イタリア料理といえば、生ハムにチーズ、パスタやピッツァ。肉料理も魚料理もバリエーションが豊富で、「ベジタリアン」とか「ヴィーガン」という言葉が持つ、ちょっとストイックなイメージとはかけ離れているかもしれません。
イタリアの豊かな食の世界はそのままに、イタリア食材でおいしいベジ料理を楽しもう。そんなユニークなコンセプトのフードイベントが、昨年秋、東京で開かれました。イベントを主催したのは、70のメンバーで構成されたCSOイタリア(果物・野菜サービスセンター)。ゲストとして、日本初の中東系ベジタリアンレストラン「Salam(サラーム)」をプロデュースするなど、今をときめくスターシェフ・米澤文雄氏を迎えて、クッキングデモンストレーションを行ないました。
「イタリア料理はもともと、野菜をふんだんに使う料理なので、ベジ料理とは相性がいいんです。オリーブやドライトマトといったイタリア料理らしい食材のほか、僕はひよこ豆などもよく使います。季節には、ポルチーニも欠かせませんね」と米澤シェフ。
イベントで使った食材は、スーパーマーケットで見かけたことがあるものや、オンライン販売しているものなど、誰でも簡単に手に入れられるものばかり。それが米澤シェフの手にかかると、レストランクオリティに仕上がるから驚きます。
米澤シェフがイベントで披露した、3品のベジ料理のレシピをご紹介しましょう。
ひよこまめとペンネのパスタサラダのレシピ
ペンネ 100g
ひよこ豆 1缶
ブロッコリー 1/2個
レタス 1/4個
トレビス 1/4個
コリアンダーシード 5g
クミンシード 5g
塩 適量
EXバージンオリーブオイル 40g
ドライオレガノ 1g
レモンジュース 15g
にんにく(すりおろし)少々
ピスタチオ 15g
ディル 適量
<作り方>
①ペンネはパッケージの記載通りにゆで、ザルにあけてオリーブオイルをまぶして冷ます
②ブロッコリーは一口大に切り、ペンネをゆでる鍋で同時にゆでて冷ます
③野菜はすべて一口大に切る
④ボウルに冷ましたペンネとブロッコリー、野菜をすべて入れ、調味料、ハーブ、スパイスを加えてしっかりと味を混ぜ合わせるようになじませる
⑤器に盛って砕いたピスタチオとディルを飾る
カットトマトと焼きなすのタルタル仕立てのレシピ
なす 5本
カットトマト 100g
白ごまペースト 大さじ1
レモンジュース 15g
EXバージンオリーブオイル 25g
エシャロット 大さじ1
ひよこ豆 1/3缶
アンディーブ(赤・白) 各1個
塩5g
にんにく(すりおろし)少々
<作り方>
①なすは直火でしっかりと焼き、皮を半分くらいむいて包丁で粗めに叩く
②ボウルに①とカットトマト、調味料をすべて加えて全体をさっくり混ぜ合わせる
③皿にカットしたアンディーブをのせ、アンディーブでなすをディップして食べる
栗とバニラ、アーモンドミルクのポタージュのレシピ
栗のピュレ 500g
アーモンドミルク 250g
水 適量
ペドロヒメネスビネガー 適量
皮付きアーモンド 適量
バニラビーンズ 少々
黒胡椒 適量
EXバージンオリーブオイル 適量
<作り方>
①栗のピュレとアーモンドミルクを混ぜ合わせ、水を加えて濃度を調整する
②加熱して塩とバニラビーンズで味を整える
③器に盛り、ペドロヒメネスビネガーと黒胡椒を振り、皮付きアーモンドを添える
これはおいしい。肉も魚も大好きな私が、たまにベジ料理に感じるうま味のもの足りなさ(正直に言いますと、あまりワインが進まない)。それがまったくないどころか、しっかり満たされるのは、さすがグリル料理店「The BURN(ザ・バーン)」を超人気店に育てるなど、焼いた肉の持つ力強いうま味の長所も知り尽くした米澤シェフならでは。
たとえば、栗のポタージュに使ったペドロヒメネスビネガーのように、アクセントの強い調味料を使ったり、レモン果汁などで酸味を加えたり、複数のハーブやスパイスを重ね使いして、香りに奥行きを持たせたりすると、野菜だけでも満足できる味に仕上げられるそうです。
「イタリアには、オリーブオイルやバルサミコ酢、ワインビネガーなど、上品な香りものもがたくさんあります。こういった調味料を使うと、レストランの本格的な味わいに近づきやすくなります」と米澤シェフは教えてくれました。
イタリアで、有機野菜やフルーツを栽培しているマッツォーニ社のニコラ・ボルガッティさんは「私たちがつくっている最高品質のフルーツのピュレは、味覚が確かな日本のみなさんにもきっと喜んでもらえるはずです」と言います。
ブラッディオレンジジュースで有名なオランフリーゼル社のサラ・グラッソさんは「濃縮還元ではない、ストレート果汁のおいしさをイタリアからお届けします」と言います。
イタリアの青空の下で大切に育てられて日本に届く野菜やフルーツ。長引くステイホーム期間で、ヘルシーなくらしを始めた人も多いのではないでしょうか。たまにはイタリアに思いを馳せながら、イタリア食材でベジライフを楽しんでみませんか。