- イタリアにある世界遺産の数は?
- イタリアに世界遺産が多い理由
- イタリアの世界遺産9選!一度は訪れたい有名なスポット
- レオナルド・ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」があるサンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会とドメニコ会修道院
- フィレンツェ歴史地区
- ヴェネツィアとその潟
- ピサのドゥオモ広場
- マテーラの洞窟住居と岩窟教会公園
- アルベロベッロのトゥルッリ
- ポンペイ、エルコラーノ及びトッレ・アヌンツィアータの遺跡地域
- アマルフィ海岸
- ドロミーティ
- その他にも魅力的な世界遺産がたくさん!
- 労働者のユートピア、ベルガモの世界遺産「クレスピ・ダッダ」を散策する初秋の一日
- 中世ヨーロッパの趣を感じる、世界遺産「ベルガモ」の城壁に囲まれた旧市街チッタアルタの歩き方
- シチリアを代表する港町、世界遺産「カターニャ」は五感を刺激するパラディソでした
- ルパン三世の舞台にもなった、天空の城そびえる世界遺産「サンマリノ共和国」の歩き方
イタリアにある世界遺産の数は?
地中海の温暖な気候と万人に愛される料理。この2つだけをとっても、イタリアはじゅうぶんに魅力的な国です。
しかしイタリアが観光客を惹きつける理由は、気候や料理に加えて、なんといっても見るべき観光地が多い点にあります。
その証拠が、ユネスコによって認定された世界遺産の数です。
イタリア国内のユネスコ世界遺産の数、なんと58!(2022年7月現在)
その数は世界一を誇るうえ、年々その数を増やし、あとを追う中国に首位の座を譲りません。ちなみに世界遺産の数は、2位の中国は56、3位のドイツが51。日本は25の世界遺産を有し、現在は11位につけています。
国土面積では日本よりも小さいイタリア、なぜそれほど多くの世界遺産が存在するのでしょうか。
イタリアに世界遺産が多い理由
ユネスコが認定する世界遺産には、いくつかの条件があります。
世界各地に存在する文化や自然を未来の世代に手渡していくことを目的とする世界遺産認定には、人の手が加わっていない「自然遺産」、人の手が加わっている「文化遺産」、いずれの要素も併せ持つ「複合遺産」というカテゴリーが存在します。
イタリアにある58の世界遺産のうち、人の手が加わっていない「自然遺産」はシチリア島のエトナ火山をはじめわずか5つ。
それ以外はすべて、人間の手によって作られた「文化遺産」なのです。
それではなぜ、イタリアには文化遺産がそれほど多く存在するのでしょうか。
気候と土壌に恵まれたイタリア半島は、紀元前の時代から地中海地方の歴史の主役でした。
高い文明を持っていたギリシア人たちが南イタリアに入植し、最新の技術力を誇っていたエトルリア人たちが中部イタリアを拠点にして活躍、さらにこれらの文化や技術を継承し発展させたローマ時代が1000年にも及びました。
ローマ帝国崩壊後は、イタリア半島の各地に経済力を持った都市国家が生まれます。
古代ローマ文明と同様に1000年の歴史を誇ったヴェネツィア共和国、ルネサンスの花の都として他に類を見ない洗練さを誇るフィレンツェ、ローマ教皇の本拠地として精神的にも深い意味を持つローマ。
イタリアに詳しくない人でも知っているこうした都市をつなぐように、さらに別の文化や特徴を持つ都市や町がひしめき合っている国、それがイタリアなのです。
その長い歴史のなかに雲霞のごとく登場した天才や権力者たちによって、華やかに美しく装飾されたイタリア。そしてそれらを、心の拠り所として大切に守ってきた人々。
こうした要素が、イタリアに世界遺産保有数世界一というタイトルをもたらしたのでしょう。
もともとあった美しい自然と、普遍的な美や機能性を誇る文化が融合することによって、イタリアは世界の人々に憧憬される国となっていったのです。
イタリアの世界遺産9選!一度は訪れたい有名なスポット
イタリアにある58にもおよぶ世界遺産。
1回の旅行で、果たしてどれだけの数を見ることができるでしょうか。
58ある世界遺産のなかでも、一生に1度は見ておきたい選りすぐりのイタリアの世界遺産をご紹介いたします。
レオナルド・ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」があるサンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会とドメニコ会修道院(1980年登録)
