大学都市や美食の街などとして知られるボローニャ。近年は外国人観光客への人気も高まる一方、イタリア人には「住みやすい街」として認められるようになりました。イタリア経済紙イル・ソーレ・24オーレ ( Il Sole 24 Ore )が国民統計調査に基づき毎年公表する生活の質ランキング( La Qualità della vita )では、2020年と2022年に首位に輝いています。この街に4年間暮らした私も、それには納得です。
今回は、観光地としても人気の高いボローニャの知られざる魅力をたっぷりとご紹介します。
旧市街を一望。サン・ミケーレ・イン・ボスコ教会
ミラノのような大都市に負けない利便性や経済的・文化的豊かさの恩恵を受けつつ、長閑な暮らしを楽しめるところがボローニャの良いところ。その要因の一つは、この街が小高い丘に囲まれているからかもしれません。
ボローニャの丘は、週末などに気分転換するには最高の場所。眺望の開けた場所が市内の丘陵地にいくつもあり、そこからの景色も都心から田園風景まで様々です。その時々の気分で場所を変え、ハイキング、サイクリング、ピクニック、ドライブなど、いろんなアクティビティーが楽しめます。
中でも、旧市街からほど近いサン・ミケーレ・イン・ボスコ教会(Chiesa di San Michele in Bosco)は、観光客にもお勧めしたいとっておきの展望スポット。
ボスコとはイタリア語で森という意味ですが、その名の通りここは自然豊かな高台。教会前の広場からは、緑の向こうに広がる旧市街を一望できます。ボローニャに来たら一度は足を運んでもらいたい場所です!
オススメの理由① 観光地としてはまだ穴場!チケット不要でいつでも行ける
サン・ミケーレ・イン・ボスコ教会前に広がる展望台は、知る人ぞ知るボローニャ穴場の絶景スポットです。いつ訪れても人はまばらで、たまに学生グループがワイワイ集まっているところに出くわす程度。 どちらかというと地元民の憩いの場で、観光地としてはまだ知名度が低いようです。
私自身もここの存在を知ったのは、ボローニャに住み始めて2年くらい経ってからのことでした。それまでは、街のシンボルでもある二つの斜塔(Due Torri)の高い方、アジネッリ塔(Torre degli Asinelli)がボローニャ随一の見晴らし台だと思っていました。
中世の街並みを眼下に見ることができるこの塔は、観光客にも人気です。ひと昔前に上ったときは予約なしに見物できた記憶がありますが、今やチケットも前もって購入しないと売り切れ状態のようです。再訪したいと思いつつ、気軽に上るにはちょっと足が遠のいてしまいました。
対して、サン・ミケーレ・イン・ボスコ教会は丘の上にあり、いつでも自由に訪れることができます。ぜひ、天気が良く空が澄み切った時を狙って行ってみてください。
私が好きな時間帯は、旧市街がオレンジ色に輝く夕方です。 展望台から見えるモニュメントの説明書きもあるので、実際に街歩きをした後に来ると、なお良いかもしれません。
オススメの理由② アクセス良好
サン・ミケーレ・イン・ボスコ教会をボローニャ短期滞在者にもお勧めするもう一つの理由が、市街地からのアクセスの良さです。旧市街のすぐ後ろにある高台なので、車がなくても大丈夫!むしろ近くの駐車場は常に満車なので、車以外で行くことをお勧めします。
滞在先が旧市街で散策に時間が取れるなら、ぜひ徒歩で行きましょう。街の真ん中にあるマッジョーレ広場から教会までは、ゆっくり歩いても40分程度です。麓にある公園の遊歩道をくねくねと登ると近道です。
時間に余裕がない場合は、タクシーまたはバスでどうぞ。ボローニャ中央駅ほか旧市街の各所から30番のバスが出ているので、San Michele in Bosco方面の終点まで乗ってください。
体力に自信があるならサイクリングはどうでしょう。オレンジ色の車輪が目印のモバイク(Mobike)という自転車共有サービスが普及しているので、市内なら割とどこからでも利用しやすいです。行きは坂道を登り切るのが大変ですが、帰りは猛スピードで下降!車道を通ることになるので、安全運転に気を付けてくださいね。
オススメの理由③ 教会の中も一見の価値あり
美しいパノラマを心行くまで楽しんだら、サン・ミケーレ・イン・ボスコ教会の内部もぜひ見学を。ポンペイ遺跡を思わせるような古(いにしえ)の壁画から、色鮮やかな中世の宗教画まで、異なる時代のフレスコが残っています。
ミサなどで入れないこともあるかもしれませんが、基本的に下記の開館時間は自由に参拝が可能です。
アクセス情報
Chiesa di San Michele in Bosco (サン・ミケーレ・イン・ボスコ教会)
住所:Piazzale di S. Michele in Bosco, 3, 40136 Bologna BO
開館時間:毎日 9:00 – 12:00 / 16:00 – 18:00
ボローニャ中央駅及び旧市街の各停留所からは、路線バス30番San Michele in Bosco方面の終点で下車
その他、旧市街からは徒歩、自転車(Mobike)、タクシーなど
まだまだ知られざる見どころがいっぱい(次回予告)
実はサン・ミケーレ・イン・ボスコ教会、かつて修道院だった大きな建物とつながっており、これらを総じてサン・ミケーレ・イン・ボスコの複合施設(Il Complesso di San Michele in Bosco)と呼びます。
この複合施設は何世紀にもわたり増改築が繰り返され、修道院以前は王族の住まいや刑務所など、時代によって様々な使われ方をしてきました。 そして、修道院としての機能を終えた19世紀末に、現存のリッツォーリ整形外科病院(Istituto Ortopedico Rizzoli)として生まれ変わりました。
そんな歴史を今も感じられる病院内には、バロック時代の著名な画家によるフレスコやモダン建築美など、知る人ぞ知る見どころが隠れています。 次回詳しくご紹介しますので、どうぞお楽しみに!