FASHION 24 Aug 2020

初のオンライン版!デジタルファッションウィーク2020よりおすすめコレクションムービーを紹介


デジタル版で開催された今年のファッションウィーク

これまでファッションウィークと言えば、世界中の名だたるファッションエディターやセレブ、インフルエンサー、女優、大手百貨店やセレクトショップのバイヤーらが一同に集まる大イベントだった。ショー会場では、デザイナーによる情熱溢れる演出と、観客側の期待や高揚感が一体となり、こだわり抜いたコレクションをじっくりと堪能することができた。マスクや除菌スプレーはもちろん、ソーシャルディスタンスを気にすることもなく、久々に再会した業界人同士でゴシップをしたり、アジェンダを片手に、究極の三密となるショー会場を一日に何度もはしごしていたなんて、今では信じられない!そんな今年のパリコレクションとミラノコレクションは、新型コロナウイルスの影響により、デジタル版で開催されることになった。以前のように各ショーのスケジュールが書き込まれたカレンダーはあるものの、実際のショーではなく、コレクションムービーがカレンダーの時間に合わせてストリーミング配信されるというものだ。
今回は、ワカペディアが気に入ったコレクションムービーを3点、そしてデジタル化を通して見えてきた事についてご紹介しよう。

まずは、ワカペディアが十代の頃から会場に足を運んでいた、ミラノファッションウィークに注目しよう。今回のデジタル版ミラノファッションウィークで、ワカペディアが気に入ったコレクションムービーは、イタリアが誇る「グッチ」、「MSGM」、「プラダ」の3ブランドだ。

グッチ

コレクションの服はモデルが着用するもの、という固定概念を取り払った「グッチ」は、自社のクリエイティブチームのメンバーをモデルとして起用し、通常はリハーサルに使われるルック写真を用いてムービーを製作した。コレクションでは、レトロやボヘミアンテイストが取り入れられ、キャラクターやロゴ使いなども目立った。個性が引き立つスタイリングに、これまでになくどこか親しみやすさを感じるのは、ワカペディアだけじゃないはず!

MSGM

ティーンの頃の爽やかな夏の日を思い出させる、まるでミュージックビデオのようなコレクションムービーは、「MSGM」だ。リゾートコレクションでは、パーカにバミューダやワイドデニムなど、カジュアルでカラフルな色使いが目立った。途中には、ムービーの中で登場した様々な人種のモデル達が、SNS上でそれぞれの人生観や愛の形について語る様子が撮影されている。全体を通して、ダイバーシティに対する強いメッセージが反映されていたのが印象的だった。

プラダ

また、『The Show That Never Happened(これまで一度も行われなかったショー)』というタイトルが付けられた、「プラダ」のコレクションムービーも必見だ。今回は5名の写真家や映画監督らが、スーツスタイル、ワークスタイル、デイリースタイル、エレガンススタイル、スポーツスタイルという異なる5スタイルを、それぞれの観点から撮影している。細身のシルエットと、ミニマルなデザインが目を引くスーツスタイルは、さすがプラダ!と思わず言ってしまいそうな美しさだ。このミニマルさは、時代が複雑になるにつれ、服はよりシンプルで目立たなくなっている事。そして、服そのものが機能的な役割を果たす道具に過ぎなくなることを示唆しているようだ。リモートワークが増えたことで、自分の個性を表現するツールであった「ファッション」としての役割から、ただシンプルに「日常で着る服」へと変化しつつあることを、皮肉を込めて表現しているのかもしれない。

デジタル化を通して見えてきたこと

新しい形のファッションウィークは、その名の通り画面越しに行われた。デジタル化したことで、裏方のセットなど日常的な情景をあえて前面に出したブランドもあれば、普通のショーとほぼ変わらずに撮影した大手ブランド、試行錯誤したものの、服の良さを十分に伝えきれなかったブランドなどもあった印象だ。バイヤーらにとって、生地に直接触れることなく、素材や色が記載された資料や、ブランドの世界観やコレクションのコンセプトを伝えるカタログ、ムービー中の動いている服だけで全てを判断することは難しい。多くのブランドはそれらを理解した上で、コレクションそのものの質を上げるよりも、ムービーのコンセプトや雰囲気をより伝える事にフォーカスしたようだ。ショーだけでなく、ショールームもデジタル化し、オンラインプラットフォームを設けたブランドもあったが、デジタルへの対応にはお金もかかるため、若手デザイナーにとっては難しいシーズンになったことだろう。

デジタル版ファッションウィークは、こうして手探りで始まった。課題はあるが、今後はテクノロジーと組み合わせることで、よりサスティナブルで幅の広いデジタル・ショーになる可能性もあるし、リアルなショーではできなかったようなコラボレーションも出てくるかもしれない。また、会場に行く必要がなくなったことで、より多くのショーを観られるようになった事を考えると、以前よりも新たなブランドの「発掘」に使える時間が増えたことは、思わぬ利点と言えるのかも。新型コロナの影響で思うように出かけられず、パソコンと向き合う時間が長くなったそこのあなた。デジタル版ファッションウィークで、ショーのフロントローに座るセレブの気分を味わいつつ、自分のお気に入りブランドを探してみてはいかが?

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WRITER PROFILE
Wakapedia
Wakapedia

ワカペディアは、異文化交流の促進を目的としたトータルサイト。 設立者のサラワカは、日本人の両親の元ミラノで生まれ育ち、ロンドン、パリ、東京、イタリアでは、のちにワカペディアのオフィシャルメンバーとなる個性溢れる5名(GIULIA BISON, FEDERICA FORTE, YURIE N, YOKA MIYANO, CAMILLE BRUNET) と出会った。#CULTURECANBEFUNをモットーに、言語の壁を超え、アートやファッションをはじめとする様々な文化情報を、ユーモアを交えて発信している。 また、活動の一環として、世界的に有名なアーティストや著名人へのインタビューの他、企業のクリエティブコンサルティング、デジタルコンテンツの作成や記事の執筆なども手掛けている。 これまで担当したプロジェクトは、BRUTUS、ELLE JAPAN、L’OFFICIEL MAGAZINE、PLAYBOY ITALIA、POPEYE、TOILETPAPER MAGAZINE、VOGUE JAPAN等。