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ルネサンスの古都で優雅な滞在を。現地在住者がフェラーラの見どころを一挙ご紹介

ユネスコ世界文化遺産の数が世界で最も多い国、イタリア。あなたはどれだけ知っていますか。「フィレンツェ歴史地区」と「ヴェネチアとその潟」はあまりにも有名で、両都市を立て続けに見て回る旅行者は少なくないでしょう。しかし、二都市を結ぶ列車の路線上に、途中下車に値する世界遺産の街が点在しているのを知っている方は多くないかもしれません。


たとえば、ヴェネチアから高速列車で1時間南下したところにあるフェラーラは、1995年に「ルネサンス期の市街とポー川デルタ地帯」が文化遺産の登録を受け、エミリアロマーニャ州では初めて世界遺産の街となりました。

人混みも少なく、のんびりと過ごせるこの美しい古都を次の旅先に入れてみてはいかがでしょうか。今回は巷のガイドでは大きく取り上げられない、現地に住む筆者ならではのフェラーラの見どころを中心にご紹介します。

街のシンボル、エステンセ城ではここに注目


フェラーラ観光で外せないのがエステンセ城。その名の通り、かつてここを400年間統治していたエステ家の居城です。角ばった外観とお堀で囲まれているところがイタリアの城としては珍しく、その堂々とした佇まいが美しい街のシンボルです。


外観を引き立てるような真っ赤な日よけにも注目。これはテンダ・フェラレーゼと呼ばれ、フェラーラの歴史的な建物の窓には鎧戸の代わりにこれが付いています。


城内の中庭までは立ち入り自由ですが、有料エリアもぜひ見学を。エステ家お抱えのシェフが西洋コース料理の原型となるものを発案したとされる台所、美しい内装の数々、城下町を一望する屋上展望台など、見どころがたくさんです。



センスの良い店が並ぶ聖ジョルジョ大聖堂周辺

エステンセ城の時計台前を背にして右へ進むと、フェラーラの守護神聖ジョルジョを祀った大聖堂と、トレント・トリエステ広場があります。この辺りは、世界的にも有名な8月の大道芸の祭典や、月一の骨董市、2月のエステ家のカーニバルなど、年中イベントが目白押し。センスの良い店も多く、飲食の他ショッピングも楽しめます。



おなかがすいたらここへ!地元民に愛されるお店六選

市街地でオススメの飲食店はこちら。目的別に、広場から徒歩圏内の名店を厳選しました。

1.Hostaria Savonarola:エステンセ城の真正面でフェラーラ郷土料理を楽しめます。週末などは予約必須の人気店。
2.Pasticceria Dario:広場の近くでドルチェを食べるならここ。ブリオッシュやコーヒーも美味しいので朝食にも。
3.Gelateria La Romana:ジェラートなら行列ができるこの老舗へ。セミフレッド(アイスケーキ)やクレープもお試しあれ。
4.Osteria 2 Gobbi:アペリティーボならここ。大聖堂横の小路で美味しいワインやおつまみが楽しめます。
5.Caffetteria Ristoro Schifanoia:エステ家の離宮だったスキファノイア宮殿の中庭にある田舎風の喫茶店は、チケットなしでも利用可。もちろん宮殿内も必見の美しさです。
6.La Bottega del Pane(テイクアウトのみ):街なかを歩けば必ず目につくチェーン店のパン屋です。様々な形をした郷土パン、パーネ・フェラレーゼはサクサクした食感が地元以外のイタリア人にも人気。



G・マッジー二通りを進んで風情ある下町へ

大聖堂周辺を十分楽しんだら、まずは商店が立ち並ぶジュゼッペ・マッジー二通りを南下してみましょう。ここから見える大聖堂の鐘楼は絵になる美しさ。そこから二本東の通りをさらに南へ進むと、保存状態が非常に良いルネサンス期のお屋敷を見学できるロメイ家の館があります。



鳥のさえずりが響きわたる要塞壁跡

さらに南へ進み要塞門にたどり着いたなら、そこは15~16世紀の要塞壁、Mura di Ferraraの入り口です。こうした門は歴史地区の端にいくつもありますが、聖ピエトロ門から東側のエリアが遺跡の保存状態も良く、散策やサイクリングにオススメ。


鳥が囀る緑地帯には要塞壁を横からも上からも眺められる歩行者自転車専用道が一周9キロにわたって整備されています。



年に一度、競馬場になるアリオステア広場

エステンセ城の北側、ディアマンティ宮殿と並んでひときわ目を引くのは、楕円形の幾何学的な設計が美しいアリオステア広場。今も毎年5月に開かれるパーリオ(イタリアの伝統的な競馬)のために、20世紀前半に競技場のような形に改築されました。


周辺の道路より数段低い広場に入った途端、喧騒が遮られた空間が広がります。中心に立つのは、地元に縁がある詩人ルドヴィコ・アリオストの像です。



フェラーラ滞在のワンポイントアドバイス

1.自転車での観光が快適

コンパクトな歴史地区は半日から一泊二日で散策可能ですが、レンタサイクルの利用もオススメ。見渡す限り平野が続くフェラーラ、住民の主要な足は自転車です。ぜひ、フェラレーゼになった気分で坂道知らずの古都を駆け抜けてみてください。


2.ベストシーズンは春から秋

湿気が多いフェラーラ、なんと真冬以外は蚊がいます。冷え込む季節は連日濃霧に見舞れることも。霧に包まれた情景もロマンチックですが、過ごしやすいのは3~10月です。


こちらも注目!近くの新・世界文化遺産の街

さて、2021年にはフェラーラの北と南にある近隣二都市が新たに世界文化遺産の登録を受けました。


パドヴァ:ジョットの傑作を含む「パドヴァの14世紀フレスコ作品群」

ボローニャ:街中を網羅する回廊「ボローニャのポルティコ群」


どちらもフィレンツェ・ヴェネチア間を走る高速列車が停まります。フェラーラと合わせて訪れれば、近くてもまるで違う地方都市の面白さを発見できるはずです。