イタリア国旗カラーに染まったスタジアム
FEATURE
MUSIC 15 Jul 2021

イタリアのスポーツ応援賛歌特集


今回はイタリアの有名なスポーツ関連の応援歌、公式賛歌となった楽曲、ジムなどでのトレーニングの状況を歌った楽曲などを集めたプレイリストを作りました。
スポーツ観戦、自主トレ(ワークアウト)などなどの機会のBGMとしてもお楽しみください。

Buon ascolto!(ブオン・アスコルト / 意:聴いてね!)

プレイリスト収録曲詳細

1. お馴染みのイタリア国歌「Inno di Mameli(意:マメリの賛歌)」。マメリとは、作詞者の名前で、1847年に書かれた作品ですが、国歌となったのはイタリア共和国成立の1946年。イタリア選手団として出場する国際的な試合で必ずかかる楽曲ですが、ほんの数年前まで選手団が楽曲に併せて一緒に歌うシーンが見られるのはほとんどありませんでした。イタリアには国歌を一緒に歌う慣習が無かったようです。
法的に国歌と制定されたのはごく最近の2017年です。これ以降、選手団が一緒に歌うようになったと思われます。別名“Fratelli d’Italia(意:イタリアの兄弟・同胞)”で、歌い出しの歌詞からそう引用されることが多いです。

2. 前出のように長らく国歌を一緒に歌う習慣が無かったイタリアですが、1968年にリリースされたAdriano Celentano(アドリァーノ・チェレンターノ)が歌う「Azzurro(アッズッロ/意:空色)」は、選手も観客も一緒になって歌う有名な応援歌であり、まるで国歌のような存在です。何といってもその楽曲のタイトルが、イタリアのナショナルチームのイメージカラーをも意味するからに他なりません。

3. 特にサッカーの国際試合の時によく歌われるのが「Grazie Roma(グラツィエ・ローマ / 意:ありがとうローマ)」(1983)です。大スターAntonello Venditti(アンントネッロ・ヴェンディッティ)が、彼の地元でもあるローマのチームが2回目のスクデットを成し遂げた際に書き下ろして歌った楽曲で、ローマのチームはもちろんのこと、国際試合では“ローマ=ローマ帝国=イタリアの原型”として、イタリア自体の応援歌としても歌われることが多いようです。

ローマコロッセウムの写真

4. イタリアのフォーク/ロック界の兄貴分Edoardo Bennato(エドアルド・ベンナート)と、イタリアのロック女王Giannna Nannini(ジャンナ・ナンニーニ)がタッグを組んだ「Un’estate italiana(ウネスターテ・イタリアーナ / 意:イタリアのひと夏)」(1989)は、FIFAワールドカップ1990年(イタリア開催)で公式ソングに採用されました。世界で大成したイタリア人プロデューサーGiorgio Moroder(ジョルジオ・モロダー/ドナ・サマーらのプロデュース、映画『フラッシュダンス』、『トップガン』の音楽作曲)が作曲しています。

5. FIFAワールドカップ2014でのイタリアのナショナルチームの公式テーマソングに選ばれた「Un amore così grande 2014 (ウナモーレ・コズィ・グランデ・ドゥエミラクァトロディチ / 意:こんなに大きな愛 2014)」。歌うのはロックバンドNegramaro (ネグラマーロ)。“2014”がついているとおり、これはリメイク&リバイバルで、同曲のオリジナル曲は1976年に大スターClaudio Villa (クラウディオ・ヴィッラ/1926-1987/61歳没/Roma出身)が歌ったものです。

6. 同じくFIFAワールドカップ2014のTV中継のテーマ曲に選ばれたのは、大ベテランMina(ミーナ)が歌う「La palla è rotonda(ラ・パッラ・エ・ロトンダ / 意:ボールは丸い)」(2014)

7. FIFAワールドカップ2010でのイタリアのナショナルチームの公式テーマソングに選ばれたのはロックバンドLe Vibrazioni(レ・ヴィブラツィーニ)「Invocazioni al cielo(インヴォカツィォーネ・アル・チェロ / 意:空への祈り)」です。ちなみに2018年のW杯ではイタリアは予選敗退して出場できなかったため、公式応援歌はナシ、という黒歴史となっています。

8. 喜劇俳優であり、人気アーティストでもあるChecco Zalone(ケッコ・ザローネ)「Siamo una squadra fortissimi(シァーモ・ウナ・スクァードラ・フォルティッシミ / 意:僕らは最強のチーム)」は、FIFAワールドカップ2006のために作られた楽曲です。

水泳のイメージ

9. Claudio Baglioni(クラウディオ・バリォーニ)は、数々の国際大会の公式ソングに採用されている国民的アーティストです。最初に採用されたのは、世界水泳1994大会で「Acqua nell’acqua(アクア・ネッラクア / 意:水の中の水)」。

10. 世界水泳2009年大会でも再び公式ソングに採用されたクラウディオ・バリォーニ。「Un solo mondo(ウン・ソロ・モンド / 意:ひとつだけの世界)」。

11. クラウディオ・バリォーニは、FIFAワールドカップ1998年大会でも採用され、「Da me a te(ダ・メ・ア・テ / 意:僕から君へ)」をリリース。その他、トリノ冬季オリンピック2006では、インスト曲「Va(ヴァ / 意:行け)」などもあります。今回はSpotify に登録のある楽曲のみ収録しました。

12. Giro d’Ialia(ジーロ・ディ・イタリア)2020の公式テーマ曲に採用されたのが「GiraGiroGiraGi(ジーラジーロジーラジ)」歌ったのはExtraliscio(エクストラリショ)で俳優のAntonio Rezza(アントニオ・レッツァ)をゲストに迎えて録音されました。本サイトの過去記事「イタリアの自転車の歌特集」と合わせてお楽しみください。

