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ART & DESIGN 27 Dec 2019

BUONE FESTE! ピレリ・ハンガービコッカの「… the Illuminating Gas」でアートを感じる

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ミラネーゼが気軽に足を運べる美術館「ピレリ・ハンガービコッカ」

12月に入り、一気に寒さが増してきたミラノ。
そんなとある週末に友人の誕生日ディナーの誘いがあり、ミラノにあるイタリアを代表するコンテンポラリーアートの美術館「ピレリ・ハンガービコッカ」へ行ってきました。この美術館には併設のビストロがあり、そこで友人カップル2組と食事をすることに。このカフェレストランは、3年ほど前に夫のサプライズバースデーを行った場所で、なんだかんだ30人ほどの人が集まってくれ、賑やかに誕生日会をした私たち夫婦にとっても思い出の場所です。

ハンガービコッカの外観

今回はせっかくハンガービコッカへ行くことになったので、現在開催している展覧会の内容を確認してみたところ、Cerith Wyn Evan(セリス・ウィン・エヴァンス)の企画展が面白そうだったので、誕生日会の前に展覧会に足を運んでみることにしました。
ハンガービコッカは入館料が無料なので、ここを象徴する常設展“アンゼルム・キーファー”の「I Sette Palazzi Celesti (7つの天空の宮殿)」や企画展を気軽に観ることができます。週末には多くのミラネーゼがアート作品の鑑賞に訪れる場所で、私たちも友人たちと時より足を運ぶ場所のひとつです。

アンゼルム・キーファー「I Sette Palazzi Celesti (7つの天空の宮殿)」アンゼルム・キーファー「I Sette Palazzi Celesti (7つの天空の宮殿)」

国際的コンセプチュアルアーティスト「セリス・ウィン・エヴァンス」

セリス・ウィン・エヴァンス(英国、1958 – )は、日本でも2010年の名古屋トリエンナーレに出展するなど、国際的に活躍するコンセプチュアルアーティストです。70年代に映像作家としての活動をはじめ、1988年には盲目の少年を主人公に、彼の知覚と聴覚の世界観を映像化した、短編実験映像「Degrees of Blindness(ディグリーズ・オブ・ブラインドネス)」はそんな彼の代表作です。

「… the Illuminating Gas(ザ・イルミネーティング・ガス)」の展示

エヴァンスが手がけるインスタレーション作品の多くには、視覚芸術の一つ「ミクストメディア」の手法が多く取りいれられています。現在開催中の膨大に蛍光管を使った「… the Illuminating Gas(ザ・イルミネーティング・ガス)」は、これまでに行なった彼のインスタレーションの展示会の中でも最大スケールということもあり、国内でも様々なメディアでも取り上げられるなど注目されています。

「…the Illuminating Gas」の展示

彼が最も作品の中に焦点を置くのは、作品「ディグリーズ・オブ・ブラインドネス」で象徴される「知覚」と「言語のコミュニケーション」です。
タイトルである「…the Illuminating Gas」も20世紀の現代美術に多大な影響を与えたと言われる「マルセル・デュシャン」の絵画から引用したことを象徴しています。
文学、音楽、哲学、写真、詩、芸術の歴史、天文学、科学に至る、多彩なコンテンツからインスパイアされ、彼の作品の独創的な世界観となってビジュアル化されています。

Radiant Field (...the Illuminating Gas),2017-2018の作品Radiant Field (…the Illuminating Gas),2017-2018

巨大な空間に秘められた「空虚」という概念

白い幕を潜り、目の飛び込んできたのは、展示会場最初のアート作品StarStarStar / Steer(totransversephoton)でした。
約20mの7つの柱が天井まで伸びる光景は圧巻です。さらに、5,000㎡にも及ぶ広々としたスペースに25作品の巨大なイルミネーションアートが展示された、総合的なパフォーマンスは観る人を異空間へ誘います。

StarStarStar / Steer(totransversephoton)2019の作品StarStarStar / Steer(totransversephoton)2019

エヴァンスのアートの概念「空虚」に基づき造られた空間と作品との融合は、この「…the Illuminating Gas」の見どころです。
そして、今回の展示会では、「ネオンフォーム」と呼ばれる彼のオリジナルシリーズの一部が展示されています。実はこの「ネオンフォーム」のシリーズでは、日本芸能の「能」の動きをパターン化し、空虚=間という日本文化に欠かせない感性をネオンの光を使って表現したものなのです。
実際には視覚的に存在しないものを、芸術作品に込めた彼の概念を体感することができます。

Neon Form (after Noh I), 2015

「光」「音」「動き」「時間」を表現した、無数のネオン。
想像を掻き立てる3Dオブジェクトのフォルムは、少し角度を変えて観ることで全く違うものに見えてくる抽象的な面白さが、この展示会にはありました。さらに、暗がりに光を放つオブジェクトが並ぶ広い空間は、まるで宇宙空間にでもいるような、そんな感覚さえ覚えました。
クリスマスシーズンに色鮮やかなネオンが街を飾る今、同じネオンという素材を使ったエヴァンスの作品は、光が表現する奥行きの広さを実感する、そんな展示会です。

Neon Form (after Noh XIV), 201

美術館に併設するビストロでのディナー

日本でもハッピーアワーと言われ、ちょっとお得にお酒が飲める「アペリティーボ」。
ハンガービコッカの中にあるビストロ「Ristorante Bistrot IUTA」でもアペリティーボを行なっています。夏場にはオープンテラスの席も解放され、アートに触れたあとに外の風を感じながらゆっくりできるお気に入りの場所です。今回の友人の誕生日ディナーでは、気兼ねないアペリティーボのドリンクと食事を他愛もない会話で楽しみました。

学校勤務している今回の友人たちは早々にバケーションに入り、12月の中旬になると地元のシチリアに帰省するので、年内に会うのはこれが最後。毎年、彼の誕生日を祝うと年越しが近づいてきたことを実感します。
次回は新年会で会うことを約束して、年末になると交わされる「BUONE FESTE!(良い年末年始を)」とハグで別れました。エヴァンスの展示会と毎年恒例になっている年末の友人の誕生日ディナー、思い出がまたひとつ増えた、そんなハンガービコッカでの一日でした。

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WRITER PROFILE
Manami Palmieri
Manami Palmieri

イタリアのミラノ在住、フォトグラファー兼ライター。アメリカの大学にて芸術学部を卒業後、日本の一部上場企業に就職しアートディレクターとして活躍。国内外で写真展を開催するなど、アーティストとしての幅を広げ、2016年に渡伊。結婚を機にイタリアに移住。現在は、写真と文字でファッションやアートを中心としたグローバルな最新情報を発信中。

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