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『ソフィア・ローレンのレストラン』がフィレンツェに誕生!

名女優を店内に投影

フィレンツェの旧市街、サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂のほど近くにオープンした、1軒のレストランが話題をよんでいます。
その名も『ソフィア・ローレン オリジナル・イタリアン・フード Sophia Loren – Original Italian Food』。従来ありそうで実はなかった、イタリアを代表するあの名女優の名を冠したレストランです。2021年4月末のオープン以来、早くも街の新名所となりつつあります。

ソフィア・ローレンは1934年生まれ。2021年に87歳を迎える彼女は生まれこそローマでしたが、幼少期から少女期をナポリ近郊で過ごしました。15歳で参加した「ミス・イタリア」コンテストで最終候補となったのをきっかけに映画デビューを果たします。

一躍注目を浴びたのは、1954年の『ナポリの黄金』でした。地元方言を話す揚げピッツァ屋台の妖艶な女将役を演じ、以来、ナポリ文化のアイコンとしても人々の間で認識されたのです。

そうした彼女のイメージを投影させたのが、ここに紹介する『ソフィア・ローレン オリジナル・イタリアン・フード』です。

屋根付き柱廊が連なるブルネレスキ通りに面したレストラン。季節が良ければ屋外席もおすすめです。(Photo:Mari OYA)屋根付き柱廊が連なるブルネレスキ通りに面したレストラン。季節が良ければ屋外席もおすすめです。(Photo:Mari OYA)

家に招かれたかのように

総面積1,500平方メートルの店内に広がる客席数は270。いずれもスモーキーカラーのグリーン&ピンクの椅子が並びます。

エントランスを入って真っ先に目に飛び込むのは、ピッツァを調理する若き日のソフィアのポートレイト。あちこちに飾られているモノクロのポートレイトも印象的です。彼女の屈託のない笑顔はたびたび“イタリアの太陽”と称されるのがわかります。ネオリアリズム映画の巨匠ヴィットリオ・デ・シーカ監督や、俳優仲間と共にテーブルを囲み料理を楽しむソフィアの写真に囲まれていると、彼女の家に招かれたような気分になってきます。

ピッツァを作るソフィアのポートレイトが迎えてくれます。ピッツァを作るソフィアのポートレイトが迎えてくれます。

ソフィアとは監督であり俳優としても共演したヴィットリオ・デ・シーカ、名優アルベルト・ソルディと共にテーブルを囲む写真も飾られています。ソフィアとは監督であり俳優としても共演したヴィットリオ・デ・シーカ、名優アルベルト・ソルディと共にテーブルを囲む写真も飾られています。

いっぽう、カクテル&ワインバーには、アーティスト、ルイージ・マセッキアによるさらにインパクトあるインスタレーションが!ソフィアのセクシーな表情をピクセル画風に描き出したそれは無数のボトルキャップ、つまり瓶の王冠を用いたものです。

カクテル&ワインバーのコーナーには、L.マセッキアによるインスタレーションが。王冠を用いてソフィアの顔を描き出したものです。カクテル&ワインバーのコーナーには、L.マセッキアによるインスタレーションが。王冠を用いてソフィアの顔を描き出したものです。

テーブルにも別のアーティストの作品を発見することができました。エルネスト・タタフィオーレによる、ソフィアの顔が描かれたアンダープレートです。こちらはお土産として購入することもできます。

いずれのクリエイターもナポリ生まれ。店のこだわりがひしひしと伝わります。

アンダープレートは、E.タタフィオーレがソフィアの多面的な個性を、4つの絵柄で表現したものです。(Photo:Mari OYA)アンダープレートは、E.タタフィオーレがソフィアの多面的な個性を、4つの絵柄で表現したものです。(Photo:Mari OYA)

当代人気シェフによる本場の味

提供される料理のプロデュースも、もちろんナポリ愛に溢れた一流シェフたちによるものです。

ピッツァを監修するのはフランチェスコ・マルトゥッチ。彼がナポリ郊外カゼルタに構える「イ・マサニエッリ」は、イタリアの2020年ピッツェリア・ランキングで1位に選ばれています。

