連日熱い戦いが繰り広げられ、人々を感動の渦に巻き込んでいる東京オリンピック。オリンピックは確かにスポーツの祭典ですが、それだけに留まりません。それはスポーツの域を超え、文化の分野へと拡がります。
イタリア国立オリンピック委員会が公式ホスピタリティハウス「Casa Italia」をオープン
イタリア国立オリンピック委員会は、イタリアや国際的なTVネットワーク、アスリートのためのホスピタリティハウス兼スタジオとして、高輪・貴賓館にて公式ホスピタリティハウス「Casa Italia(カーサイタリア)」をオープン。「Mirabilia (ミラビリア=「驚異的なもの」という意味) 」をコンセプトに、スポーツ、サステナビリティ、アート、デザインの分野からイタリアが世界に誇るコンテンツを発信しています。
1984年、ロサンゼルス・オリンピックにてホスピタリティハウスとして誕生したCasa Italia(カーサイタリア)は、今日ではオリンピックだけでなく、国際的なレベルで認知されたブランドとなっており、大会ごとに進化しながらイタリアの体験を伝えています。
今回のCasa Italia(カーサイタリア)のコンセプトは「Mirabilia (ミラビリア)」
今回、カーサイタリアのコンセプトは「Mirabilia(ミラビリア)」。1500年から1700年にかけてのコレクターたちが収集した珍品を展示する空間 「驚異の部屋」を意味するドイツ語の「Wunderkammer」に由来しており、「驚異的なもの」を意味します。カーサイタリアではそのコンセプトにふさわしい誇り高きコンテンツが至る所で発信されており、イタリアが誇るイタリアを体験できる空間になっています。
カーサイタリアのコンテンツ紹介
イタリアが誇るミラビリア(驚異的なもの)が集結するカーサイタリア。自然、伝統、芸術、スポーツを最高のレベルで高める「Marvelous(驚異的なもの)」を集め、保存し、公開するいわば宇宙のような空間。ここからカーサイタリアで展開されているコンテンツの一部を紹介します。
Arazzo/Giovanni Bonotto
300kgのペットボトルを再利用した糸で作られた、イタリアントリコローレカラーのタペストリーは、パンデミックの際にイタリアを支えるために世界中に掲げられたイタリア国旗を称えるもので、現在ではイタリアチームのすべての勝利に対する感謝と誇りの証となっています。
Atlas/Giovanni Bonotto
こちらも同じくGionovanni Bonottoによるペットボトルを再利用した糸で作られた作品。南極から北極まで全大陸の模様が施され、オリンピックにまつわる文化を凝縮しています。
Eroi/Giuseppe Gallo
小さな木の幹を表現した細部が重なり合い、壮大な椅子になる12点の彫刻作品から成るGiuseppe Galloのインスタレーション「Eroi」。「Eroi」はヒーローを意味し、オリンピックの英雄であるアスリートたちを称える一方で、このインスタレーションにおける「ミラビリア」のコンセプトは、人間の創造物はすべて自然に起因し、自然のルールに支配されているという考えから来ています。椅子という私たちにとって日常的なツールでさえも、その流れには逆らえないことを表現しています。
Starlight/Tokujin Yoshioka for Glasitalia、Gilda/Edra
東京オリンピックの聖火リレートーチのデザインを手掛けた吉岡徳仁氏がGlasitaliaのためにデザインしたテーブルと、Jacopo Fogginiがカーサイタリアのために開発した特別なカラーで彩られたEdraのGildaチェアーが部屋全体をグリーンとブルーの色に包みます。
Vagone ristorante
食堂車をイメージしたVagone Ristoranteは、Silvia Stella OsellaがWall&Decoのためにデザインを手掛けた壁紙「Somewhere」に囲まれています。テーブルとシートはGio Tirottoがデザインを手掛け、アルカンターラがプロデュース、スタジオFが制作を手掛けました。スポーツカーやアスリートのトラックスーツを彷彿させるスピード感をグラフィックや色合いで表現しています。また天井には、スピード感や躍動感をイメージしたSLAMPの照明が使われています。
バーエリア
中央に見えるカウンターは、Hillsideout(Nat Wilms and Andrea Zamelli)によるPozzo di Fortuna(Luck well)という作品。幸運の印としてHillsideout(Nat WilmsとAndrea Zambelli)がデザインを手掛けたワインバー「Pozzo di Fortuna (Luck well)」では、イタリアと日本の森にあるクルミ、カラマツ、楓、栗、オリーブ、ニレの木などが用いられています。これらの木材はアクリル、ラムダプリント、和紙、真鍮と組み合わされています。
左に見える作品はLoris CecchiniのSentimental Seismographiesという作品。”Every word has consequences. Every silence, too.”(すべての言葉には結果が伴う。全ての沈黙も然り。)というジャン=ポール・サルトルの引用を用いた本作品では、意図と事実による自然保護について意識を高めることを目的としています。
中央奥に見える作品は、Goldschmied & ChiariのNinfee(Ninfs)という作品で、モネを彷彿とさせる湖畔の風景ですが、よく見ると色付きのビニール袋がはびこっており、環境問題及びサステナビリティと、自然と相反する現象の一筋縄では解決しない関係性を表現しています。
今回のカーサイタリア開催について、Casa Italia ディレクター兼東京2020イタリア国立オリンピック委員会・マーケティングディレクターのDiego Nepi Molineris氏は次のように述べています。
「今回のオリンピックの複雑な状況を考慮した上で、国際的なレベルで我々の資産を伝えることがイタリアとして重要あると判断しました。そして、そのイタリアが世界に誇る資産を伝えることを目的としてCasa Italia を開催することを決めました。
イタリア国内外の45パートナーが、私たちのブランドの価値と、それによって得られる知名度を認め、今回私たちのプロジェクトを支援してくれることになりました。このプロジェクトは2021年の東京オリンピックで終了するのではなく、2022年の北京冬季オリンピックに向けて継続していきます。
Casa Italia のおかげで、私たちはオリンピック期間中もチャンネルを維持し、キーコンセプトを強化し、イタリアを代表するアスリートたちがスポーツに人生を捧げながら世界で活躍する様子を通して、スポーツ界全体にポジティブなメッセージを伝えることができます。このような資産が継続的に強化され続けることは、イタリア国立オリンピック委員会にとっての利点であると同時に、ストーリー性がより認識され評価されている資産を使用することは、2026年のミラノ/コルティナオリンピック委員会を組織する上でも意義があります。」(一部抜粋)
イタリア人にとってだけではなく、日本人にとってのホーム(伊カーサ)であるというカーサイタリア。イタリアが誇るスポーツ、サステナビリティ、アート、デザインが集結したまさに驚異的なホスピタリティハウスです。
「ミラビリア(驚異的なもの)」をテーマにCasa Italiaに集められたイタリアが誇るアート作品を紹介
日本人デザイナー作品も展示。イタリアデザインが光るCasa Italiaこだわりのデザイン