LIFESTYLE 01 Apr 2021

ヴィオラの手仕事で春の紫をテーブルに


皆さんこんにちは。
日本人であれば、春の訪れを知らせる色といえば、梅の鮮やかな桃色や桜の優しいピンクと思われる方も多いのではないでしょうか。
私はイタリアの田舎に引っ越して以来、春先に山の斜面や裏庭の茂みに愛らしい野生のニオイスミレが一面に咲いている光景を見るようになってから、すっかりヴィオラが春の色の1つになりました。

庭に咲くニオイスミレ

昔から、喉に潤いをもたらすとして薬用にも使われてきた歴史もあり、イタリアでも春にはスミレを野で摘み、シロップや砂糖漬けにする習慣が残っています。私の持っている宝物の薬草古書にも、素敵なニオイスミレの版画がありました。

私の大好きな薬草書にもスミレが

私ももう7、8年ほどこの習慣を続けていますが、毎年レシピをあれこれ自分なりにアレンジしてみたり、家族に食べてもらって感想を聞いたりと、旬の手仕事として楽しんでいます。
今年は、シロップがあまりに綺麗な色に仕上がり感動したので、レシピなども含めて皆さんにご紹介しようと思います!

スミレの摘みかた

イタリアは野生のスミレの宝庫ですが、スミレの種類はいくつもあり、香りや色も変わってきます。

一輪ずつ摘むのは大変だけれど幸せな時間

白から深い紫まで、色々なトーンのスミレがありますが、昔から薬用に使われ、香りも発色も素晴らしいのはニオイスミレです。
園芸種のスミレも無農薬でないものが多いので、ご自身で種を撒かれて無農薬で育てたものか、野生のものを摘まれることをお勧めいたします。花は開きすぎておらず、香りのはっきり感じられるもので。市販のスミレの砂糖漬けには、着色料や香料が使われていることも多いですが、せっかく手作りするのであれば、自然のものだけの本当の美味しさを楽しむのが醍醐味だと思います。

スミレのシロップ

こちらは今年、ものすごく綺麗な紫に仕上がったのですが、やはり濃く綺麗な花の色を出すにはできるだけ沢山の花が必要です。今回私が使ったレシピは以下ですが、もちろんもっと花の割合を増やすことも可能です。
では、レシピをご紹介いたします。

<材料>

スミレの花・・・最低60グラムかあればそれ以上
水・・・250ml
砂糖・・・300グラム
クエン酸・・・一つまみ(無ければレモン汁で代用)

作り方

①摘んできたスミレの花は、さっと洗い清潔なふきんの上で水分を取っておく。
水を鍋に入れ沸騰させ、花を入れさっとひと煮立ちさせたら火を消して蓋をし、そのまま一晩おく。

一晩おくと、スミレの色が水に溶ける

②一晩おいた水を漉して花を取り除き、砂糖を加えて火にかけ、砂糖が完全に溶けるまで温めひと煮立ちさせる。

③最後にほんの1つまみのクエン酸またはレモン汁少々を加える。ここでシロップが美しい紫色になる。これが多すぎると、酸性に傾き、液体がブルーから赤紫になるので気をつける。

④煮沸した瓶に入れて蓋をし、冷蔵庫で保管し2、3か月で使い切る。

どうですか、難しくはありませんね。頑張って花を摘む作業が一番手間がかかるでしょう。
炭酸水と割って飲んだり、お菓子に使ったり用途は色々ですよ!

スミレの砂糖漬け

こちらはワンランク上の作業になりますが、挑戦されたい、という方は是非お勧めいたします。私も色々なレシピで挑戦しましたが、今回やってみたこのレシピが一番贅沢で美味でした!正確なレシピは花の大きさの違いなどで変わってきますので、目安として考えてみてください。ティータイムにこの砂糖漬けを添えて出せば、ぐっと華やかさが増します。

<材料(約20個分)>

ニオイスミレ・・・きれいなものを20輪ほどと、刻む分を100輪ほど
グラニュー糖・・・大匙6,7杯
卵白・・・2分の1個分
粉糖・・・大匙5くらい

作業に必要な道具

石のすり鉢(無ければ普通のすり鉢で)
食品用の小さな筆
砂糖を集める小さなブラシ
紙皿
オーブンシート

作り方

①さっと洗ったスミレを清潔なふきんの上で水分を取り、湿気を残さないようにする。きれいな20輪は湿らせたキッチンペーパーで包み、タッパーに入れて冷蔵庫に入れておく。刻む分のスミレは、花弁だけを取り、細かく刻む。

花びらだけを刻んだ状態

②刻んだ花弁の半分はグラニュー糖と、残りの半分は粉糖と一緒に石のすり鉢で別々にすり、綺麗な紫色が均一になるようにする。花びらの水分でしっとりしているので、すりこぎやすり鉢に残った砂糖は、ブラシできれいに集める。

花びらと砂糖を一緒にすりこぎで潰していく

③それぞれの砂糖を紙皿に入れ、広げて乾燥を促すようにする。直射日光は避けて、カラカラになるまで乾かす。乾いたものをまたそれぞれ石のすりばちですりつぶし、サラサラの状態になるようにする。それぞれを小さな小鉢に入れる。

綺麗な紫になったグラニュー糖

④タッパーのスミレを出して、一輪ずつ卵白に入れ、余分な卵白は筆で払い落とす。すぐにグラニュー糖の小鉢のほうに入れ、全体に砂糖をまぶす。全ての花を同じように作業して、紙皿に置き、乾かす。

卵白が糊の役割をして、スミレに砂糖がくっつく

⑤粉糖の小鉢に数滴ずつ水を垂らしながら、はちみつくらいのとろみのある液体状にする。砂糖をまぶし乾かしたスミレ一輪ずつくぐらせ、余分な液を落とし、オーブンペーパーの上に並べて、固くなるまで乾かす。

粉糖と花びらを合わせたほうに水を加えると、こんな鮮やかな色に

いかがですか?手順が多く、細かい作業ですが、出来上がりのスミレの香りはとても上品で、何よりスミレそのものの風味が口に広がります。
大切なお客様や、記念日などに出されてみてはいかがでしょう。

皆さんのテーブルにも、甘い香りのスミレ色の春が訪れますように!


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WRITER PROFILE
林由紀子
林由紀子

マルケ州、ウルビーノ近郊のカーイ(Cagli)在住。1999年渡伊、ファエンツァの国立美術陶芸学校の陶彫刻科を卒業後、現代美術アーティストBertozzi&Casoniのもとでアシスタントとして12年に渡ってコラボする。2003年にマルケ在住のイタリア人と結婚したのをきっかけに、マルケ州の郷土料理や工芸、美術文化に強く惹かれ、自らも陶芸家として活動する中、ウルビーノを中心とするマルケ北部や県境近郊の食文化、美術工芸文化を発信する(ラファエロの丘から)を立ち上げ、現地アテンドや料理教室、工芸体験などのオーガナイスや、ウルビーノを紹介する記事などを執筆。http://www.collinediraffaello.it/