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日本人女性として初めてミラノコレクションに参加。
アンテプリマのクリエイティブ・ディレクター荻野いづみ氏インタビュー<アート×デザイナー編>

1998年にミラノコレクションに参加して以来、「アンテプリマ」のクリエイティブ・ディレクターとして、ファッション業界の第一線で活躍する荻野いづみ氏。日本人女性として初めてミラノコレクションに参加した彼女の才能は、ファッションのみならず、ファイン・アート、宝飾デザイン、生け花など多岐にわたる。1980年代に香港へ移住し、現在は日本、ミラノ、香港を拠点に活動する彼女が、アートから女性のエンパワーメントやファッションまで、赤裸々に語ってくれた。インタビュー第1弾(アート×デザイナー編)がついに解禁!

アンテプリマのクリエイティブディレクター荻野いづみ氏

ワカペディア:いづみさん、インタビューできるのを楽しみにしていました!まずはアンテプリマを設立した経緯について、教えてもらえますか?

荻野いづみ:イタリアブランドのアジア展開に携わっていた時、そのブランドのオーナー会社から、一緒にブランドを立ち上げてみてはどうか?との提案を受けたので、思い切ってやってみる事にしたんです。当時、そのブランドの売り上げの大部分がニット生産だったことや、新しい素材や編み方を提案していた部門もあったので、立ち上げた当初はバッグと靴からスタートしたのですが、その後ニットや布帛(ふはく)も取り扱うことになりました。新しい挑戦だったのに全くドキドキハラハラしなかったのが、今では可笑しいくらいですね(笑)

ワカペディア:そういう経緯だったんですね(笑)いづみさんといえば、日本人女性として唯一ミラノコレクションに参加されていますが、ミラノで発表するにあたり苦労されたことはありますか?

荻野いづみ:やっぱり、異文化の中で育った方々とのコミュニケーションの難しさですね。でも、そのような環境下でキャリアを構築してきたことで、インターナショナルな感覚が身についたのも確かです。最終的にそれらが混ざり合って、私のコレクションへ大きな影響を与えていると思います。

ワカペディア:確かに、文化が違えば考え方や仕事の仕方も違いますし、コミュニケーションの取り方や距離感も大きく変わりますもんね。ここからは『クリエイティブ』をテーマに、いくつか質問させてください。いづみさんはアートがとても好きだと伺いましたが、どのようなアートが好きですか?

荻野いづみ:アートは、イタリアのブランドで働いていた時の影響で、よくチェックするようになりました。その中でも、実際にアーティストと会って話したり、食事を共にできるチャンスがあるので、現代アートが好きです。

ワカペディア:気になるアーティストはいますか?

荻野いづみ:日本人アーティストも好きですが、個人的に好きなアーティストは、ダミアン・ハースト氏(※)ですね。ここまでアーティストとして世界的に成功していることも素晴らしいですし、とにかくアイデアが奇想天外なので面白いと思います。

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ワカペディア:私もすごく彼の作品が好きなんです!良いですよね。

荻野いづみ:よくアートとファッションの違いについて聞かれますが、アーティストの役割は「疑問を投げかける」、私達デザイナーは「答えを出す」、という大きな違いがありますよね。特にデザイナーの場合は「着やすさ」という枠や制限があるからか、枠に全く捕らわれないアーティストが好きです。いつも思うことは、アート作品における「額縁」もしくは「壁」のように、アートにとって一番の良き理解者でありたいということですね。

ワカペディア:面白い視点ですね。ちなみに、「グッチ」の革命家とも言われているアレッサンドロ・ミケーレのような、物議を醸すファッションについては、どう思いますか?

荻野いづみ:すごく良いと思いますよ。作品を通して人々に疑問を投げかける前に答えが出ているアーティストは、アーティストというよりデザイナーなんじゃないかなと思います。彼らの作品が部屋にあったとして、それが周りに溶け込んでいる素敵なインテリア止まりであれば、それはアートではないのかなって。

ワカペディア:確かにそうですね。才能豊かないづみさんなので、もしかすると今後アーティストに転身したりして?(笑)

荻野いづみ:それはないですね!(笑)

限られた時間の中、落ち着いた話し方でチャーミングに語ってくれた。次回のインタビュー(ファション編)もお楽しみに!

※イギリスの現代美術家で、新作の販売価格は、現存する美術家の中でも最も高価な内の一人

第2弾(ファッション編)を読む

アンテプリマ
https://jp.anteprima.com/

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