ART & DESIGN

ART & DESIGN

あのティファニーも大注目の若きアーティスト、フランチェスコ・ヴッロのインスピレーションの源とは?!

数々の絵画の巨匠を生み出してきた国、イタリアでは、アートが文化に強く根付いている。今回はそんな芸術の国出身のアーティストであり、ワカペディアのアート友達でもあるフランチェスコ・ヴッロ(Francesco Vullo)へのインタビューに成功!


彼のアートは、自然の中に存在する物や廃棄物を用い、彫刻やデザインの要素と組み合わせることで、私たち人間や現代社会の側面を表している。その実力と独自性かつ、デザイン性が高く評価され、世界的なラグジュアリージュエリーブランドである、ティファニー(Tiffany & Co.)とのコラボレーションも果たしている今大注目のアーティストだ。そんな彼は、「アート」について何を語るのだろうか?!


ワカペディア : チャオ、フランチェスコ! 久しぶりだね。インタビュー受けてくれてありがとう。早速だけど、あなたのストーリーについて教えて!


フランチェスコ : チャオ!僕は、1994年4月20日生まれの28歳。シチリア島のパレルモ出身さ。古典学科を卒業した後、2016年にミラノのヨーロッパ・デザイン学院 (IED Istituto Europeo di Design)でイラストレーションとアニメーションを学んだよ。卒業後、イラストレーション業界で数年働いているうちに、造形美術に興味を持つようになったのさ。現在は、ミラノとシチリアを行き来しながら仕事をしているんだ。



ワカペディア : シチリアとミラノを行ったり、来たりなんて、サイコー! ところで、あなたのアートのコンセプトについて教えて!


フランチェスコ: 僕のアートと深く結びついているのは、身近なオブジェだよ。ありふれたものを通じて、ストーリーや僕たちが生きる現代社会の側面を伝えようとしているからね。物にはすでにできあがったそれぞれのイメージがあるよね。例えば、ガラスだったら、「もろい」、石は「硬い」とか、「強い」ってイメージ。それが感情や性質や状況など、いろいろなことを表す、シンボルの役割を果たしたりもするよね。僕は、そういう物の中でも日常生活の一部である要素に注目して、新しく、時にシュールな構成を作り出すことを心がけているよ。そうすることで、僕たちの認識を変えてくれるし、考えてもみなかった観点から現在社会や、その中に生きる僕たちの抱える問題を語ることができるからね。


ワカペディア : そういえば、フランチェスコは自然の中に存在するものを作品に使ったりすることが多いよね。さすが美しい自然がいっぱいのシチリア出身! ところで、どうやって今のアートのスタイルにたどり着いたの?


フランチェスコ: コンセプチュアルイラストレーションからスタートして、常にコンセプトをイメージで表現することに取り組んできたよ。でも、あるとき、新しい表現方法を見つけたくて、彫刻を始めた。それで、色んな技術を試してみたし、素材の使い方にも注目したのさ。ありふれたもの、自然のもの、捨てられたものなどが、新しいアイデアやストーリーを伝えるための触媒になりうるということを実感させてくれたよ。それが、今の僕が大切にしているスタイルに繋がっているってワケ。


中でも僕の作品の一つである『After the Night 』 は、そういう要素がよく反映されている作品かな。「金継ぎ」(陶磁器の破損部分を漆によって接着し、金などの金属粉で装飾して仕上げる修復技法)という伝統的な技法を持つ修復師と共に、壊れた丸ノコ(ノコギリの一種)を復元し、「ありふれた作業道具」だった丸ノコを、工芸品の持つかけがえのない価値を伝えるシンボルとして生まれ変わらせたんだ。


After the Night

ワカペディア : サステイナブルでもあるんだね! そういうインスピレーションってどこから生まれてくるの?


フランチェスコ:「インスピレーション」には、これといったルールはないし、色んなものがインスピレーションに繋がっているんじゃないかな。例えば、僕は、時に僕たちを呼び覚ましてくれるような役目を果たす「物」、人間の感情の中から生まれる「緊張」や、人生で経験する様々な「逆説」、「執着」、「葛藤」などと言った様々な要素に魅了されているよ。「自然や他者との関係」、「自分自身の選択」が、今後起こり得る出来事や、自分が身を置く環境に、どのような影響を与えるかってこととかね。そういう色々なエレメントが僕のインスピレーションの源になっているんだ。


『After the Night 』の制作で使われた「金継ぎ」のように、日本文化も僕にとっては大きなインスピレーションの源の一つだよ。とにかく、アイディア自体は色んな形を持っているし、「これ!」って決まったインスピレーションの源があるわけじゃないよ。でも、インスピレーションが生まれる環境で共通しているのは、常にまわりを観察し、耳を傾け、解釈しようとする姿勢かな。


ワカペディア : フランチェスコのアートはデザイン性・イラスト性が強いよね!フランチェスコにとってのイラストの役割や、アートとデザインの境界線についてどう思う?


フランチェスコ: 今でもイラストレーションは僕の仕事に欠かせないものだよ。新しい彫刻を始める前には、鉛筆や水彩絵具で下絵を描いて、アイデアを練ったり、作品のあらゆる可能性を探ることで、よりよく理解するようにしているんだ。アートとデザインの境界線は、オブジェの機能性をするかどうかというところに見出すことができると思うけど、実際のところ、「アート」について境界線を引く必要はないと思う。いずれにせよ、この境界はすごくあいまいで、絶えず入り混じる可能性があるってこと。だから、そういったジャンルの枠組みを飛び越えたハイブリッドな表現がどんどん生み出されてくるんだろうね。


post_image_1

Islands

post_image_2

Atto di Fede

post_image_3

フランチェスコ・ヴッロ
1994年4月20日、パレルモ生まれ。現在、イタリア・ミラノに在住し、制作活動を行っている。

公式サイト https://www.francescovullo.com/

1/1