1920年代のアメリカにフォーカス
世界最大級のメンズファッションの祭典「ピッティ・イマージネ・ウオモ」が2018年6月12日から15日までフィレンツェで開催されました。毎年1月・6月の年2回開かれるこのイベント、94回目を迎えた今回は、トレンドを牽引するブランドの数々が、ひと足早く2019年春夏コレクションを発表しました。その中から、上質な着心地を追求するエグゼクティブに圧倒的な支持を得ている、ブルネロ クチネリをご紹介します。
ブルネロ クチネリ2019年春夏コレクションのテーマは、ずばり『Roaring 20’s』。第一次世界大戦が終わり、世界恐慌発生までの“狂騒の20年代”とよばれた時代のアメリカにインスパイアされたものです。未曾有の好景気を享受したアメリカでは、芸術、文学、ファッションなど新しい文化が開花しました。20世紀文学を代表する作家のひとりF・スコット・フィッツジェラルドの小説を映画化した『華麗なるギャツビー』では、登場人物が当時の男の粋な着こなしを披露しています。同時にテニス、ゴルフといったスポーツがポピュラーになりつつある時代でした。そこにコンテンポラリーなエッセンスを加え、ブルネロ クチネリならでは遊び心あるテイストで展開したのが今回のコレクションです。
クラシカルとコンテンポラリーの融合
カラーリングは2018年の春夏トレンドでもあったコロニアル(植民地時代風)の色合いを引き続きつつも、新たな質感へのチャレンジがうかがえます。キャメルブラウンやサンドベージュなど温かみのあるトップスに、ホワイトのクラッシュデニムなどを合わせて夏らしいライトな演出を試みました。20年代の空気を意識しつつも、ボトムスはテーパードパンツ(裾にかけてシェイプされたシルエット)できめる。クラシカルとコンテンポラリーの組み合わせは、まさにブルネロ クチネリの真骨頂です。
ブースを訪れていたひとりのイタリア人紳士に声をかけました。ひと目でおしゃれ上級者とお見受けしたからです。60代の会社経営者であるという彼は、「テーラードジャケットは15年程前、カーゴパンツは昨年、いずれもブルネロ クチネリで選んだものです」と教えてくれました。上質な素材と着心地の良さ、そしてタイムレスなデザインに惹かれ続けてきているのだとか。また、ブルネロ クチネリが一貫して掲げてきた「従業員をはじめ地域で働く人々の尊厳を守る」という理念に、畑は違えども同じ経営者として尊敬の念を抱いている、と付け加えました。
クラシコイタリアの世界では100年以上の歴史を誇る老舗が少なくありません。そうした中にあって、創業40年にしてラグジュアリーな紳士服マーケットを代表する存在となったブルネロ クチネリ。丁寧な仕事から生まれた製品であることはもちろん、ものづくりへの思いや姿勢といったブランドが纏う温かさもまた、多くの人々に愛される理由なのかもしれません。
【この記事は、2018年6月15日に初公開しました】
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