INTERVIEW
CULTURE 05 Mar 2021

ボローニャ在住歴約40年のコンテンポラリーアーティスト加納達則氏に訊くアーティストとしての旅路そしてボローニャの町<後編>


80年代にイタリアへ渡り、コンテンポラリーアーティストとして国際的に活躍する、加納達則氏へのインタビュー特集(後編)!今回は、現地在住約40年の加納氏が、2021年ユネスコ世界遺産の候補となっている街、ボローニャの真の見どころをご紹介します。

前編はこちら

ワカペディア: 前編は、アーティストとしての旅路に関するインタビューでしたね。特にアーティストの卵や、海外で活動を視野に入れている方々には、とても参考になるお話だったと思います。今回は、そんな加納さんがオススメするボローニャの見どころを教えてください!

加納: 楽しんでもらえたなら良かったです。そもそもボローニャはイタリア北部のエミリア・ロマーニャ州の州都であり、ヨーロッパ最古の大学があるため、イタリアでは多くの学生で賑わう若者の街として知られています。日本人に知られているのは、食でしょうね。「ラグー・アッラ・ボロニェーゼ」と呼ばれるミートソースだけでなく、タリアテッレ(きしめんのようなパスタ)やラザニアが有名で、美食の街とも言われています。その一方で絵本やアート、化粧品、食などの国際見本市も多く開催される他、ランボルギーニとドゥカティなど大手企業の機械工場などが立ち並ぶ工業都市なんですよ。

ワカペディア: そういえばグルメ好きなワカペディアチームも、数年前にミラノから特急に乗って、ボローニャで本場のボロネーゼを食べたのを思い出しました!どこのレストランに行ってもすごく美味しかったです。でも、ボローニャが工業都市だったなんて初耳です。

加納: 私も住むまでは知らなくてね。ボローニャには、フィレンツェやローマのような代表的な観光名所はあまりありませんが、歴史溢れる古き街並みに建築がよく馴染んでいるんです。中でも、ポルティコ(portico)とよばれる中世に造られた柱廊アーケードは、雨の日は濡れずに市内を歩くこともできる優れた建築で、ボローニャの名物ですね。市内だけで38kmもあるんですよ。このアーケードを歩きながら、丘の上のサン・ルカ教会まで散策するのがオススメです。

ワカペディア: 38kmものアーケードを歩いたら、いい運動になりますね(笑)ポルティコは、2021年のユネスコ世界遺産の候補地にもなっているようですし、ますます見逃せませんね!他に、日本人として特に紹介したい場所はありますか?

加納: 広島の平和記念公園や東京都庁舎などを手掛けた、丹下健三氏が設計したフィエラ地区センターですね。その規模と統一感は、ボローニャの国際見本市会場と一体化していて、現在でも有機体のような広がりをみせています。その建築群の玄関口には、イサム・ノグチ氏のモニュメントもあるんです。他にもボローニャには、建築家である高濱和秀氏の作品が沢山ありますね。ボローニャ・マルコーニ空港からバス停の待合ボックスにいたるまで、様々な形で残されています。幸いにも、ボローニャ空港のファーストクラスラウンジやエミリア・ロマーニャ州庁舎にも、私の作品が収蔵されているんですよ。

ワカペディア: 空港や州庁舎にまで作品が置かれているなんて、さすがです!予想以上に、ボローニャは日本人芸術家や建築家にとって所縁のある土地なんですね。そんな加納さんがオススメする地元のレストランはありますか?

加納: もちろん!しっかり食べたい人にオススメなのが、All’Osteria Bottegaですね。地域の伝統料理を楽しめるレストランですが、クオリティの高さは地元でも有名で、いつも満席です。あとは、Osteria del Soleですね。ここは昔ながらのオステリア(日本で言う居酒屋)なんですけど、食べ物を持ち込めるんです。近くのお惣菜屋さんで安く買ったつまみを片手に、美味しいワインを飲めるという、コスパが最高の居酒屋なんですよ。ちなみにテーブルは、こぼれたワインや長年の摩擦で黒光りしているような年季ものです。酔っ払って寝てしまった呑んべいのヨダレも付いてるかもね(笑)