13. ロックバンドFinley(フィンリー)が歌う「Undici(ウンディチ / 意:11)」(2012)は、そのタイトルが示す通り、イタリア人の多くが愛して止まないサッカー賛歌。翌年、同タイトルを冠したTV番組のテーマ曲にもなりました。

14. 「L’allenatore(ラッレナトーレ / 意:コーチ)」(2004)は国民的人気を誇るベテラン歌手Gianni Morandi(ジャンニ・モランディ)の楽曲。“ベンチのヒーローたちへの賛歌”と言われる楽曲で、とかく選手にスポットライトが当たりがちな競技の世界で、監督やコーチら指導者をねぎらう賛歌です。

サッカーコーチのイメージ

15. Gigi D’Alessio(ジジ・ダレッシオ)の「Campioni del cuore(カンピォーニ・デル・クォレ / 意:心のチャンピオンたち」(2004)は、誰もが心に持つ“我が町のチーム”を称える賛歌です。日本で“チャンピオン”といえば、ボクシングのイメージが強いですが、イタリアでは特に競技を特定しない場合はサッカーの勝者を意味します。多くの人々がチャンピオンになる夢をみてボールを蹴り、シャツにはトリコローレ(=イタリアの三色旗)を縫いつける名も無きチャンピオンたち、未来のチャンピオンたちを温かい目で見守るような歌です。

16. Biagio Antonacci(ビァージォ・アントナッチ)の「Il campione(イル・カンピォーネ / 意:チャンピオン)」(1998)もチャンピオン賛歌です。光り輝く魔法のようなプレイ・・・やがて時が過ぎ去っても、チャンピオンというものは時を止め、私たちの心の中で光り輝き続けます。まるで太陽のように、沈むこともあるけれど、また心に戻ってくる存在、と歌っています。

女子サッカーのイメージ

17. Enrico Ruggeri(エンリコ・ルッジェーリ)の「Il fantasista(イル・ファンタジスタ)」(1997)は、すっかり日本にも定着したサッカー用語“ファンタジスタ”に捧げた賛歌。主にフォワードのトップスターに対する称賛を込めた呼称ですね。

18. Ligabue(リガブエ)の「Una vita da mediano(ウナ・ヴィータ・ダ・メディアノ / 意:ミッドフィールダーとしての人生)」(1999)は、サッカーのミッドフィールダーの中でも特にセントラル・ミッドフィールダーの位置付けを比喩した人生賛歌です。
多くの人はサッカーに例えると、特に突出したポジションとはいえないセントラル・ミッドフィールダーとして生まれているのだから、汗と自分の強い意志で人生を勝ち取ろう、天才的な才能だけではそれは難しい、と歌っています。他人のために影で働き、苦労することによって、誰かに拍手喝采を浴びて貰うという喜び、生き方もあると、70年代のインテルとイタリア代表チームでも活躍したGabriele Oriali(ガブリエレ・オリアリ)の生き方を称えています。

19. Francesco De Gregori(フランチェスコ・デ・グレゴーリ)の「La leva calcistica della classe ’68(ラ・レーヴァ・カルチスティカ・デッラ・クラッセ・セッサントット / ‘68年生まれのサッカーの原動力)」(1980)は、サッカーチームの入団テストに挑んだ12歳の少年ニーノ(1980年当時の’68年生まれ)の心に沸き起こる恐れについて歌われています。“ペナルティキックを外すことを恐れないで。選手が評価されるのはそんな細かいところじゃない。勇気があるか、相手を尊重しているか、ファンタジア(想像力)があるかなんだ。”と励ましています。

サッカーのイメージ

20. Quartetto Cetra(クァルテット・チェトラ)の「Che centrattacco(すごいセンターフォワード)」(1959)は、才能あるセンターフォワード(サッカーの花形ポジション)選手がセリエBからセリエAに昇格し、やがてはイタリア代表チームの一員として大活躍していくという、一大出世物語が歌われています。ブラジルやポルトガルと対戦して18ゴールを決め、19点目を入れる瞬間、ベッドから落ち、じゅうたんの上で目覚めるという夢物語・・・というオチです。

ストレッチをする女性

21. Pino Daniele(ピーノ・ダニエレ)の「Io per lei(イオ・ペル・レイ / 意:僕は君のために)」(1995)は、ジムでエアロビクスダンスに興じる女性への愛を歌っています。音楽に合わせて頭を動かす様子、タイトなスカート、競技の際に必須とされる笑顔を“プラスティックの笑顔”と表現する歌詞の感性が素晴らしいです。

22. 再びケッコ・ザローネの歌で「La ginnastica(ラ・ジンナスティカ / 意:体操)」(2006)は、鏡の前でのエアロビクスで、整形に行かなくて済むよ~、と能天気に歌った歌です。

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WRITER PROFILE
よしお アントニオ

音楽ジャーナリスト。イタリア音楽専門誌『MusicaVita Italia(ムジカヴィータ イタリア)』 http://musicavitaitalia.com/ 編集人。 イタリア音楽普及促進グループPiccola RADIO-ITALIA(ピッコラ・ラディオ・イタリア) http://piccola-radio-italia.com 主宰。 毎月開催のイタリアPOPSフェスタも15年を超えている。イタリアン・ポップス出版物(CD等)の歌詞監修・対訳多数。日本の伝統も重んじる剣道家(四段)でもあり、少年剣道教室の指導役も務めている。