TRAVEL

TRAVEL

二度目のイタリア、次に行くならこんな場所Vol.7|湖のほとりでオペラ鑑賞「トッレ・デル・ラーゴ・プッチーニ」

トスカーナ特集KV

日本人にはまだあまり知られていないけれど魅力的なイタリアスポットを紹介するこのシリーズ。今回ご紹介するのは、イタリアを代表する偉大なオペラ作曲家ジャコモ・プッチーニが住んでいた家があり、湖畔の劇場で毎年プッチーニ・フェスティバルが開催される「トッレ・デル・ラーゴ・プッチーニ(Torre del lago Puccini)」です。

イタリアを代表する偉大なオペラ作曲家ジャコモ・プッチーニが住んでいた家があり、湖畔の劇場で毎年プッチーニ・フェスティバルが開催される「トッレ・デル・ラーゴ・プッチーニ(Torre del lago Puccini)」

ジャコモ・プッチーニが数々のオペラを生み出した湖畔の美しい街

トッレ・デル・ラーゴ・プッチーニは、トスカーナ州にある街で、マッサチウッコリ湖とティレニア海の間に位置します。街の中心に鉄道駅「トッレ・デル・ラーゴ・プッチーニ」駅があるのでどこからでもアクセスが便利で、フィレンツェからは電車で約2時間ほど、車では1時間10分ほどで到着します。毎年カルネヴァーレ(カーニバル)が開催されるヴィアレッジョの近くにあり、約11,000人が住んでいます。

トッレ・デル・ラーゴ・プッチーニの位置

トッレ・デル・ラーゴとは湖の塔という意味で、この街に住んでいたプッチーニを称えるために1938年12月21日にプッチーニの名前が地名に追加されトッレ・デル・ラーゴ・プッチーニとなりました。

イタリアを代表する偉大なオペラ作曲家ジャコモ・プッチーニが住んでいた家があり、湖畔の劇場で毎年プッチーニ・フェスティバルが開催される「トッレ・デル・ラーゴ・プッチーニ(Torre del lago Puccini)」

プッチーニは、トッレ・デル・ラーゴから20キロほど東にあるルッカで1858年12月22日に生まれ、1891年に家族でトッレ・デル・ラーゴに引っ越しました。プッチーニがトッレ・デル・ラーゴで住んでいたヴィッラ・プッチーニはマッサチウッコリ湖のほとりにあり、今は博物館となっているので誰でも訪れることができます。

ジャコモ・プッチーニ博物館ジャコモ・プッチーニ博物館

世界中から観光客やオペラ愛好家が訪れるこの博物館は、プッチーニの唯一の孫であるシモネッタ・プッチーニによって、2005年1月29日に設立されました。プッチーニが住んでいた当時の雰囲気を味わうことができる博物館にはプッチーニが送受信した手紙や写真、楽譜など歴史的アーカイブも保管されています。そして別荘の中の小さな礼拝堂にはプッチーニのお墓もあります。

ジャコモ・プッチーニ博物館

このヴィッラではマノン・レスコー(1893)、ラ・ボエム (1896)、トスカ (1900)、蝶々夫人(1904)などといった傑作オペラが生み出されました。こうしたオペラは、こんな美しい湖畔で誕生したのかと思うと、住環境が芸術に及ぼす影響力の大きさを感じずに入られませんでした。ポーランドのワルシャワ郊外のショパンの生家もとても美しい緑あふれる場所にあったのですが、その時と同じ気持ちを抱きました。

ジャコモ・プッチーニ博物館

周囲の湖畔にはレストランやバール、ホテルなどが立ち並び、多くの観光客やプッチーニファンたちが食事や散策を楽しんでいましたが、プッチーニも彼らのようにこうして湖畔を散歩していたことでしょう。

ジャコモ・プッチーニ博物館

トッレ・デル・ラーゴには愛らしい犬の像があります。この犬はピッポ(Pippo)と名付けられた飼い主のいない犬で、1977年に背中に深い銃創を負った姿で見つかりました。しかし、ピッポは人間を許し、信頼し続けました。ピッポは純粋な心で善、許し、友情、自由が意味することを住民たちに教え、湖の住民たちから愛されながらここに20年ほど住んでいたといいます。

ジャコモ・プッチーニ博物館 ピッポ

忠犬ハチ公ほどの感動ストーリーではないですが、犬と人間が交わした愛情エピソードをこうして記憶し続けるなんてトッレ・デル・ラーゴの人たちは素敵ですし、天国のピッポも幸せに思っていることでしょう。

湖のほとりで夜風に当たりながらオペラを鑑賞、プッチーニ・フェスティバル

ヴィッラ・プッチーニから少し離れたところに、マッサチウッコリ湖を見下ろす野外劇場があります。毎年夏には、プッチーニに敬意を表して、プッチーニのオペラが上演されるオペラフェスティバル「プッチーニ音楽祭」が開催され、毎年約4万人が参加しています。