スポット紹介
ミラノの中心に残るドメニコ派のサンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会。
ブラマンテも設計に参画した同教会は、15世紀にミラノの権力者であったスフォルツァ家の命で建てられました。教会内の食堂に残るのが、レオナルド・ダ・ヴィンチ作『最後の晩餐』です。
見どころ
万能の天才と呼ばれるレオナルド・ダ・ヴィンチは、イタリア国内でも普遍の人気を誇ります。
完成作品が少ないレオナルドの絵画の中で、『最後の晩餐』は完成作であり傑作であり、さらに大作であるという稀有な存在。
残念ながら1943年8月の空襲により修道院と教会は破壊され、『最後の晩餐』も甚大な被害を受けてしまいました。近年、最新の修復技術、イータリーによる出資によって作品の修復や環境の改善が実施されています。
主役である『最後の晩餐』だけではなく、同時代に活躍した建築界の天才ブラマンテによる教会の美しさも見どころです。
おすすめの理由
レオナルド・ダ・ヴィンチといえば『モナリザ』が残るフランスと縁が深い印象があります。
しかし壮年期のレオナルドが活躍したのは、当時のミラノ公国でした。華やかなミラノの宮廷で、レオナルドは『最後の晩餐』をはじめとする傑作を残しただけではなく、宮廷の催事プロデュースも担当し活躍、その足跡がミラノにはさまざまな形で残っています。
その最高峰ともいえる『最後の晩餐』、ぜひ見ておきたい世界遺産のひとつです。
ミラノ市内を通るlinea 2(グリーンが目印)、カドルナ駅で下車。
駅からは700mのところにあり、徒歩でアクセス可能です。
『最後の晩餐』見学は予約が必須。ウェブサイトから予約できます。
フィレンツェ歴史地区(1982年登録)
スポット紹介
イタリア中部トスカーナ州の州都フィレンツェ。
フィレンツェ共和国、トスカーナ公国の本拠地であり、イタリア国内でも随一ルネサンスの都として、往時の面影を現在まで伝えています。
見どころ
摩訶不思議なほどの天才たちを輩出したルネサンス時代、その黄金時代を代表する都市がフィレンツェです。
町の中心にあるドゥオモは荘重ながら優美で、花の都のシンボルにふさわしいものです。世界史の教科書に登場するボッティチェッリ作『春』『ヴィーナスの誕生』を所蔵するウフィッツィ美術館、若き日のミケランジェロの傑作『ダヴィデ』が納められたアカデミア美術館、メディチ家をはじめとする有力貴族たちの壮麗な宮殿などなど、フィレンツェは右を見ても左を見ても見どころばかりです。
おすすめの理由
ルネサンスという言葉は誰でも知っていると思います。しかし、その概念がイマイチよくわからないという方も少なくないのではないでしょうか。
フィレンツェには、ルネサンスという一時代を築いたスピリットを持つ都市なのです。この町の空気を吸えば、ルネサンスというきらびやかな時代の真髄が感じとれることでしょう。
イタリア中部に位置するフィレンツェは、ローマ・テルミニ駅から急行(Frecciarossa)で1時間半~2時間。
ミラノ・チェントラーレ駅からは2時間弱。
空からの玄関口は、フィレンツェ中央駅から北西5kmほどのところにあるアメリゴ・ヴェスプッチ空港です。
ヴェネツィアとその潟(1987年登録)
スポット紹介
イタリア北部ヴェネト州の州都ヴェネツィア。
アドリア海の女王として、ヴェネツィア共和国は1000年の歴史を誇りました。潟(イタリア語でラグーナ)に浮かぶ水の都は、オリエント交易で栄えた歴史そのままに、エキゾチックで洗練された空気が特徴です。
見どころ
蛮族から逃れた人々が9世紀に建国されたヴェネツィア。
政治を行う上流階級が自ら船隊を指揮して海路を確保し、交易によって大いに栄えました。その名残は、町の中心にあるサン・マルコ広場、サン・マルコ大寺院、政治の中枢であったドゥカーレ宮殿に見ることができます。かつては大貴族の宮殿であり、現在は超高級ホテルがならぶ大運河(カナル・グランデ)や、経済の中心であったリアルト橋など、見どころは数えきれないほどあります。
おすすめの理由
「ヴェネツィア女性の豪奢はフランス王妃をしのぐ」とさえ言われ、経済大国であったヴェネツィア。
ナポレオンが「欧州で最高に美しいサロン」と呼び、詩人バイロンや映画監督ヴィスコンティに愛されたヴェネツィアは、まさに世界で唯一の環境に建つ町といって過言ではないでしょう。運河が張り巡らされた町を歩けば、映画の主人公になった気分にさせてくれます。