All'Osteria BottegaAll’Osteria Bottega

ワカペディア: そんなに居心地が良いとは!(笑)見どころの建築とグルメスポットを教えてもらったので、次はアートを楽しめるスポットを教えてください。

加納: 前編でも紹介した家具デザイナーのディノ・ガヴィーナ氏のお店、Ex Negozio Gavinaかな。ボローニャの古い町並みと、店内にある現代家具や美術品のコントラストがとても印象的な空間です。私も一度、そこで展覧会を開催した事があるので、とても思い入れが強い場所です。イタリア人が得意とする、現代的なものと伝統的なものを上手に混ぜ合わせるという技術を、実践的に学ばせてもらった場所ですね。

ワカペディア: なるほど!お店自体がギャラリーのような場所なんですね。そんな加納さんのオススメアートスポットを、あともう少しだけ聞かせてください!(笑)

加納: 参考にして貰えるのなら嬉しいです(笑)ボローニャ国立絵画館 (Pinacoteca Nazionale)もオススメですよ。ここではルネサンス期の画家、ラファエロの聖セシリアという絵画や、グイド・レーニなどマニエリスト期の画家の作品を鑑賞できます。他にも(不安定な構図や非現実的な色彩法を組み込むことで、自然を超えた美しさを追求する)マニエリスムの画家の作品もあります。コンテンポラリーアートが好きな方は、ボローニャ近代美術館がオススメです。私が大好きな20世紀美術史を代表する巨匠、ジョルジョ・モランディの作品を見ることができます。ここに来る度に、いつか居間にモランディの作品を飾って、それを眺めながらお茶でも飲めたらな、なんて妄想するんですよ(笑)

ワカペディア: 素敵な夢ですね、私もいつか彼の作品に手が届くような人になりたいです(笑)最後に、加納さんから見るボローニャの良さについて聞かせてください。

加納: ボローニャの良さは、典型的な観光名所があまりない代わりに、イタリア人の生活や地元に根づいた文化を身近に感じられる事ですね。少し地味だけど、歴史的にも文化的にも豊富なところが、なんとも好きなんです。ちなみに、毎年夏には無料の野外映画祭が開催されて、フランシス・フォード・コッポラなどの名だたる監督も参加しているんですよ。

ワカペディア: 映画好きにはたまらないですね。今回のインタビューから、とても魅力的な街だということが伝わってきました。加納さん、貴重なお時間ありがとうございました!

「なぜ日本人アーティストがボローニャに?」そんな素朴な疑問から始まった加納氏へのインタビューだったが、彼の半生を知ることで、なぜ自身の才能をこの街で発揮できたのか、私達は分かったような気がした。日本人として守り続けているアイデンティティと、アートへの変わらぬ情熱。技術や語学力はもちろんのこと、その土台にあるエッセンスは紛れもなく、この小ぢんまりとした古き良きボローニャへの深い愛情だ。さぁ、コロナが収束した時のために、早速ワカペディアのTO DOリストにボローニャ観光を追加しなくっちゃ!

All’Osteria Bottega

Via Santa Caterina 51, 40123 Bologne
+39 051 585111
https://m.facebook.com/Osteria-Bottega-121651694555766/

Osteria del Sole

Vicolo Ranocchi, 1, 40124 Bologna
+39 347 968 0171
http://www.osteriadelsole.it/

ボローニャ国立絵画館 (Pinacoteca Nazionale)

Via delle Belle Arti, 56, 40126 Bologna
+39 051 420 9442
https://www.pinacotecabologna.beniculturali.it/it/

ボローニャ近代美術館

Via Don Giovanni Minzoni, 14, 40121 Bologna
http://www.mambo-bologna.org/

Ex negozio Gavina

via Altabella, 23, 40125 Bologna

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WRITER PROFILE
Wakapedia

ワカペディアは、異文化交流の促進を目的としたトータルサイト。 設立者のサラワカは、日本人の両親の元ミラノで生まれ育ち、ロンドン、パリ、東京、イタリアでは、のちにワカペディアのオフィシャルメンバーとなる個性溢れる5名(GIULIA BISON, FEDERICA FORTE, YURIE N, YOKA MIYANO, CAMILLE BRUNET) と出会った。#CULTURECANBEFUNをモットーに、言語の壁を超え、アートやファッションをはじめとする様々な文化情報を、ユーモアを交えて発信している。 また、活動の一環として、世界的に有名なアーティストや著名人へのインタビューの他、企業のクリエティブコンサルティング、デジタルコンテンツの作成や記事の執筆なども手掛けている。 これまで担当したプロジェクトは、BRUTUS、ELLE JAPAN、L’OFFICIEL MAGAZINE、PLAYBOY ITALIA、POPEYE、TOILETPAPER MAGAZINE、VOGUE JAPAN等。