プッチーニ音楽祭

初めてトッレ・デル・ラーゴを訪れた時から「いつか、あの野外劇場でプッチーニのオペラを鑑賞したい」と思っていたのですが、この夏ついに念願かなってここでオペラを鑑賞してきました。劇場へは湖上の木の橋を渡って行くのですが、非日常の魅惑の世界へ踏み込んだような気持ちになり、ますます胸が高鳴るのを感じました。

プッチーニ音楽祭

劇場の周辺はアート作品が展示されたパルコ・デッラ・ムージカ(音楽公園)が広がり、カクテルを提供するケータリングカーなどが並んでいました。どこまでもお洒落で幻想的で、一般的なオペラハウスとはまた違った雰囲気でオペラを楽しむことができます。

プッチーニ音楽祭

今回で67回目を迎えるプッチーニ・フェスティバル、今年は 7月16日(金) から 8月21日(土)まで開催され、「トゥーランドット」「トスカ」「ラ・ボエム」の3作品が上演されました。この中で私が鑑賞したのはトゥーランドット」です。アルトゥム皇帝を演じるのはKazuki Yoshidaさんという日本人オペラ歌手で、コロナ禍でありながらも日本人歌手が活躍しているのを知って嬉しく感じました。

プッチーニ音楽祭

チケットは公式サイトにて購入しましたが座席も選べてスムーズでした。サイトには「ドレスコード」が記載され、「エレガントな洋服が望ましい。短パン&Tシャツ&ビーチサンダルは劇場内に入れません」と書かれていました。残念ながら普段着の人たちもかなりいたものの、ロングドレスなど気合の入ったお洒落な人も多く、優雅な雰囲気も漂っていました。私も友人たちと一緒にロングワンピースで揃えて出かけましたが、やはりオペラはお洒落をしていく方が断然楽しめますので、こういった機会には是非お洒落をしてみてください。

プッチーニ音楽祭

会場はコロナ禍のため、席数が減らされていたこともあり、満席状態でした。入場の際にはグリーンパス(ワクチン接種証明、コロナ陰性証明等)の提示も求めら、野外とはいえマスクの着用を求めるアナウンスもありました。

マスク着用を推奨するアナウンス画面マスク着用を推奨するアナウンス画面

イタリアの場合、コンサートやオペラの開始時間は日本に比べてずっと遅いのですが、この日の開演時刻は21時15分。上映時間はインターバル2回(各25分)込みで約3時間、終わったのは日付変わった0時過ぎでした。私は劇場近くに別荘を持っている友人と一緒だったので、彼女の家に泊めてもらえたのですが、電車でくる人は終電が無くなるため近くのホテルを予約しておくか、または車で来る必要があります。

プッチーニ音楽祭

野外劇場のためエアコンなどはもちろんありませんが、上演中は夜風がとても心地よく、室内とは違うリラックスした雰囲気で楽しめました。イタリアでちょっと非日常的な体験ができるプッチーニ・フェスティバル、来年参加してみてはいかがでしょうか。

プッチーニ・フェスティバル
URL https://www.puccinifestival.it/

オペラ鑑賞の前後日には、近くのビーチで海水浴を

トッレ・デル・ラーゴにはビーチがあり、夏場は海水浴客でとてもにぎわいます。プッチーニ・フェスティバルが開催される7〜8月は非常に暑いので、フェスティバルの前後に海水浴を楽しむのもお勧めです。私はオペラ鑑賞当日の午後に海水浴をしましたが、この日もとても暑く海水がぬるま湯のような暖かさで温泉のように感じました。

トッレ・デル・ラーゴ

日中は海水浴を楽しみ、夕暮れは湖のほとりでアペリティーボや散策を楽しみ、夜はオペラ鑑賞を楽しむ。色んな楽しみ方があるトッレ・デル・ラーゴ・プッチーニは、毎年訪れてみたいと思わせる魅力のある街でした。周辺にはプッチーニの生誕地ルッカ、斜塔で有名なピサ、カルネヴァーレ(カーニバル)があるヴィアレッジョもあるので、それらの街と組み合わせて訪れることもできますよ。

<連載「二度目のイタリア、次に行くならこんな街」まだまだ知らないイタリアの魅力を紹介!>
Vol.1 映画の舞台にもなったコルトーナ
Vol.2 紀元前300年の青銅版に偉大な歴史を感じる街グッビオ
Vol.3 聖堂内の美しさに引き込まれるアッシジとスポレート
Vol.4 世界一の高さを誇る〇〇の滝?!マルモレの滝で避暑
Vol.5 島そのものが豪華宮殿「ベッラ島(美しい島)」
Vol.6 2021年ユネスコ世界遺産に登録!パドヴァのスクロヴェーニ礼拝堂

イタリアの情報が満載のメールマガジン登録はこちらをクリック