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イタリアチーズの至宝グラナ・パダーノを味わうイベントレポート

イタリアチーズの至宝グラナ・パダーノを味わうイベントレポート

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右からグラナ・パダーノD.O.P.アンバサダーのダビデ・ピッザ(Davide Pizza)氏、料理研究家高木あゆみ氏

イタリア大使館貿易促進部主催「イタリアチーズの至宝グラナ・パダーノD.O.P.を味わう”GRANA PADANO OBENTO」イベントに参加してまいりました。

切りたてのグラナ・パダーノチーズの試食と、グラナ・パダーノチーズを使ったお弁当作りの実演などグラナ・パダーノの魅力を存分に堪能させていただいた至福のひと時となりました。
記事の最後には、イタリアチーズ「グラナ・パダーノD.O.P.」を美味しくいただくためのコツをご紹介しています。
どうぞ最後までお読みいただき、至福のひと時をお楽しみください。

イタリアチーズの至宝グラナ・パダーノを紹介

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イタリアチーズ「GRANA PADANO(グラナ・パダーノ)」とは

1135年頃、北イタリアを流れるポー河流域の肥沃な平原、パダナ平野でベネディクト修道士らが使い切らなかった牛乳から濃厚な味わいで美味しいチーズを作り出した。「グラナ・パダーノD.O.P.」の「グラナ」とは、「粒状」の意味。「パダーノ」とは、「パダーノ平原」の意味。現在に到るまで厳格な審査基準を設けその品質を保護している。

・1955年10月30日D.O.C.取得
・1996年6月12日D.O.P.取得
・加熱圧搾タイプと呼ばれる種類
・産地は主に北イタリア

こちらは、イタリア独自の管理システムであるD.O.P.(Denominazione d’Origine Protetta )原産地名称保護のマークです。

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大変細かく制定された厳しい条件をクリアしたチーズがこのマークをつけることができ、本物のグラーナ・パダーノと名乗る事ができます。つまり、グラナ・パダーノはD.O.P.のチーズですので上記のマークが入っていないものはグラナ・パダーノではないという事となります。小分けにカットされたグラナ・パダーノD.O.P.に皮の部分がついていますが、これはグラナ・パダーノD.O.P.であるという証明になります。

グラーナ・パダーノチーズの残った皮は、捨ててしまわず、調理する事で食べることができます。
イタリアでは、ミネストローネに入れて柔らかく煮て食べたり、炭火で焼いてグリルにして食べたりするそうです。日本で販売する際には、皮の有無は徹底されていませんが、個人的には皮付きをオススメします。また、イタリアでは1925年より法律によってチーズは【乳】、【凝乳酵素】、【塩】のみを原料とすると定められています。

グラナ・パダーノチーズのカットデモンストレーション

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グラナ・パダーノD.O.P.アンバサダーのダビデ・ピッザ(Davide Pizza)氏によるグラナ・パダーノD.O.P.チーズのカットデモンストレーションが行われました。

グラナ・パダーノD.O.P.のカットには3種類のナイフを使用します。

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右下のナイフは「COLTELLO DEL CORE」、左上のものは「COLTELLO PER INCIDERE」と呼ばれています。

こちらの2本は「COLTELLO DELLO SCALZO」。チーズの大きさに比べて小さく見えます。

グラナ・パダーノD.O.P.のチーズの各部位の呼び方
中身=パスタ
平らな上の部分=PIATTO
グラナ・パダーノD.O.P.の文字が入った横の部分=スカロップ

ダビデ氏は手際よくナイフをチーズに差入れながら、グラナ・パダーノD.O.P.のチーズについて説明をしてくれました。
一つのチーズにつき、500ℓの牛乳を使用します。重量はなんと40kg以上あるということで、大柄なダビデ氏でも一人では持ち上げるのに苦労します。

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大きなチーズの塊は、切るというより、ナイフを差し込んで割るという方法です。黒ひげ危機一発のようにナイフを差し込していくと、チーズが半分に割れました。グラナ・パダーノD.O.P.のチーズの濃厚で爽やかな香りが会場中に広がり、参加者の意識はその味に集中します。

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会場には30名近い人数が参加しましたが、流石にこのチーズの塊を丸ごと一つ食べることは難しそうです。ダビデ氏が割れたチーズの断面からチーズを一口大に剥がしていき、一人一人が両手に盛るほどのチーズいただきました。
できたて切りたてのチーズは、いつまでもその香りを楽しんでいたくなります。口の中ではサクサクと軽やかな食感でありながら濃厚なチーズの香りとほんのりとした塩味が広がります。

グラナ・パダーノチーズを使ったお弁当レシピ

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続いて、幅広い食材を用いて企業向けレシピ開発等を行っている料理研究家の高橋あゆみ氏によるグラナ・パダーノD.O.P.チーズを使ったお弁当メニューの実演料理教室が始まりました。
イタリアのチーズと、日本食を合わせた斬新な三つの献立が紹介されました。

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【秋鮭のグラナ・パダーノのピカタ】
卵とに混ぜ込まれたグラナ・パダーノD.O.P.が秋鮭にコクと旨味を加えている。
チーズに含まれている乳脂肪によって鮭のしっとり感も増している。フライパンでなくとも、オーブントースターでも出来ると教えていただきました。

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【グラナ・パダーノのグリッシーニ】
グラナ・パダーノD.O.P.に含まれる油脂によってサクッと感が増します。
包丁で切って、引っ張って伸ばしているので四角い断面になります。