海に浮かぶヴェネツィアへのアクセス、最もメジャーなのは本土メストレ駅から電車でヴェネツィアのサンタ・ルチア駅へと向かう方法です。
空からの便は、サン・マルコ空港とトレヴィーゾ空港が玄関口です。
ピサのドゥオモ広場(1987年登録)
スポット紹介
イタリア中部トスカーナのアルノ川沿いに位置するピサ。
トスカーナでも有数の商業都市であったピサには、その繁栄の一端ともいえるドゥオモが残っています。ロマネスク様式の傑作であるドゥオモは、ピサがジェノヴァと覇権を争った最盛期、12世紀の創建です。このドゥオモの鐘楼が、かの有名なピサの斜塔なのです。
見どころ
斜塔の名前だけが先走ってしまうピサですが、かつてはジェノヴァやヴェネツィアのライバルであり、都市国家フィレンツェにとっても脅威といわれるほどの戦力と経済力を誇りました。
その繁栄の証であるドゥオモは、大理石の重々しさを感じるロマネスク様式。トスカーナの青い空に映える真っ白な大聖堂は、斜塔がなくても絵になる美しさです。歴史あるピサ大学を擁する町にふさわしい品格が、その広場に感じることができます。
おすすめの理由
ピサのドゥオモ広場は、もちろんドゥオモの内部も美しい装飾が見所ですが、なんといっても斜塔が主役であることに変わりはありません。
高さ55mの斜塔は、1173年建設開始からまもなく不同沈下により傾き始めたといわれています。7層から構成される斜塔、実は現在も傾斜は進んでいて、間近で見るとその傾きぶりはかなり衝撃的。
ぜひ、写真におさめて楽しんでみてください。
フィレンツェ・サンタ・マリア・ノヴェッラ駅からピサまでは、イタリア国鉄で1時間ほど。
ピサの中央駅からはヴィットリオ・エマヌエレ広場に向かって徒歩で25分ほどです。
あるいは駅からLAM ROSSAというバスに乗って「via Cammeo/Piazza Manin」で下車。
マテーラの洞窟住居と岩窟教会公園(1993年登録)
スポット紹介
ブーツ型のイタリア半島、ヒールの付け根部分に位置するのがマテーラです。
南イタリアバジリカータ州にあるマテーラは、石灰岩の台地に位置しています。サッシ(本来は『岩』の意)と呼ばれる洞窟住居は、かつては南イタリアの貧困の象徴でした。大小さまざまな住居に混ざって、100を超える教会が残り、南イタリアの人々の信仰心の篤さが伺えます。
見どころ
標高400mのところにあるマテーラの町。
南イタリアの太陽が燦燦と照り、白い石灰岩の町に降り注ぎます。何世紀にも及び、貧しかった人々がよりよい環境を求めて作り上げてきた町には、素朴ながら力強い庶民の知恵がちりばめられています。
昼の美しさもさることながら、オレンジ色の街灯に照らされる夜景の美しさも魅力的です。
おすすめの理由
イタリアの文化財・文化活動省によれば、マテーラの町は1952年に廃墟となってしまったそうです。
しかしその特異な町の魅力に見せられた地元民や芸術家たちによって、現在はおしゃれなレストランやお店が並ぶ街へと変貌を遂げました。
南イタリアの芳醇は食材を味わえるレストランも多く、周辺の金色の小麦畑とともに大地の恵みを実感できます。
マテーラはアクセスが簡単ではないのがデメリットです。
公共交通機関を使うのならば、南イタリアのバーリ駅からシャトルバスが出ています。
こちらを参考にしてみてください。
アルベロベッロのトゥルッリ(1996年登録)
スポット紹介
ブーツ型のイタリアの、アキレス腱部分に位置するアルベロベッロ。
円錐形の屋根がまるでおとぎの国のような景観を生み出すアルベロベッロ、その家屋の様式はトゥルッリと呼ばれています。
見どころ
美しい海、美味しい食事、どこまでも続くオリーブの木。
その魅力から、プーリア州はイタリア人にも人気のバカンススポットです。
魅力あふれるプーリア州の中でも、可愛らしい景観で人気を誇るアルベロベッロ。
16世紀半ばから始まった開拓農民用の住居、その特徴的な石積みの屋根には神話的な白い文字や記号が描かれています。抜けるような青い空とマッチする景観、まさに唯一無二の存在です。
おすすめの理由
通常のイタリア旅行ではあまり足を向けることがないプーリア州。実は夏のプーリア州は、イタリア人がこぞって足を向ける美しい土地柄です。
何世紀も生き残ってきたオリーブの木、可憐な花を咲かせるアーモンド、安くて美味しいワインの原料となるぶどう。
渇いた空気の中にあるこうした朴訥とした風景とアルベロベッロのトゥルッリは見事に融合して、異国情緒を体感できます。
ポンペイ、エルコラーノ及びトッレ・アヌンツィアータの遺跡地域(1997年登録)
