2018年、「ヴィーガンイタリアン」という鮮やかなコンセプトで、日本のガストロノミー好きにおける「ヴィーガン料理」の認識に革命を起こした東京・銀座「FARO(ファロ)」。
リオープンに合わせてエグゼクティブシェフとしてイタリアから招聘された能田耕太郎シェフは、日本各地から選び抜いた食材を、本場イタリアのファインダイニングと時差のない最先端の技術で、美しく華やかにその魅力を際立たせた「イノベーティブイタリアン」として提案。就任からわずか2年で『ミシュランガイド東京2021』の一ツ星に輝きました。
そんな能田シェフが、新しい年の始まりに、ゲストの健やかで幸せな1年を祈って打ち出したのが「“KOYASAN” FARO Oriental Vegan course(“高野山”ファロ オリエンタル ヴィーガン コース)」。聖地・高野山とコラボレーションして、伝統ある儀式「生身供(しょうじんく)」で供される精進料理を範としつつ、モダンに再構築しました。
生身供とは、弘法大師空海に御膳を1日2回お供えする儀式で、およそ1200年に渡って受け継がれ、今も毎日行われています。仏教に基づく精進料理ですから、ヴィーガンとはまた違った考え方により、肉や魚はもちろん、ネギやにんにくといった香りの強い食材も用いません。
「イタリアから日本に帰国して自分のルーツを改めて見直すと、愛媛県の実家は真言宗で、仏教の考え方は身近に感じられるものでもありました。精進料理は、日本古来のヴィーガン料理ではないかと、東北から九州まで回り、さまざまな精進料理を学びました。高野山とのご縁をいただいたのは2019年のこと。1年をかけてじっくり取り組んだのが、この度お披露目した“KOYASAN” FARO Oriental Vegan courseです」と能田シェフは言います。
脈々と受け継がれてきたレシピを教えていただけたことはとてもありがたく、多くの学びや気付きがあったとか。たとえば、高野山で料理の基本となる精進出汁。干瓢、昆布、どんこ(しいたけ)で取った出汁に、香ばしく炒った米と豆で香りづけした出汁は、身体に染みわたるようなしみじみと清らかな味わい。能田シェフはこのピュアな出汁に、ハーブから抽出したオイルを加えて、すがすがしく爽やかなイタリアンフレーバーの「ハーブ出汁」に仕上げました。
「FAROではもともと、セロリ醤油やフェンネル醤油、イタリアのスペルト小麦でつくった麹で仕込んだ味噌といった自家製の変わり醤油や味噌をつくっていました。精進料理の味を格上げするのは発酵のうま味ですが、かねてより発酵技術を習得していたので、生身供のレシピにも積極的に取り組むことができました」(能田シェフ)。
ヴィーガンは規制ではなく、より新しい表現への挑戦だったと語る能田シェフ。野菜の切れ端でスープを取ったり、カラフルなパウダーをつくったり、食材を無駄にせずまるごと使い切るというサステナブルな能田シェフの考え方も、どこか仏教に通じところがあるように感じます。
それにしても祈りのための料理が、これほど美しく再構築されたのは、日本の食文化史上初めてではないでしょうか。
なかなか先の見通しが立ちにくく、落ち着かない毎日が続くいま。聖地に繋がるような料理を楽しみ、心穏やかなひと時を過ごしてみませんか。
東京都中央区銀座8-8-3 東京銀座資生堂ビル10階
0120-862-150/03-3572-3911(予約受付は営業日の11時〜22時)
12時~13時30分L.O.、18時〜20時30分L.O.
日曜、月曜、祝日、夏季(8月中旬)、年末年始休
https://faro.shiseido.co.jp/
“KOYASAN” FARO Oriental Vegan Course
料理コース(10品)のみ 15,000円(税込・サ別)
料理コース(10品)+ペアリングドリンク付き(アルコールまたはノンアルコール)30,000円(税込・サ込)
提供期間:2021年2月27日(土)まで
ランチタイム11:30~13:30(L.O) ディナータイム17:00~18:30(L.O)
※食材の仕入れ状況により、提供内容が変わりますのでご了承ください。