグリツーリズモ・ラ・フィランダ)」。オリーブ畑が広がる敷地内にあるホテルでは、ミラノの喧騒的な日常とは対照的に、静かで穏やかな時間が流れていました。また、敷地内にはオーナーの犬も数匹いて、私達と同行した2匹の愛犬も敷地内で駆けずり回り、彼らも今回の旅行を十分に満喫していたようでした。

アグリツーリズモのB&B「Agriturismo La Filanda(アグリツーリズモ・ラ・フィランダ)」

 

ガルダ湖の絶景スポット「ロッカ・ディ・マルネバ」

到着した日の夕方は、散歩がてら、近くのRocca di Manerba(ロッカ・ディ・マネルバ)までトレッキングに出かけることに。ロッカ・ディ・マネルバ(マネルバの要塞)は、高台にありガルダ湖を一望できる絶景スポットで、90ヘクタールの敷地面積を誇るロッカ・サッソ自然保護地区(Riserva Naturale Orientata della Rocca e del Sasso)の一部。ロッカ・サッソ保護地区からは紀元前5,000年〜500年の中石器時代の貴重な遺跡などが発掘されている、考古学的に貴重な場所としても知られています。

ロッカ・サッソ保護地区からは紀元前5,000年〜500年の中石器時代の貴重な遺跡などが発掘されている

ユネスコの世界遺産「アルプス山脈周辺の先史時代の坑上住居群」は、イタリア、スイス、ドイツ、フランス、オーストリア、スロベニア6カ国にまたがり、イタリアの19箇所を含む111の集落が登録されていますが、ロッカ・サッソ自然保護地区のガルダ湖岸の水中調査により発見された集落跡もその一つです。

リードなしで犬を散歩する老夫婦や牛舎で寛ぐ牛など、イタリアの田舎らしい風景が広がる

宿泊先からマネルバ要塞までは、リードなしで犬を散歩する老夫婦や牛舎で寛ぐ牛など、イタリアの田舎らしい風景を見ながら、友人たちと他愛も会話で盛り上がっていると、マネルバ要塞の荘厳な石造りの外壁が見え、丘を登った先には北アルプスを背景にガルダ湖が広がる大パノラマが一望できる絶景が待っていました。

丘を登った先には北アルプスを背景にガルダ湖が広がる大パノラマが一望できる

3つの防御壁に囲まれたマネルバ要塞は、12世紀から13世紀ごろに建造されたもので、長い歴史を得て修復工事がなされロッカ・サッソ自然保護地区の一部となっています。そんなマネルバ要塞に到着したのは、ちょうど夕暮れ時で、近隣の畑に夕焼けのオレンジ色に輝く景色や、ガルダ湖に沈む夕焼けが感動的でした。

ゴシック調の湖畔の街並みが美しい「サロー」

翌日の朝は、早々に朝食を宿泊先で済ませ、宿泊先からも車でほど近い、湖畔の街「サロー(Salò)」と「シルミオーネ」へ。1940年代には、イタリア社会共和国の政治の拠点が置かれた場所としても有名なサローは、富裕層の別荘が多くあることでも知られています。

1940年代には、イタリア社会共和国の政治の拠点が置かれた場所としても有名なサロー

湖畔にはオープンカフェなどが並び、現在は市庁舎として使われている、16世紀の建造物「パラッツォ・デッラ・マグニフィカ・パトリア」や15世紀に建てられた教会「サンタ・マリア・アヌンツィアータ」などのゴシック調の建造物が並ぶサローは、散歩コースにはぴったりの街です。今回はサンタ・マリア・アヌンツィアータ教会を見学したり、ガルダ湖を望みながらカフェで寛いだりしながら、3時間ほどの街散策で美しい湖畔の街並みを思う存分満喫し、次の目的地「シルミオーネ」へ。

16世紀の建造物「パラッツォ・デッラ・マグニフィカ・パトリア」や15世紀に建てられた教会「サンタ・マリア・アヌンツィアータ」などのゴシック調の建造物

古代ローマ時代からのリゾート地「シルミオーネ」

サローから車で約30分の場所にあるガルダ湖の代表的な街「シルミオーネ」。シルミオーネには、紀元前1世紀に保養地として建築された「グロッタ・ディ・カトゥッロ」の遺跡が残っているなど、古代ローマの最古の温泉地としても知られています。現在では、公共の温泉や温泉水を利用したスパ付きのリゾートホテルなどもあり、ミラノから車で2時間ほどで行くことができるシルミオーネは、今もなおミラネーゼ御用達の保養地です。今回は時間の関係で温泉に立ち寄ることができなかったので、「次回はゆっくり温泉目的で来よう。」と、温泉好きの主人とも話していました。

サローから車で約30分の場所にあるガルダ湖の代表的な街「シルミオーネ」

この領域を統括するスカラ家によって村と港を守るために13世紀に要塞が造られたのが、シルミオーネの象徴的な「スカリジェロ城(Castello Scaligero)」です。スカリジェロ城の周囲は水に囲まれ、まるでガルダ湖上に浮かぶかのように佇んでいます。門をくぐり要塞へ入ると石畳の小道に導かれるとガルダ湖の湖畔へ辿り着き、また表情の異なるガルダ湖の風景を望むことができました。

2日目の夜は宿泊先近くのレストランでワイン片手に6人で賑やかに食事を楽しみ終了。翌日の朝はゆっくり朝食をとり、早めに家路に着きました。ミラノ近郊には海がないため、富裕層のミラネーゼは近隣の湖水地方の側に別荘を持っている人も多く、週末にはミラノ方面から湖水地方へ向かう車も少なくありません。海辺で育った私には、海が時より恋しくなりますが、ミラネーゼの湖へ出かける休日の過ごし方に、最近では順応しはじめています。

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