スポット紹介
古代ローマの遺跡としては、1、2を競う知名度を誇るポンペイ。
エルコラーノもトッレ・アヌンツィアータもポンペイ同様、西暦79年に起こったヴェスビオ火山の噴火によって、火山灰に埋もれてしまったローマ帝国時代の遺跡が残っています。生き生きとした庶民の生活が垣間見えるポンペイと異なり、エルコラーノは貴族たちの別荘が多かった地区でした。
見どころ
18世紀半ばに、本格的な発掘が開始されるまで火山灰に埋もれていたポンペイやエルコラーノは、世界にも類を見ない保存状態で残った遺跡です。道路や水道などのインフラや裕福な商人の屋敷のモザイクが残っていたほか、逃げ遅れた人々の姿も石膏化されて目にすることができます。
当時の人々の生き生きとした生活を数世紀にわたって閉じ込めてきたポンペイの遺跡、南イタリア観光の目玉になっているのが納得のすばらしさです。
おすすめの理由
ナポリの観光とセットにされることが多い遺跡群、再現されたものではなく、当時の人々が日々使用していたものが残っているのが最大の魅力です。居酒屋や娼館など、教科書には載らないような要素もあちこちに目にすることができるのが愉しいところです。
また現代の町と比較できるほどの距離にあるこうした遺跡は、人間の歴史をしみじみと考えさせてくれるかもしれません。
ピッツァやパスタなど、南イタリアの美味しい料理とともにお楽しみください。
ポンペイやエルコラーノの遺跡は、ナポリから向かうのが便利です。
ナポリからチルクムヴェスビアーナ鉄道(CIRCUMVESUVIANA)に乗れば、それぞれの地名の駅で下車するだけです。
また、ナポリのガリバルディ広場からSITAやEAVというバスも出ています。
アマルフィ海岸(1997年登録)
スポット紹介
ナポリの南側に位置する12の自治体が含まれた海岸。
ティレニア海に沿う海岸には、日本映画でも有名になったアマルフィやラヴェッロなどの美しい町が連なっています。
見どころ
詩人のゲーテに「君よ知るや南の国」と讃えられた魅力があふれるアマルフィ海岸。
ごつごつとした白く高い岩々、深く青い色の海、点在する中世の面影を宿す町。その合間にレモンやぶどうなどの果樹園が広がる景観は、典型的な地中海の美しさを有しています。
おすすめの理由
南北に長いイタリアは、北と南で町の様式も生活習慣も異なります。
アマルフィ海岸は、日本人が想像する地中海の景色や文化を持つ美しい地域。古代ローマ時代に起源をもつ小さな町の石畳に、悠久の時を感じることができます。
色鮮やかな陶器や柑橘類を原料にしたリキュールやお菓子もお土産にぜひ。
アマルフィ海岸は、レンタカーを借りて楽しむのも一興。
北からアマルフィ海岸に向かう場合は、高速A3ナポリ―サレルノ線をヴィエトリで降りれば、SS163の海岸沿いの道を走ることができます。
電車を使う場合は、チルクムヴェスビアーナ鉄道で。
ドロミーティ(2009年登録)
スポット紹介
北イタリア、アルプス地方にあるドロミーティ。
垂直に切り立つ峻厳な景色は、イタリアにおける数少ない自然遺産のなかでも特に人気があります。
見どころ
特異な石灰質岩から成る景観は、フランスの地質学者ドロミューにちなんでこの名がつきました。標高3000mを超えるマルモラーダ山、チヴェッタ、サッソルンゴなど、ザ・アルプスといった趣の山々が連なっています。
人工登攀の発祥地という説もあり、ロッククライミングもさかんです。
おすすめ記事
おすすめの理由
長期のバカンスが習慣となっているイタリア。
海を愛する人がいる一方で、山々で自然に親しむ人も非常に多いです。夏山だけではなく、冬のクリスマスシーズンを雪山に籠る人も少なくなく、こうした需要に応じた山小屋や長期滞在型ホテルもたくさんあります。
世界遺産の自然に囲まれた休暇、きっと一生の思い出になることでしょう。
ドロミーティは北東イタリア、東アルプスにまたがる一帯を指します。
高速を使って車で行くのが一般的ですが、北イタリアのヴェローナから電車で行く方法もあります。
ロヴェレートやボルツァーノなど、観光客が多い町に滞在して美しい山々を堪能するのもひとつ。
その他にも魅力的な世界遺産がたくさん!
労働者のユートピア、ベルガモの世界遺産「クレスピ・ダッダ」を散策する初秋の一日
中世ヨーロッパの趣を感じる、世界遺産「ベルガモ」の城壁に囲まれた旧市街チッタアルタの歩き方
シチリアを代表する港町、世界遺産「カターニャ」は五感を刺激するパラディソでした
ルパン三世の舞台にもなった、天空の城そびえる世界遺産「サンマリノ共和国」の歩き方