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アルマーニ / リストランテから、フードロス問題など食の課題を解決する新メニューが登場

昨年、フードロスバンク協力のもと、フードロス食材を主役としたコースメニュー「ロスフードメニュー」を展開して大きな話題となった、デザイナージョルジオ・アルマーニ氏が監修をつとめるイタリアンレストラン「アルマーニ / リストランテ」。ミラノ、ドバイ、ニューヨーク、東京の4都市に4店舗を展開しています。(エンポリオ アルマーニ カフェは含めず)。


モダンイタリアンをベースとし、洗練された料理を提供するコンセプトは各店舗で共通しているものの、各店ともにエリア毎の特色を持っています。東京のアルマーニ / リストランテは、日本の旬の食材との融合が特徴で、季節の食材を使用したコース料理は春、夏、秋、冬と季節毎に内容を変更しています。


アルマーニ / リストランテのエグゼクティブシェフであるカルミネ・アマランテ氏は、ロスフードメニューをきっかけに、日本の農業や食材、地球環境に対してより深い関心を抱き、食材を扱う立場としての使命を再考したと言います。そして、再度フードロスバンクとタッグを組み、現在社会が抱えるあらゆる問題に焦点を当てた新メニュー「サステナビリティ」を作り上げました。今回のサステナビリティメニューは、3つの「サポート」をテーマに掲げています。その3つとは「日本米のサポート」「地方のサポート」「フードロス食材のサポート」です。以下、それらの詳細をみていきましょう。


日本米のサポート

「サステナビリティ」メニューで使用される日本米の田んぼ
「サステナビリティ」メニューで使用される日本米の田んぼ

日本人にとってソウルフードともいえる「日本米」は、日本国内での需要低下により多くのロスが生まれています。また、米農家が廃業に追い込まれるケースも発生しています。イタリアンレストランでリゾットを作る際は、空輸されたイタリア米を使うことが通例とされていますが、今回のメニューでは日本米を使用したリゾットを提供。リゾットの楽しみでもあるアルデンテの食感を残すために、アマランテ氏はフードロスバンク提供の多くの日本米を試食し、さらに日本米に適した調理方法を考案することで、見事なアルデンテを楽しめるリゾットを作り上げました。空輸に頼らず、より短いフードマイレージで作り上げる日本米のリゾットは、環境問題の観点からも地球に優しい一皿です。


地方のサポート

北陸地方の豊津の風景
北陸地方の豊津の風景

「地方のサポート」は、食材選びのために日本の地方を多く訪問し、その素晴らしさを知るアマランテ氏らしい着眼点です。今回は「北陸地方」に焦点を当て、コース内で使用されるメイン食材は全て北陸産のもので統一。一つの地域でこれほどまでに豊かな食材が入ることをお客様に知ってもらうことで、料理を通し、地方のパワーと豊かな可能性を表現しています。今後サステナビリティコースでは、季節毎に異なるエリアをピックアップし、日本の各地方で生まれる魅力あふれる食材を発信していく予定とのこと。


フードロス食材のサポート

能登にある「TAKA農園」の野菜
能登にある「TAKA農園」の野菜

「フードロス食材のサポート」は、見た目の問題で通常ルートでの出荷ができない食材を、一部の料理に使用することで実現しました。また、今回のメニューのために調達された食材は、その全てを無駄にしないように工夫がなされており、普段は廃棄する野菜の切れ端なども出汁として料理に使用するなど、徹底した「ゼロロス」を実現しています。


次に、サステナビリティメニューに関してご紹介します。


高農園のサラダ
高農園のサラダ

アミューズとして登場するのは「高農園のサラダ」。その日におすすめの野菜を20種類以上入荷し作り上げられるサラダは、訪れる日により使用される野菜が異なる「一期一会」の一皿。パセリを使った「サルサヴェルデ」ソースを絡めて召し上がってください。伝統野菜を含め多くの野菜を栽培する「NOTO高農園」は化学肥料を使用せず、畑に無理のない輪作栽培を採用しています。


