MUSIC 22 Mar 2021

サンレモ音楽祭2021優勝は平均20歳のバンド、マネスキン!


2021年3月2日~6日に開催された第71回サンレモ音楽祭は、コロナ禍での開催のため、初めての無観客開催となりました。 結果は予想を大きく裏切り、Måneskin(マネスキン / 男女混合バンド)の激しいロックチューン「Zitti e buoni(意:大人しく・お行儀よく)」が優勝に輝きました。

過去70年に渡り、誰もが口ずさみ易い楽曲が優勝に輝くことが多く、例えラップ曲だったとしてもサビだけは歌える、という暗黙の常識がありましたが、初の簡単には口ずさめない優勝曲の誕生となりました。

優勝者マネスキン

彼らは2017年にオーディション番組X Factorで2位となってシーンに躍り出たばかりの、まだ平均20歳のロックバンドです。

X Factorについての過去記事はこちら

優勝曲は激しいロックな楽曲なのですが、およそこのタイプの楽曲での出場の前例は無く、仮に普段ロックを歌っている歌手でも、サンレモに出場する際は、高評価を得やすいサウンド&曲調のメロディアスな楽曲で出場するのが既定路線です。 ところが、若い彼らは、由緒と歴史を持つ大きな国民的行事に何の忖度もせずに自分たちのアイデンティティをぶつけたので、その勇気を称えはするものの、優勝と言うポジションではなく、何らかの副賞を受賞という結果に終わるものと思われていました。

会期中の暫定順位も当初15位から始まり、3日目でも10位、4日目でも5位に過ぎず、その間ずっと首位をキープしていたのが優勝歴のあるErmal Meta(エルマル・メータ)が歌う「Un milione di cose da dirti(意:君に言うことがたくさん)」で、これが実にイイ曲だったので、多くの人がエルマルの優勝だなー、と思っていました。

最終夜、上位3組の決選投票が行われた際も、最初に3位が発表され、エルマル・メータの名が読み上げられた時、当事者たちマネスキンの面々も、結果2位となるFrancesca Michielin(フランチェスカ・ミキェリン/25歳女性)とFedez(フェデツ/31歳男性)のコンビもきょとんとして、「ん?優勝者から発表なの?」という反応だったのも笑えるポイントでした。

でも確かに、マネスキンはフルオーケストラが配されたサンレモ音楽祭の舞台のメリットを活かして、激しいロック曲サウンドとオーケストラサウンドが絡み合う、実に素晴らしいアレンジを施していたのもポイントとなったようです。

サンレモ音楽祭の内容の変化

以前の2021年大会紹介記事で言及しましたように、出場者の約半数が初出場という思い切った戦略を取ったこと、外出禁止令が敷かれた中での開催という要素も組み合わさったことで、近年稀にみる結果をもたらしました。

前年2020年大会は記念すべき70周年記念大会で、平均視聴率:54.78%(前年比110.9%)を叩きだしていたので、今回の2021年大会の平均視聴率は46.24%(前年比84.4%)に留まりましたが、その内容を分析しますと、この視聴率に反映されないネット中継の視聴率が大きく伸び、特に15歳~24歳の若年層視聴者が大幅に増えたというレポートが上がっています。

意図的に出場者の顔ぶれを刷新したことが、「例年通り、予定調和の大会でしょ」とか「年配の人しか観てないんじゃない?」といった若い人たちのマインドを変えたことに成功したと考えられます。

60年代から活動を続けるOrietta Berti(オリエッタ・ベルティ / 77歳)を出場させたり、過去、イタリアの音楽界を盛り上げて来たスターたちをこぞってゲスト出演させたので、年配者たちにも充分楽しめる内容だったと思います。

豪華なゲスト出演者たち

例年ゲスト出演陣の豪華さもサンレモ音楽祭の見どころのひとつですが、コロナ禍のため、EU圏外からのゲストは断念されました。 その分、特にイタリア人スターやイタリアで活躍する著名人のゲストが枚挙して出演したので、イタリアファンにはむしろ見どころ満載のありがたい機会となりました。

ゲストアーティスト

まずはゲスト出演したイタリア人アーティストを台頭した年代別で列記しますと、以下のような豪華な面々となりました。

60年代~:
Ornella Vanoni(オルネッラ・ヴァノーニ)、Gigliola Cinquetti(ジリオラ・チンクェッティ)、Fausto Leali(ファウスト・レアーリ)
70年代~:
Riccardo Fogli(リッカルド・フォッリ)、Marcella Bella(マルチェッラ・ベッラ)、Loredana Berte(ロレダーナ・ベルテ)、Umberto Tozzi(ウンベルト・トッツィ)
80年代~:
Enzo Avitabile(エンツォ・アヴィタービレ)、Michele Zarrillo(ミケーレ・ザッリッロ)、
90年代~:
Paolo Vallesi(パオロ・ヴァッレージ)、Laura Pausini(ラウラ・パウジーニ)、Gigi D’Alessio(ジジ・ダレッシォ)
2000年代~:
Negramaro(ネグラマーロ)、Alessandra Amoroso(アレッサンンドラ・アモローゾ)、Emma Marrone(エンマ・マッローネ)、
2010年代~:
Il Volo(イル・ヴォーロ)、 Diodato(ディオダート)、Mahmood(マムッド)、Francesco Gabbani(フランチェスコ・ガッバーニ)、Elodie(エロディー)、Tecla Insolia(テクラ・インソリア)

ゲスト出演したLaura Pausini(ラウラ・パウジーニ)

ゲストアスリート

さらに音楽界を超えて、著名なアスリートたちもゲスト参加をしました。

Zlatan Ibrahimović’(ズラタン・イブラヒモビッチ/スウェーデン代表サッカー選手・ACミラン所属)
Siniša Mihajlović(シニシャ・ミハイロヴィチ/セリエA・ボローニャFCの監督/元ユーゴスラビア代表サッカー選手)
Cristiana Girelli(クリスティアーナ・ジレッリ/イタリア代表女子サッカー選手/ユヴェントス所属)
Alex Schwazer(アレックス・シュバーツァー/オリンピックゴールドメダリスト競歩選手)
Alberto Tomba(アルベルト・トンバ/オリンピックゴールドメダリスト・スキー選手)
Federica Pellegrini(フェデリカ・ペッレ・グリニ/オリンピックゴールドメダリスト水泳選手)

司会者アマデウス(右)と毎晩ゲスト出演したズラタン・イブラヒモビッチ(左)

サンレモ音楽祭2021 プレイリスト

無料で聴けるSpotifyプレイリストには以下の様に楽曲を収録しています。
1曲目~大賞部門順位順
26曲目~新人部門順位順
34曲目~大賞部門カヴァー曲(出場歌手のカヴァー音源が無いものは、基本的にオリジナル歌手のテイクを登録)

全出場曲やアーティスト、ゲスト出演者など、詳細については筆者の公式サイトをチェック!

Buon ascolto!(ブォン・アスコルト!/ 楽しんで聴いてね!)

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WRITER PROFILE
よしお アントニオ
よしお アントニオ

音楽ジャーナリスト。イタリア音楽専門誌『MusicaVita Italia(ムジカヴィータ イタリア)』 http://musicavitaitalia.com/ 編集人。 イタリア音楽普及促進グループPiccola RADIO-ITALIA(ピッコラ・ラディオ・イタリア) http://piccola-radio-italia.com 主宰。 毎月開催のイタリアPOPSフェスタも15年を超えている。イタリアン・ポップス出版物(CD等)の歌詞監修・対訳多数。日本の伝統も重んじる剣道家(四段)でもあり、少年剣道教室の指導役も務めている。