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FOOD 11 May 2021

野草のラヴィオリで春の野を食卓に


野草の写真

皆さんこんにちは。
5月に入り、イタリアも春の陽気が頬に心地よい季節になってきました。私の家の周りも緑が萌え、畑仕事をしながらウキウキ出来る嬉しい季節です。

イタリアの田舎では昔から春の野で野草を摘み、様々な郷土料理に活用する風習がありました。今でも田舎では年配のおばあさんが野原で食べられる野草を摘む姿が見られ、その風景は心温まる風物詩、春先から初夏にかけてはまだまだ農作物の種類も少なく、春の野草はそんな季節のデトックスとビタミン補給に役立つことを昔の人は知っていたのでしょう。イタリア全土には、その土地土地に育つ野草を使ったレシピが沢山残っています。

野の恵みを丸ごと味わえるラヴィオリ野の恵みを丸ごと味わえるラヴィオリ

その中でも私のお気に入りは、野草を使った詰め物パスタ、ラヴィオリです。
普段はほうれん草とリコッタチーズを詰め物に使うのがオーソドックスですが、春ばかりは柔らかで風味豊かな野草を使うのが、田舎の野草料理の醍醐味だと思っています。といいますのも、この季節はリコッタチーズも春の若葉を食べた羊のお乳から出来ており、この季節が1年を通して一番美味しい時であることを考えると、野の恵みを丸ごと体に吸収できる気がするのですよね。

そんなオススメの野草のラヴィオリを、今日は少しおめかしして作ってみましたので、作り方も含めて皆さんにもご紹介しようと思います。

春の野の野草摘み

籠にいっぱいの野の恵籠にいっぱいの野の恵

さて、田舎に住む私はもちろん畑もやりますが、考えてみれば苦労して育てる野菜より、野草はずっと合理的なのです。自然に生えてきてくれる、自然の恵みと栄養分がいっぱい、そして、どれだけ採っても無料です(笑)。
私もイタリアに来てすぐに野草を採り始めたわけではなく、この15年ほどのあいだ少しずつおばあちゃん達に習ったり、ワークショップに通ったりして、食べられる野草の見分けかた、適切な季節、場所、食べ方などを学んで来ました。今では食事作りの前にちょこっと外に出て、ささっと必要な野草を採り、パパッと料理して食卓に出す、というのは当たり前の習慣になりましたが、やはり作れば作るほど、美味しい食べ方が分かって来るものです。
まず収穫するのは柔らかい若葉のみ。そして採ったらその場で黄色い部分や土を落とし、洗うだけの状態にするとぐっと後が楽です。
特に色々な野草を混ぜて使うときは、甘みのあるもの、ほろ苦いものと色々な風味を混ぜると豊かな味わいになります。
このラヴィオリに私が入れたのは、オニノゲシ、セイヨウヒナゲシの若葉、セイヨウタンポポの葉です。もちろんこれがなければダメ、と固く考えず、基本その時採れたものを使いますので、臨機応変に組み合わせることも大事です。
採った野草は、綺麗に洗って下の部分を4つに割り、火を通しやすくします。塩の入った湯で柔らかくなるまで茹で、ザルにあけて冷ます、ここまでを素早くやってしまうのがコツ。採った野草は時間が経てば硬くなってきますが、採りたてはさっと火が通るので、時間も短縮できるのです。

摘んだ野草は下の部分に火が通りやすいよう4つに割る摘んだ野草は下の部分に火が通りやすいよう4つに割る

ラヴィオリの作り方

パスタの生地の基本は、卵1個につき小麦粉100g。せっかく手間のかかる作業をするのでまとめて作り、冷凍するのもいいでしょう。それでは4人分を目安とした材料、作り方を紹介していきます。

材料 4人分

パスタ生地
卵・・・2個
小麦粉(中力粉)・・・200g
パスタの生地の表面に付ける食べられる野草(フェンネル、ロケット、ニンジンの葉など)

詰め物
柔らかい野草(私はセイヨウヒナゲシ、オニノゲシ、セイヨウタンポポの葉などを使いました)・・・250グラム
リコッタチーズ・・・200グラム
塩、黒コショウ・・・少々
エクストラヴァージョンオリーブオイル・・・大匙1

簡単ソース
ナッツ類・・・150g(松の実、クルミ、ヘーゼルナッツなど)
マジョラムの葉・・・少々
エクストラヴァージンオリーブオイル・・・大匙3
あれば飾りにエディブルフラワー・・・少々

