コーヒーショップに置かれているメニューから選び、そのままメニュー名通りに注文する。それは、私たち日本人にとって、日常的な光景だと思います。
しかし、イタリアのバールでは少し異なる光景を目にします。
「ちょっとぬるめに!」
「体調が悪いから、少しルンゴ(エスプレッソを長めに抽出すること)でね!」
「眠いから、目の覚めるような強い味にして!」
「僕のは泡多め、彼女のは泡無しでカプチーノを淹れて!」
といった会話が、バンコ(カウンター)を挟んでお客さまとバリスタとの間で飛び交っているのです。
なぜそんな注文の仕方をするのか? それは、イタリア人はいつも飲むものがほぼ決まっており、「私の一杯」的な意味合いで注文をすることが多いから。だからこそ、バリスタもお客さまの気持ちに応え、満足してもらえるように最高の一杯を提供するのです。
それはまるでお客さまとバリスタとの間で契約書を取り交すようなものですね。MIO BAR(ミオ・バール)だからこその日常なのです。
私のお店〈ピエトレ・プレツィオーゼ〉でも、同じようなスタンスで皆さまをお迎えしております。ぜひ、ご注文の際には何なりとお好みをお伝えください。「あなた好みの一杯」をお淹れいたします。
【初出:この記事は2017年10月30日、初公開されました@AGARU ITALIA】