イタリアのサッカー文化に焦点をあてた本コラム、はじめにご紹介するのはこのクラブ。セリエA優勝36回、2019-20シーズンは前人未踏の9連覇を達成、と言えば熱心なカルチョファンはピンとくるでしょう。白と黒のユニフォームから「ビアンコネーロ」の愛称で知られる、ユヴェントスFC。
長きに渡りACミラン、インテル・ミラノとともにいわゆる“3強”(現在はほぼ1強状態ですが)を形成し、イタリアサッカー界を牽引。国中を巻き込むスキャンダルによる史上初のセリエB降格など低迷期を乗り越え、近年では世界最高のフットボーラーと称されるポルトガル代表 クリスティアーノ・ロナウドの所属クラブとしても、話題をさらっています。
実は2000年代前半、筆者がカルチョの虜になったのも、ユヴェントスがきっかけ。その繊細で芸術的なプレーから、ルネサンス期の名画家ピントゥリッキオの画風に例えられたアレッサンドロ・デル・ピエロ。金髪をなびかせ、ピッチ上を躍ったチェコの貴公子パヴェル・ネドベド。鉄壁の守護神ジャンルイジ・ブッフォン。今なお伝説として語り継がれる多くのスターたちの共演に、毎週末夜更かしをしながら心を躍らせたのでした。
ちなみに「ユヴェントス」とは「若者、青春」などを意味するラテン語で、元々は高校生が作ったクラブであることが由来だそう。欧州のクラブとしては珍しく名前に地名が入っていないため意外と知られていませんが、本拠地はイタリア北西部の大都市トリノ。国内最大企業フィアットが君臨する工業がさかんな街ですが、2006年のトリノ五輪を機に観光にも力を入れています。
かつてはフランス領であったり、サルデーニャ王国の首都であったりと、複雑な歴史背景を持つトリノには、世界遺産のサヴォイア家の王宮群をはじめ、旧跡や見どころが満載。観光大国の中にあって、ローマやヴェネツィアほどの派手さはないものの、その街並みと雰囲気は、他の都市とはひと味ちがった魅力にあふれているのです。新型コロナウイルスが収束し落ち着いたら、みなさんもぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。もちろん、ユヴェントスの試合観戦もお忘れなく。
文:M.E
<連載「PASSIONE CALCIO!」イタリアに深く根付くサッカーにフォーカスを当て、各地のクラブチームを、歴史やその土地の文化とともにご紹介!>
Vol.1 カルチョが映し出す、イタリアのカルチャー。
Vol.2 イタリアサッカーを牽引、9連覇中の絶対王者。