作り方

①卵二個を割り、溶き卵にしたら小麦粉200グラムと合わせ、はじめは生地を全体に纏め、纏まってきたら打ち台や大き目のまな板の上に生地を乗せ、そば打ちの生地を練る要領で5分ほど練る。全体が均等になめらかになったら丸くしてラップをかけ、最低2時間、出来れば一晩寝かせる。

②野草は綺麗に洗い、固い葉や黄色くなった葉を取り除き、塩を加えた湯で柔らかくなるまで茹で、ざるに上げて冷めたらしっかり水分を絞って細かく刻む。

③刻んだ野草とリコッタチーズ、オリーブオイル大匙1、黒コショウを加え、よく混ぜる。塩が足りないようであれば塩を加える。

④休ませておいた生地を出し、麺棒かパスタマシーンで薄く延ばす。伸ばした生地の表面にごく軽く霧吹きで霧を吹きかけ、飾り用の好きな野草を配置する。指で軽く押さえ、密着させたあとほんの少しの小麦粉を上からふるいで振りかけ、麺棒でならして野草が綺麗に張り付くようにする。

伸ばしたパスタ記事に野草を乗せた写真伸ばしたパスタ生地にハーブや野草を配置する

⑤生地を好きな型でくり抜き、くり抜いた数の半分にはリコッタの詰め物を置き、あとの半分でリコッタを置いた生地に被せ、淵をフォークで押さえて閉じる。軽く小麦粉または米粉を振った紙皿に置いておく。(ここで、すぐに食べない場合は紙皿ごと冷凍し、凍ったらジップロックなどの袋に移して冷凍保存する)

丸い形にこだわらず、家にある型で自由に丸い形にこだわらず、家にある型で自由に

ォークでぐっと閉じてあげると、ふっくらしたクッションのようにフォークでぐっと閉じてあげると、ふっくらしたクッションのように

⑥鍋にラヴィオリを茹でるための湯を沸かしている間に、ナッツ類を軽く刻みフライパンで炒っておく。パスタを和えるための別のフライパンにオイルを大匙3入れ、火にかけて温まったら刻んだマジョラム、ナッツを入れて香りを立たせ、火を止めておく。

ナッツはお好みのものをミックスでナッツはお好みのものをミックスで

⑦ラヴィオリを茹でる湯に塩を入れ沸騰させ、ラヴィオリを入れて浮き上がってきたら1分ほど茹で、ざるで引き上げてそのままナッツのソースのフライパンに入れる。ラヴィオリを崩さないようデリケートに和え、あればエディブルフラワーを散らし温かいうちにいただく。

お湯の中でグツグツする様子は微笑ましい!お湯の中でグツグツする様子は微笑ましい!

いかがでしょう?
材料され揃えば手順は多いですが難しいものではありません。
もちろん野草が手に入らない場合はホウレンソウや菜ものを使って作っても大丈夫です。
でも、もし田舎へ出かけて行って気持ちの良い自然の中で育っている野草があれば、ぜひ挑戦されてみてくださいね。
そして、パスタ打ちはやればやるほど上手になるものです。はじめのうちはマシーンのほうが便利な気がしますが、慣れれば板と麺棒があればささっと打てるようになるものです。

このようにハーブで飾りをつけるのは少し上級編ですが、とても映えて可憐なので、ぜひ挑戦していただきたいものです。
皆さんも、身近にある栄養たっぷりの自然の恵みを使って、オリジナルのラヴィオリを作ってみてくださいね!

では、また!

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WRITER PROFILE
林由紀子

マルケ州、ウルビーノ近郊のカーイ(Cagli)在住。1999年渡伊、ファエンツァの国立美術陶芸学校の陶彫刻科を卒業後、現代美術アーティストBertozzi&Casoniのもとでアシスタントとして12年に渡ってコラボする。2003年にマルケ在住のイタリア人と結婚したのをきっかけに、マルケ州の郷土料理や工芸、美術文化に強く惹かれ、自らも陶芸家として活動する中、ウルビーノを中心とするマルケ北部や県境近郊の食文化、美術工芸文化を発信する(ラファエロの丘から)を立ち上げ、現地アテンドや料理教室、工芸体験などのオーガナイスや、ウルビーノを紹介する記事などを執筆。http://www.collinediraffaello.it/