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【大葉とグラナ・パダーノのジェエノベーゼ風たっぷりキノコのマリネ】
キノコは手で割いて包丁は使わないようにする。余ったキノコは塩つけにすると長持ちするとのこと。
天然キノコも塩漬けによくします。
ジェエノベーゼソースはタッパーではなく、瓶での保存をオススメしているそうです。タッパーだと香りが取れにくいので要注意。高橋氏は生活の知恵を盛り込んだ、親近感あるプレゼンです。
また、バシルではなく大葉にした理由は、バジルだと香りが強すぎるからだそうです。洋の食材も慣れるまでは、ちょっとずつ他の食材にて代用し、徐々に本格的にしていくのもありですね。たいせつなことは、まずやってみる事だと思います。使用するナッツにもこだわりがあり、ナッツの中でも1番抗酸化作用が高いアーモンドを選んだそう。価格の面や、栄養の事を踏まえた消費者目線の刺さるアイディアでした。

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出来上がったお弁当がこちら。

「チーズは日本食にも大変合うんですよ。」と高木先生がおっしゃる通り、親しみやすく、しかしイタリアンの要素をしっかり楽しめるお弁当です。

Davide Pizza氏のイタリア的視点と、高橋あゆみ氏の日本家庭の両視点による濃厚なチーズ会となりました。

最後にグラナ・パダーノD.O.P.の小話

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グラナ・パダーノD.O.P.の前身として、11世紀ころにはCASEUS VETUSとして存在しており、後にグラナ・パダーノD.O.P.となったと言われています。
Davide Pizza氏は、グラナ・パダーノD.O.P.に含まれる栄養素にも着目しています。お子様から、お年寄りまで、カルシウムたっぷりでいいと話します。
イタリアでは、赤ちゃんは、擦りおろすしてスープに入れて食べるそうです。
イタリアでの食べ方は、擦りおろしてパスタにかけたり、カルパッチョにしたり、ハチミツやくるみと食べたりするそうです。

また、そのままでも栄養価の高い食品として認知されているとのこと。毎日25-30g食べると健康に良いと言われています。
栄養成分表示

『グラナ・パダーノD.O.P.100gあたりの平均値』

・エネルギー値398kcal
・脂肪29g
・そのうちの飽和脂肪酸18g
・炭水化物0g
・そのうちの糖分0g
・タンパク質33g
・塩分1.5g
・カルシウム1.2g

SAVIOLA社はfrisona(フリゾーナ)という品種の牛を使用しています。

形がそっくりなパルミジャーノと比べた違いと小話

・パルジャーノと比べて、アミノ酸の結晶が出るほど待ったりはしないで、は早めに食べて欲しいとDavide Pizza氏。

・日本には、パルジャーノより、グラナ・パダーノD.O.P.の方が入ってきている。

・パルジャーノより甘みが強く、食べやすいことが違いの一つ。

・アメリカは、パルジャーノの方が入っている。味が強いからとの事。

・パルジャーノの方が歴史が長いため、パルジャーノの方が有名な理由はグラナ・パダーノD.O.P.より前に日本に入ってきたからではないかとDavide Pizza氏。

・形を形成するときにグラナパダーノとパルジャーノは違う。

・パルジャーノは、熟成によって脂肪がぬける。

・ドイツはグラナ・パダーノD.O.P.がすごく売れている。

・グラナ・パダーノD.O.P.の消費量は一位イタリア、二位ドイツ。

・イタリアでは、グラナ・パダーノD.O.P.は真空パックで売られている事が多い

・イタリアでは、
北イタリアでパルミジャーノとグラナ・パダーノD.O.P.
中部イタリアではパルミジャーノ
南イタリアではグラナパダーノが多く食べられている。

・北イタリアはパンチェッタとグラナパダーノでカルボナーラを作る。

グラナパダーノチーズを美味しく味わうには

・食べる1時間前に冷蔵庫から出しておく。(香りと風味が最も際立つ。個人的には2時間前が好き。)

・専用のしずく型ナイフを使って小さなかけらに砕く。

・デザートとして、また軽い食前のおつまみとしても食べられるほか、生イチジクやブドウ、オリーブ、あらゆるドライフルーツとの相性も抜群。

・トマト、玉ねぎのジャム、香辛料入りマスタードや瓶詰めフルーツと共に食べたり、またはグラーナ・パダーノD.O.P.の伝統的な味わい方であるパンとフレッシュなワインと一緒に食べるのもお勧めである。

・様々なワインと相性がいい:白ワインでは味覚に芳香が残るワインが若いチーズとよく合い、赤ワインでは程よいコクがあるものを選ぶと良いが、ブルネッロやバローロなどの酸味のきいたわいんとの相性も最高である。

・マルサラやパッシートなど蒸留酒のようなワインはグラーナ・パダーノ・リゼルバと合わせるのが理想的。

以上が今回のレポートとなります。
D.O.P.チーズの中で1番生産量が多いチーズだけあって、持っている歴史も並ではありません。今回お伝えさせていただいたお話もこのチーズの持つ歴史の本の一部でしかありません。イタリアの家庭では『キッチンハズバンド』と呼ばれ多くのマンマを助けています。各家庭に各家庭のグラナ・パダーノD.O.P.の歴史あり。そんな愛され続けているグラナ・パダーノD.O.P.の今後の益々の発展を予感させるセミナーでした。

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