スモークハマチ
スモークハマチ

前菜は、福井県のプライドフィッシュでもあるハマチを使用した一皿。塩をふり、適度に水分を抜いたハマチをスモークしてうまみを閉じ込めました。そのハマチをスライスしたラディッシュで巻き、トップにはポロネギのフリットをトッピング。さわやかな酸味のセビーチェソースでお召し上がりください。ロスを減らし生態系を守るため、サイズが小さかったり、食用としての需要が少なかったりして市場に出回らない「未利用魚」を出来るだけ獲らない工夫がされた定置網漁で水揚げされたものを使用しています。


スナップエンドウのリゾット
スナップエンドウのリゾット

日本人の米離れが進む中、日本一の生産量である新潟県産米のロスを防ぐため、リゾットにあう新潟県産米を厳選して配合した「れすきゅう米」を使用。本来は捨ててしまう、野菜の切れ端からとった出汁でお米を煮詰め、グリーンピースのピューレ、パルメザンチーズを絡めています。トップにはオーガニック卵のポーチドエッグをトッピング。周りにはパルメザンチーズのソースとスモークしたスナップえんどうを添えて。ナポリの伝統的なパスタ「パスタ エ ピゼッリ」からのインスピレーションにより生み出された一皿です。


鰆の炭火焼き クレソンソース
鰆の炭火焼き クレソンソース

メインには前菜で使用されるハマチと同じく、福井県のプライドフィッシュに選ばれている鰆が登場。鰆は炭火で焼いた後、藁焼きで香りをつけて香ばしく仕上げました。鰆の下にはグリーンアスパラのスライスが敷かれています。ソースはアスパラガスの切れ端部分でとった出汁にエシャロット、ポロネギ、クレソンを合わせて香り豊かに仕上げています。


とみつ金時
とみつ金時

福井県フィールドワークス産のとみつ金時を使用したプレドルチ。なつかしさを感じさせるスティックタイプのアイスキャンディは、上部分はとみつ金時のアイスクリーム、下はベルガモットのシャーベットで、甘さと酸味のバランスを楽しむことができます。味は素晴らしいものの、形や大きさの理由で通常ルートでは出荷できないとみつ金時をペースト保存していたものを買い取り使用したそう。こちらの農園では、土壌環境のために三年に一度休耕地を作り、クロタラリア(豆科)を植えて土壌の活力維持に努めています。


いちご 酒粕
いちご 酒粕

石川県の紅ほっぺと、福井県産の黒龍の酒粕を使用したデザート。フレッシュな苺で囲まれた内部には、形を理由に出荷できない苺のピューレをシャーベットにしたものと、酒粕を使用したジェラートを忍ばせています。酒粕は日本酒を製造する際に出来る栄養価の高い副産物ですが、常温だと数ヶ月しか保存できないといいます。廃棄を防ぐ為に「黒龍酒造」では、酒粕を蒸留して焼酎を作るなど有効活用に取り組んでいます。苺は、マイクロ水力発電による電力を使用して地域と共生している「いちごファームHakusan」の苺が使用されています。


以上、アルマーニ / リストランテの新メニュー「サステナビリティ」に関してご紹介しました。気になる方は、ぜひ足を運んでみてくださいね!


■サステナビリティメニュー
高農園のサラダ/スモークハマチ/スナップえんどうのリゾット /鰆の炭火焼き クレソンソース/とみつ金時/ いちご 酒粕/カフェ プティフール全6皿
12,000円(税込・サ別)


■アルマーニ / リストランテ

東京都中央区銀座5-5-4 アルマーニ / 銀座タワー10F、11F
Tel. 03-6274-7005
ランチ 11:30-15:00(L.O.14:00) 

ディナー 18:00-23:00(L.O.20:00)
定休日:月曜日