ART & DESIGN

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没後100年モディリアーニ展と、生まれ故郷リヴォルノの魅力

顔と首が長く、目に瞳が描かれていないことが多い肖像画が特徴的な画家、Amedeo Modigliani(アメデオ・モディリアーニ)。パリのモンマルトルの画家たちと交流し、モンマルトルで主に絵画制作を行っていたエコール・ド・パリの画家ですが、モディリアーニはイタリア人でトスカーナ州の港町リヴォルノ出身です。今もリヴォルノの街にはモディリアーニが生まれ育った生家も残っており、現在は博物館になっています。

モディリアーニ展が生まれ故郷リヴォルノで開催中

2020年の今年はモディリアーニの没後100年にあたるため、生まれ故郷リヴォルノでは「おかえり、モディリアーニ」という気持ちを込めたモディリアーニ展が開かれています。Jonas NetterとPaul Alexandreという二人のコレクターが所有する作品の美術展で、モディリアーニの他にも、同じモンマルトルで活動していたモールス・ユトリロなどのエコール・ド・パリの画家たちの作品120点が展示されています。

デッラ・チッタ・ディ・リヴォルノ美術館

モディリアーニの作品は1918年制作の「Fillette en blue(青い服の少女)」など14の油絵作品に12のデザイン画が展示されていますが、一般公開される機会が少ない作品の展示とあって、トスカーナでは話題の展覧会となっています。

モディリアーニの作品

モディリアーニは波乱万丈な人生を歩み、わずか35歳で亡くなっていますが、その生涯は半ば伝説化され、1958年にはフランス映画「モンパルナスの灯」、2004年には6カ国合作映画「モディリアーニ 真実の愛」として度々映画化もされています。

モディリアーニの作品

モディリアーニの作品を生まれ故郷で見ることができるモディリアーニ展はデッラ・チッタ・ディ・リヴォルノ美術館にて2月16日まで開催中です。
Museo Della Citta’ di Livorno(デッラ・チッタ・ディ・リヴォルノ美術館)
住所:Piazza del Luogo Pio 57124 Livorno Italia
URL:www.mostramodigliani.livorno.it

シーフード料理‟カッチュッコ”が楽しめる、トスカーナの港町リヴォルノ

モディリアーニが生まれた街リヴォルノは、フィレンツェから車で1時間、ピサからは車で30分ほどのところにある港町です。フィレンツェ-ピサ-リヴォルノの頭文字をくっつけてFI-PI-LI(フィッピリ)と呼ばれる道路でこの3都市はつながっていて、フィレンツェからは車でも気軽に行ける街です。

港町リヴォルノの風景

港町ゆえ、リヴォルノでは美味しいシーフードの郷土料理が楽しめるのも魅力。その中でも特に有名なのは「Cacciucco alla Livornese(リヴォルノ風カッチュッコ)」。

モディリアーニ展鑑賞後に、前日から予約していたVecchia Livorno(ヴェッキア・リヴォルノ)というオステリアでカッチュッコを頂くことに。このオステリアではカッチュッコを前日までに予約する必要がありますが、日本人にはびっくりのボリュームで提供されます。カッチュッコという少々イタリアっぽくない名前の由来は諸説が色々あるのですが、オステリアの人に聞いたところ「混ざった」という意味から来ているとのこと。

魚介類の煮込みカッチュッコ

魚やイカ、エビ、タコなど魚介類のスープですが、実際には全然スープっぽくありません。汁気はほとんどなく、むしろ魚介類のトマト煮込みといった感じ。日本人にとって有名なフランス・マルセイユ名物のシーフードスープ、ブイヤベースとは異なる味で、カッチュッコはトマトが効いた濃厚な味わい。あまりの量に食べきれませんでしたが、残りはお持ち帰りさせてもらえました。

アルコール入りコーヒーのポンチェ

それからリヴォルノには一風変わったコーヒーがあります。その名もPonce(ポンチェ)。これまた可愛らしいネーミングのコーヒーですが、リヴォルノで17〜18世紀頃に誕生したアルコール入りのコーヒーのこと。リヴォルノではこのポンチェ用のリキュールも販売されていますが、エスプレッソコーヒーにラム酒、砂糖、さらにレモンの皮を加わえたものがポンチェ。コーヒーと柑橘系の組み合わせは一瞬不思議な感じがしますが、飲み進めるとクセになってくる味わい。リヴォルノに来たら、リヴォルノ名物「カッチュッコ」と「ポンチェ」を是非、味わってみてください。
Osteria Ristorante Vecchia Livorno(オステリア・リストランテ・ヴェッキア・リヴォルノ)
住所:Scali delle Cantine 34, Livorno, Italia
電話:0586-884048

ボートが行き交う運河が巡る街の中は生活感溢れる雰囲気

リヴォルノはぶらぶらと散歩するのも楽しい街です。街の中には運河が巡り、ベネチアのように街の中をボートが行き交っています。

リヴォルノの運河

しかし、運河で有名なベネチアや以前SHOP ITALIAでも紹介したトレヴィーゾの街とは雰囲気が全く異なり、気取っておらず、洗濯物も道路側に干されていて雑多な生活感が溢れている感じ。街で出会う人たちも気さくな人が多く、親しみやすい街という印象を抱きます。

リヴォルノの運河

街の中心にあるFortezza Nuova(新要塞)は、運河を渡って中に入ると緑溢れる公園となっており、子どもたちが遊んだり、市民が犬の散歩をしたりと、ゆったりした時間が流れています。

リヴォルノの運河

リヴォルノの公演

白黒の市松模様が印象的なマスカーニ・テラスに行けばハッピーに!

いわゆる観光都市ではないため、有名な見どころはあまりないリヴォルノですが、街一番の観光スポットは海沿いのTerrazza Mascagni(マスカーニ・テラス)です。リヴォルノ出身のオペラ作曲家ピエトロ・マスカーニにちなんで名付けられたこのテラスは白黒の市松模様が目を引く場所で、リヴォルノ市民たちの憩いの場。日中は凧揚げや釣りを楽しみ、夕方にはロマンチックな夕焼けを眺める人たちで賑わいます。

リヴォルノの公園で遊ぶ子供

リヴォルノに惚れ込んでフィレンツェからリヴォルノへ移り住んだ友人で映像クリエイターのGianni Frati(ジャンニ・フラーティ)さんにリヴォルノの魅力を伺いました。

「私は2019年春に娘と一緒にフィレンツェから引っ越しました。そして、今も心が踊るような海の美しいこのリヴォルノの街に住んでいます。ここでは、風、太陽、そしてカモメの鳴き声が心を安らかにしてくれます。ここにはあまり仕事がありませんが、多文化都市で来る人を包み込むようなオープンな雰囲気があり、海に沈むサンセットを見るだけで幸せな気分にしてくれます」とジャンニさん。

リヴォルノのマスカーニテラス

「リヴォルノの人たちはみんな子供みたいなところがあり、80歳でも子供心を持っていて、少しでも太陽が出るとすぐに海に行っちゃうようなところがあります。ここではみんなリラックスしていて、ちょっとイライラするようなことがあってもマスカーニ・テラスに行くだけで万事OK、すぐに幸せな気分になれるんです」と笑顔で語ります。

港町リヴォルノの夕焼け

ピサからは電車で15分程度で行けるので、ピサの斜塔を観光した後にシーフードランチをリヴォルノで取るのもおすすめですよ。

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