COLUMN
TRAVEL 28 Feb 2020

知られざる展望台がある州庁舎「Palazzo Lombardia」でミラノ市街の眺望を堪能

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ロンバルディア州の州庁舎「Palazzo Lombardia」

ミラノで生活を始めたばかりの頃、「どこか行きたいところがある?」と彼や友人に聞かれ、眺望が良いところと要望を出してみても、「そんなのミラノにはないよ。」と言われ、展望台などは存在しないものだと思っていました。その後、フォルツェスコ城のあるセンピオーネ公園にTorre Blanca(ブランカ塔)がある事を知りましたが、結局、行く機会もないまま。ところが、ある日、Palazzo Lombardia(パラッツォ・ロンバルディア)に展望台があり、限定日程で一般解放されることを知り、せっかくの機会なので行ってみることにしました。

Palazzo Lombardia(パラッツォ・ロンバルディア)

このPalazzo Lombardia(パラッツォ・ロンバルディア)は、名前の通りロンバルディアの建物、いわゆるロンバルディア州の州庁舎です。ロンバルディア州はイタリア本土(シチリア、サルデニアを除く)では2番目に広い約24,000㎢を保有し、イタリアの人口の約6分の1、イタリア国内の州の中で最も人口が多い、約1000万人が生活しています。パラッツォ・ロンバルディアはそんなロンバルディア州の行政における大きな役割を担う場所です。

Palazzo Lombardia(パラッツォ・ロンバルディア)

ルーブル美術館を手がけた設計事務所による優れたデザイン性

2010年に完成したパラツォ・ロンバルディアを設計したのは、パリのルーブル美術館の改装やボストンのJ.F.ケネディー図書館など世界的に数々の近代的な建築物を手がけるアメリカの設計事務所「Pei Cobb Freed & Partners」です。独創的なパラッツォ・ロンバルディアのデザイン設計は、2012年にはヨーロッパの高層建築で最優秀賞を受賞、2015年には世界の政府建築プロジェクトのトップ5に選ばれるなど、世界的にも高く評価されています。

Palazzo Lombardia(パラッツォ・ロンバルディア)

Recalling the mountains, valleys, and rivers of Lombardy, Palazzo Lombardia’s distinctive form is composed of sinuous interweaving strands of linear office space.
オフィススペースの混じり合ったラインが作り出すパラッツォ・ロンバルディアの独創的なフォルムは、ロンバルディアの山々や丘、川を想像させます。
−Pei Cobb Freed & Partners−

Palazzo Lombardia(パラッツォ・ロンバルディア)

Palazzo Lombardia(パラッツォ・ロンバルディア)

高さ160m、総面積141,000㎡のこのパラッツォ・ロンバルディア。エントランスを入ると、ガラス張りの大きな曲線が混じり合うデザインがとても印象的で、建物内の各オフィスや会議室など内装への想像が掻き立てられます。高いデザイン性を誇る、このパラッツォ・ロンバルディアですが、実は機能性にも優れていて、加熱・冷却の電気システムは、地下の川と繋がる「地熱ヒートポンプシステム」を導入しているほか、タワー南側全面には、太陽光発電パネルなどが設置されていて、エネルギーの再利用などにも配慮されているのも特徴の一つです。

39階、高さ160mの展望台からの眺望

パラッツォ・ロンバルディアの展望台は、常に一般解放されているわけではなく、1月は3日間のみ、2月以降の一般解放の日程は未定とのことで、私が訪れた1月の最終日には長蛇の列ができていました。1時間ほど並び、39階の展望台へ。展望台は四方ガラス張りのスペースで、パラッツォ・ロンバルディアを中心に360度見渡すことができます。

Palazzo Lombardia(パラッツォ・ロンバルディア)

パラッツォ・ロンバルディアの東側には、Stazione Centrale(ミラノ中央駅)、この日は空気が霞んでいたために見えなかったのですが、晴れた日にはアルプス山脈が見渡すことができます。西側はミラノのファッショニスタなどが集まる、「垂直の森(Bosco Varticale)」が象徴的なイーゾラの街。また、ミラノで最も高い230mのユニクレディットのビルなどを望むことができました。近代的な建物と古くから残る建物が共存するイタリアのミラノらしい風景を見渡すことができて、行った甲斐がありました。

Palazzo Lombardia(パラッツォ・ロンバルディア)

今後、この展望台が一般解放される予定はまだ未定のようですが、パラッツォ・ロンバルディアの公式サイトに情報が開示されるので、ミラノにお越しの際にはチェックしてみるのもおすすめです。ちなみに、このパラッツォ・ロンバルディアの展望台は無料、予約不要です。

貴重な125枚のアルブミンプリントの写真展

実は、パラッツォ・ロンバルディアにはイベントスペースが併設されていて、今回、このパラッツォ・ロンバルディアを訪れた理由のもう一つの理由は、イタリア旅行協会(Touring Club Italiano)主催の写真展「Immaginario. 125 originali」が開催されていたからでした。この写真展では、イタリア旅行協会のアーカイバルコレクションから貴重なアルブミンプリントの写真が展示されました。

Palazzo Lombardia(パラッツォ・ロンバルディア)

1840年代にヨーロッパを中心に、それまでの絵画に変わって大衆化した写真は、その後1920年代以降に持ち運びができる35mmフィルムのカメラが流通し、一挙にカメラというものが身近なものになりました。当時のプリント方法には、今回の写真展で展示されている20世紀前半に主流だったアルブミン(卵白の成分)を利用したプリント方法や、銀塩を感光材料として利用する現在でもモノクロ写真のプリントに利用されるゼラチンシルバープリントなどがあります。

Palazzo Lombardia(パラッツォ・ロンバルディア)

アルブミンプリントの特徴は、シルバーゼラチンプリントに比べて、時間が経過することに黄色へ変色するのが特徴です。今回の写真展で展示されている写真の多くは20世紀初旬に撮影され、プリントされた貴重なもので、そのアルブミンプリントの変色もそれぞれの写真の風合いを感じる要素になっています。今回の写真展で展示されている写真の数々は、有名な写真家による写真ではない、素人が日常的に撮影したヨーロッパの日常がほとんどでしたが、約100年前の写真の数々は興味深いものがありました。

160mの高さから眼下の眺望を携帯やデジタルカメラで手軽に撮影できる日常は、きっと100年前に一枚一枚を丁寧に撮影していた人々には想像できない光景なのだろうと、感慨深いものを感じた1日でした。

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WRITER PROFILE
Manami Palmieri
Manami Palmieri

イタリアのミラノ在住、フォトグラファー兼ライター。アメリカの大学にて芸術学部を卒業後、日本の一部上場企業に就職しアートディレクターとして活躍。国内外で写真展を開催するなど、アーティストとしての幅を広げ、2016年に渡伊。結婚を機にイタリアに移住。現在は、写真と文字でファッションやアートを中心としたグローバルな最新情報を発信中。

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