舞台は由緒ある館の庭園
ヒストリックカーの祭典「コンコルソ・デレガンツァ・ヴィラ・デステ」が、2018年5月26日と27日、スイス国境に近いコモ湖畔で開催されました。その歴史を1929年に遡る、現存する欧州最古の自動車エレガンス・コンクールです。
コンクールの舞台となるヴィラ・デステは、もともと修道院として設計され、16世紀には枢機卿の夏の別荘として用いられていました。離れの館は英国王妃のために使われていた時代もあります。そうした長い歴史を引き継ぎ、1873年からはホテルとして多くのセレブリティをもてなしてきました。
ハリウッド映画ゆかりの名車たち
5月は初旬から長雨に祟られていたイタリア半島でしたが、その日クルマ好きに幸運の女神は微笑みました。夏の到来を予感させる太陽のもと、会場となったグランドホテル・ヴィラ・デステの庭園には、世界15の国と地域からエントリーした51台のヒストリックカーが集いました。
今年のテーマは「Hollywood on The Lake」。参加車の年代は1909年から1985年にわたり、9カテゴリーに分けられて審査を受けました。実際にスクリーンに登場したり、主演俳優などが所有していたなど、映画ゆかりの車両カテゴリーも設けられています。
「007シリーズ」でショーン・コネリー扮するジェームズ・ボンドが駆った「アストン・マーティン DB5」の前では、思わずあの名テーマ曲を口ずさむ一般来場者がいました。「若き日に恋人と観たのを思い出しました」。そう語る紳士の脇には恥ずかしそうに微笑む夫人の姿がありました。コンクールは、自動車という20世紀の偉大な創造物を讃えると同時に、人々が懐かしい記憶に思いを馳せることができるイベントでもあるのです。
舞台にも、披露されるクルマにも、歴史に裏打ちされた深い味わいがある。それこそが世界に数ある自動車エレガンス・コンクールのなかで、ことのほか格調高いものとして人々を魅了する所以です。
CONCORSO D’ELEGANZA VILLA D’ESTE
http://concorsodeleganzavilladeste.com