
ファッションウィークよりアツい?春のミラノを彩る一大イベント!
ミラノといえばファッションのイメージが強いが、近年、それ以上に熱いイベントとして注目されているのがミラノデザインウィークだ。毎年春に開催されるこのイベントでは、世界最大規模の家具見本市「ミラノサローネ国際家具見本市」や、企業やデザイナーが独自の展示を行う「フォーリサローネ」など、ミラノの街全体がクリエイティブな熱気に包まれる。今年のデザインウィーク(4月7日〜13日)には、デザイン業界の関係者はもちろん、世界的アーティスト、グーグルやソニーなどのテクノロジー企業、さらにはサン・ローラン、プラダ、ルイ・ヴィトン、ミュウミュウといったラグジュアリーブランドまで、時代の最先端を創り出す企業や人々がミラノに大集結! そして、職人気質なインテリ系(インテリアだけに!)イケメン・美女とスプリッツを片手にデザインを語りながらお近づきになれるチャンスもあるかも?!

ミラノデザインウィークの魅力は、デザインだけじゃない!
このイベントの楽しみは、展示を見ることだけでは終わらない。昼間は最先端のデザインを満喫し、夕方にはアペリティーボを楽しみながら語り合い、夜にはDJ付きのカクテルパーティーへ。ミラノの街全体が活気あふれる社交の場となるのだ。
過去には、日本を代表する建築家である伊東豊雄や深澤直人、そしてアート界の巨匠マウリツィオ・カテランと偶然イベントで出会うなんてことも。さらに、デザイン業界の社交場とされるバール・バッソで、ほろ酔いになりながらお腹を満たそうとオリーブを頬張っていたら、家具からホテル、ヨットまで幅広く手がける世界的デザイナー、フィリップ・スタルクが隣の席に座っていることに気づいてオリーブを吹き出しそうになったことや、パーティーで過去一イケてる選曲をしているDJが世界中にファンのいるブランド・フォルナセッティのアートディレクター、バルナバ・フォルナセッティだったなんてことだってある。普段会えない国際的なデザイナーやアーティストとの偶然の出会いが楽しめるのも、ミラノデザインウィークならでは。この夢のようなイベントに、ワカペディアチームも潜入!ここからは、今年最も話題を集めたインスタレーションのひとつをご紹介しよう。

2025年度ミラノデザインウィークの必見インスタレーション「アルケミカ」
今年のミラノデザインウィークで話題を集めたインスタレーションの一つにエル・デコ・イタリアによるインスタレーション「アルケミカ(Alchemica)」がある。新古典主義の宮殿パラッツォ・ボヴァーラを舞台に、世界的デザイナーのパトリシア・ウルキオラがキュレーションを手がけた。
展示は錬金術の変容プロセスになぞらえ、「Nigredo Ardeat(燃える段階)」で変化の始まりを象徴し、「Nigredo Solvet(液化段階)」では柔軟性と適応力を表現。「Albedo(純化段階)」で精製と浄化が進み、「Rubedo(再生段階)」では新たな形の誕生を描き、未来の住空間へとつながっていく。まるで、創刊35周年を迎えたエル・デコ・イタリア自身の進化を示しているかのような構成となっている。

さらに今年は、日本企業とのコラボレーションも注目ポイント!「アルケミカ」のメインスポンサーには京セラドキュメントソリューションズの名が。インスタレーションには、同社が開発した環境配慮型インクジェットテキスタイルプリンター「FOREARTH」の技術を活用し、半透明の壁に幻想的なアートワークがプリントされ、空間を飾っていた。伝統と革新が融合するこの展示は、まさに今年のミラノデザインウィークのハイライトのひとつとなったと言えるだろう。


世界的デザイナー パトリシア・ウルキオラ
ミラノを拠点に活動する世界的インテリアデザイナー兼建築家、パトリシア・ウルキオラ。スペイン・オビエド出身ながら、流暢なイタリア語を話し、時折情熱的なスペイン語が混ざるのも彼女の魅力のひとつだ。彼女のデザインは、現代的な発想と伝統技術の融合を特徴とし、独自の色彩センスと革新的な素材選びで機能性と美しさを調和させた作品を生み出してきた。Cassinaのアートディレクターを務めるほか、世界的ブランドとのコラボレーションも多数展開している。
ワカペディアチームが初めて彼女と出会ったのは2024年の東京。そして今回ミラノで再会!大学のアートマネージメントの教科書で見た名前の人物と二度も巡り合うなんて、まさにデザインの女神様のお導き!ウルキオラは日本文化に強くインスピレーションを受けているそうだ。静かな住宅街、寺院、職人による繊細なものづくりのすべてが彼女の創造力を刺激し、作品には日本の名前が付けられることも多いのだ。
デザインと文化が交差するミラノの街で、ウルキオラの創造力が放つ輝きに触れることができた今年のミラノデザインウィーク。「アルケミカ」は彼女の哲学と革新を象徴する特別なインスタレーションだった。ウルキオラの創造の源にさらに迫りたい人は、ぜひワカペディアのインタビューもチェックしてほしい。 彼女がデザインに込めた情熱や、日本文化との深いつながりを知ることで、あなた自身の創造力にも新たな刺激が加わるかもしれない。
バール・バッソ(Bar Basso)
住所:Via Plinio, 39, 20020 Milano, Italy
パラッツォ・ボヴァーラ(Palazzo Bovara)
住所:Corso Venezia, 51, 20121 Milano, Italy