キリスト教の総本山バチカンを擁するイタリアでは、宗教行事と祝い菓子は切っても切り離せない深い繋がりを持っています。
その昔、甘いものが貴重であった時代は菓子が繁栄の証でした。木の実や果物を干して作られたナッツやドライフルーツは豊作のへの祈り。そして郷土菓子の形や名前は、歴史を辿れば宗教的な意味合いを持つものも多く、同じような材料を使用しながらも地方ごとに多種多様な形状があるのも興味深いところ。
今回はイタリアで作られるクリスマス郷土菓子をそれぞれ歴史を辿りながらご紹介しようと思います。
クロチェッテ(2〜3人分)
カラブリア州を代表する伝統食材の干しいちじく。
保存が効く甘い食材である干しいちじくはその昔貴重な食材でした。
クリスマスまでとっておき、クロス型にしていただくこのシンプルなお菓子は当時はご馳走。
今はこれをシロップ漬けにしてお土産品として売られています。
干しいちじく ― 4個
アーモンド ― 4粒
オレンジ(無農薬)の皮のすり下ろし ― 少々
ローリエ ― 2枚
<作り方>
1 干しイチジクは水で洗い、キッチンペーパーで水気をふく。半分の厚さに切る。
2 アーモンド1個とオレンジの皮のすり下ろし少々を挟む。
もう1切れを同様に作って十字に重ねる。
3 上から強く押して密着させ、オープンシートを敷いた天板に並べてローリエをのせ、180 ℃に温めたオープンで約10分焼く。
*無農薬オレンジが手に入らない時は無農薬レモンの皮のすり下ろしかレモン汁少々をかけて代用しても良い。
ピニョラータ(2〜3人分)
可愛らしい響きのこのお菓子はシチリア地方でカーニバルやクリスマスの時期に作られる揚げ菓子で語源はpigna(ピーニャ)『松かさ』から。
松かさは沢山の実をつけることからシチリアでは豊かさの象徴としてのモチーフとされています。家族繁栄、多産を願って家のインテリアのモチーフにされたり、置物になっていたりと縁起物の一つです。
はちみつを絡め、カラースプレーを散らした華やかな揚げ菓子にしてクリスマスを祝います。
A:薄カ粉 ― 125g
A:グラニュー糖 ― 50g
A:塩 ― ひとつまみ
A:溶き卵 ― 1 /3個分
A:オリーブオイル – 大さじ1と1/2
A:ブランデー ― 大さじ 1と1/2
オリーブオイル(揚げ油用) ― 適量
はちみつ(仕上げ用) ― 適量
カラースプレー(仕上げ用) ― 適量
<作り方>
1 ボウルにAを入れて混せる。全体が一つにまとまったらラップをして冷蔵庫で1時間休
ませる。
2 1を直径1センチ程の棒状にのばして1センチ程の長さに切る。
3 中温に(170度〜180度)180 に熱したオリーブオイルで2をこんがり揚げ、油をきる。
4 フライバンにハチミツを入れて弱火で熱し、3を加えて絡める。
カースプレーをふる。
チェルドジーノ(18センチの丸型)
ボローニャに伝わるクリスマス菓子でボローニャにある修道院の名前certosaチェルトーザで
作られていたことからその名前の由来です。
中世の時代、スパイスはその薬効から薬局が取り扱っており、食材の腐敗効果があることから菓子作りが行われるようになり、やがて病院の役割もになっていた修道院に受け継がれました。
スパイスやフルーツの砂糖煮をたっぷり加えたこのクリスマス菓子には長い歴史が刻まれています。
A:薄力粉 ― 150g
A:ココアパウダー ― 15g
A:ベーキングパウダー ― 3g
A:グラニュー糖 ― 35g
A:シナモンパウダー ― 小さじ1/3
B:ビターチョコレート(粗みじん切り) ― 30g
B:くるみ(粗く刻む) ― 100g
B:レーズン ― 40g
B:はちみつ ― 150g
B:赤ワイン ― 100ml
フルーツの砂糖煮 ― 適量
はちみつ(仕上げ用)湯煎で溶かす ― 適量
<作り方>
1 Aを混ぜ合わせ、ふるいにかけ、ボウルにBと共に材料を入れ、 ヘラで混ぜ合わせる。
2 オーブンを180℃に温める。
型の底面と側面にオーブンシートを敷く。
3 型に1を流し入れて平らにならし、フルーツの砂糖煮を飾る。
4 オーブンで45分程焼く。
熱いうちに、湯せんで溶かしたはちみつを刷毛で塗り、そのまま冷ます。
イタリアの歴史に思いを馳せながらいただくと味わいも増してくるからか不思議です。
どれも工程は簡単です。
クリスマスにチャレンジしてみるのはいかがでしょうか。