ピッツァは、名店ランキングで常に上位を獲得している「イ・マサニエッリ」のF.マルトゥッチがプロデュース。メニューには16種類が並びます。ピッツァは、名店ランキングで常に上位を獲得している「イ・マサニエッリ」のF.マルトゥッチがプロデュース。メニューには16種類が並びます。

パスタは、ナポリ近郊ヴィーコ・エクエンセ生まれのシェフ、ジェンナーロ・エスポジトがプロデュース。ミシュラン2つ星に輝いたレストラン「ラ・トッレ・デル・サラチーノ」のオーナーシェフならではの、視覚的にも美しい料理が並びます。

プリモ・ピアットはミシュラン2つ星のシェフ、G.エスポジトの監修によるもの。高品質の原材料と季節の食材にこだわったパスタが味わえます。プリモ・ピアットはミシュラン2つ星のシェフ、G.エスポジトの監修によるもの。高品質の原材料と季節の食材にこだわったパスタが味わえます。

いっぽうドルチェを担当したカルミネ・ディ・ドンナは、前述のエスポジトの店で責任者を務めていた人物です。イタリアの著名グルメ専門誌「ガンベロ・ロッソ」において、2019年の最優秀パティシエに選ばれています。

そのドルチェや、アンティパストにあるナポリ名物のフライなど、一部商品はテイクアウトできます。

ドルチェから。C.ディ・ドンナは実家の菓子店で習得した伝統技術と、ホテルやクルーズ船などでの修行時代に培ったセンスをもって、多くのコンテストで受賞歴があるパティシエです。ドルチェから。C.ディ・ドンナは実家の菓子店で習得した伝統技術と、ホテルやクルーズ船などでの修行時代に培ったセンスをもって、多くのコンテストで受賞歴があるパティシエです。

華やかさと素朴さ

ところでソフィア・ローレンといえば、店内の写真が示すように料理上手でも知られています。その情熱は、幼少期に一緒に生活していた祖母の影響であるといいます。
ソフィアは、あるインタビューで第二次世界大戦中の祖母ルイーザを振り返り「彼女は爆撃が続いている間も、家の中で臆することなく鍋を握っていました」と話しています。窮乏期にも限られた食材を用いて家族のためキッチンに立っていた祖母の姿から、料理とは愛情の表現であることを学んだといいます。

その戦時下で味わった素朴な料理こそが、セレブリティになってからも幸福のシンボルだったに違いありません。ソフィアが1971年に出版した料理本「In Cucina con Amore(邦題 キッチンより愛を込めて)では、200におよぶレシピを紹介しています。食材を慈しみ、料理をすることの楽しさが溢れたこの本は大きな話題を呼び、数カ国語に翻訳されました。

ポートレイトには料理や食事中のシーンを収めたものが少なくありません。ソフィアはレシピ本を出すほどの料理好きとして知られます。ポートレイトには料理や食事中のシーンを収めたものが少なくありません。ソフィアはレシピ本を出すほどの料理好きとして知られます。

ルックスはどこまでも華やかでありながら、親しみやすく食いしん坊なキャラクターで愛されてきたソフィア。上品で洗練された空間のなかで、ナポリの素朴な味を提供するレストランは、まさに彼女のキャラクターそのものを体現したといえるでしょう。

『ソフィア・ローレン オリジナル・イタリアン・フード』は、今回紹介したフィレンツェ店を1号店として今後ナポリ、ミラノ、ドバイ、マイアミそして香港、上海にも展開予定です。

2021年6月のセレモニーに駆けつけたソフィア・ローレン。歳を重ねてもそのゴージャスな雰囲気は健在です。シェフのG.エスポジトとともに。2021年6月のセレモニーに駆けつけたソフィア・ローレン。歳を重ねてもそのゴージャスな雰囲気は健在です。シェフのG.エスポジトとともに。

Information/Photo:Sophia Loren – Original Italian Food
https://sophialorenrestaurant.com

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