
作物を育てるのに決して恵まれた条件とは言えないロンバルディア州ですが、限られた食材を駆使してバラエティーに富んだ菓子達が多く作られています。そしてそこで生まれた菓子達は味わい深くしみじみと美味さがあります。
気候と地形によって形成された菓子達の特徴
陸続きである地勢から、ロンバルディア州では近隣諸国からスパイスやチョコレートなどが早い時期からもたらされました。そこで様々な文化が入り交じり、寒冷な気候やアルプス山脈からもたらされる水源など、様々な条件の中で菓子文化が形成されていきました。
小麦を栽培するのが難しい地域ではそば粉、とうもろこし粉、ナッツなどの限られた食材を使い、また、牧草がよく育つポー川流域では酪農が盛んで、そのおかげでお菓子にもバターや乳製品が多く使われ、体を温める貴重なエネルギー源となりました。
今回は日本の家庭で再現出来るロンバルディア州の地方菓子達をいくつかご紹介します。
ズプリゾローナ

泡立て器も要らない、ワンボウルで出来るこのお菓子はケーキというよりもザクザク食べる大きなクッキーの様な食感が特徴。ストゥルットという豚の背脂を使うと更にザクザク感が味わえます。今回は手に入りやすいラードで代用しました。
刻んだアーモンド ― 100g
A:薄力粉 ― 60g
A:とうもろこし粉(コーンミール) ― 40g
A:砂糖 ― 40g
A:卵黄 ― 1/2個分
A:レモンの皮のすりおろし ― 1/4個分
バター(1センチ角に切る) ― 20g
ラード(なければバター) ― 20g
<作り方>
1 型にバター(分量外)を塗る。
オーブンを180度に余熱する。
2 ボウルにAを入れて混ぜ合わせる。
3 1にバターとラードを加えて手ですり混ぜて、細かいクラム(粒々)を作る。
アーモンドを加え全体を混ぜ合わせる。
4 型に3を入れ、オーブンで20分ほど表面が色付くまで焼く。


ラードをお菓子に使う発想は馴染みがないかもしれませんが、お菓子に使うとホロホロ崩れやすい食感になるのが特徴です。クッキーに使ってみても。
キアッキエレ

カーニバルのお菓子キアッキエレはおしゃべりという意味でカリカリ、サクサクの食感がおしゃべりの様だからというイタリアらしいチャーミングな由来のお菓子。同じお菓子でも地方によって呼び名が違いピエモンテ州ではブジーエ、ヴェネツィア周辺ではガラーニ、ローマ辺りではフラッペ、イタリア中部では他にチェンチなど。お菓子の呼び名で出身地がわかるかもしれませんね。
A:薄力粉 ― 125g
A:砂糖 ― 15g
A:溶き卵 ― 1/2個
A:マルサラ酒(ラム酒やブランデーで代用可) ― 30g
A:レモンの皮のすりおろし ― 1/4個分
A:バター(5ミリ角に切る) ― 10g
揚げ油 ― 適量
粉糖 ― 適量
<作り方>
1 Aのバター以外の材料を混ぜ合わせる。
2 バターを加え、滑らかになるまで混ぜ合わせ、一つにまとめてラップで包み、冷蔵庫で1時間寝かせる。
3 打ち粉をし、麺棒でなるべく薄くのばす。4センチ×8センチ程の長方形に切り、真ん中に二箇所切れ目を入れる。
4 170度の揚げ油でこんがり揚げ、油を切り、冷めたら粉糖をふる。


マルサラ酒はシチリアの伝統的なワインで、ワインを作る途中でそのワインにアルコール追加して熟成させて醸造します。アルコール分が高く、熟成させる際に使用するオーク樽の深みのある香りが特徴です。ティラミスを作る際にも使用します。
サラーメ ディ チョコラート

チョコレートのサラミと言われるサラミとそっくりのお菓子。焼いたりする手間がないので手軽に作れ、プレゼントに最適。北イタリアではチョコレートではなく、バター、卵黄、たっぷりのココアパウダーで作ります。
好みのビスコッティー(クッキーで代用可) — 100g
常温で柔らかくしたバター ― 50g
卵黄 ― 1個
砂糖 ― 50g
ラム酒 ― 大さじ1
ココアパウダー ― 25g
<作り方>
1 ボウルにバター、卵黄、砂糖、ラム酒を入れ、混ぜ合わせる。ココアパウダーを加え、混ぜ合わせる。
2 ビスコッティーを砕き、1に混ぜ合わせる。
3 オーブンシートに2をのせ、オーブンシートで包みながら直径4センチ程の筒状に転がし、形作る。冷蔵庫で冷やし固める。8


ラッピングをしてプレゼントにするのもおすすめです。
アモール ポレンタ

ポレンタへの愛という名のケーキは、まさにその名の通り黄色いとうもろこしの香りがするパウンドケーキです。とうもろこし粉を粗めのコーングリッツで作るとプチッとした歯応えが感じられ、それも美味しい。
バター(常温に戻す) ― 100g
砂糖 ― 100g
全卵 ― 1個
卵黄 ― 2個
とうもろし粉・アーモンドパウダー・薄力粉 ― 各50g
アマレット(あれば) ― 大さじ1
<作り方>
1 オーブンを180度に余熱をする。
型にオーブンシートを敷く。
2 バターに砂糖を加え、白っぽくもったりするまでするまで泡立て器で混ぜ合わせる。
3 全卵と卵を混ぜ合わせ、1に少しづつ加え、その都度混ぜ合わせる。
4 2にとうもろし粉とアーモンドパウダーを加え、混ぜ合わせ、薄力粉を加え、さっくりと混ぜ合わせる。アマレットを加え、混ぜ合わせる。
5 180度のオーブンで40分程焼き、竹串を刺して何もついてこなかったら焼き上がり。
冷めたら型から出し、アルミホイルで包んで一晩置く。



ポレンタは水で練って煮込みなどをかけて食べたり、焼いたりと料理でも様々な使い方をされます。
限られた食材で簡単な工程で作ることが出来て必ず美味しい。さすがイタリアですね。
どれも簡単です。是非挑戦してみてくださいね。