イタリア北西部のピエモンテ州にある、イタリアワイン、田舎料理、大自然の三拍子が揃う場所。そこは、世界遺産である「ぶどうの景観」が見所のロエロ地方です。
美食とワインの宝庫「ロエロ地方」
トリノから車で約40分、のどかな田舎の風景を楽しみながら、クーネオ県カナーレを訪れました。
カナーレは、ワインの他にもトリュフやサルシッチャ、ポルチーニ茸など新鮮で貴重な食材で溢れる、知る人ぞ知る美食の宝庫! また桃の名産地ということもあって、春先から桃の花がワイン畑に混じり、色あざやかなぶどう畑を楽しむことができます。
実力派ワイナリー「カッシーナ・キッコ(CASCINA CHICCO)」
今回は、ワインスペクテイターやガンベロロッソなどで高得点、高評価を獲得し続ける、現在大注目のワイナリー「カッシーナ・キッコ」にご招待いただきました。真っ白でエレガントな建物が印象的です。
ワイナリーをガイドしていただいたのは、エンリコ・ファチェンダさん。お父さま、ご兄弟と共にワイナリーを経営し、さらにカナーレの市長も務められているというお忙しい中、とても親切に案内してくださいました。
元々はサラミを販売するサラメリアが本業であったファチェンダ一家でしたが、1950年にエンリコさんの祖父であるエルネスト・ファチェンダさんが購入した1ヘクタールの土地から「カッシーナ・キッコ」の歴史が始まります。
優れたビジネスセンスと革新的な試みにより、3世代にわたる家族の絆と共に成長を続け、現在では40ヘクタール以上の畑を所有。年間で合計35万本以上のワインを生産するまでに拡大しました。
建物の入口では、サラメリアとして営業していた当時の大理石のカウンターやハムのスライサーなどを見ることができます。カッシーナ・キッコ社の所有するカナーレ、モンフォルテダルバにある畑の説明を聞き、ガラス扉の奥にあるセラー内へと移動します。
地下に広がるスタイリッシュなセラー
セラーへ一歩足を踏み入れると、奥まで美しく並んだ熟成樽に感動!
シャンパーニュと同じ製法である「瓶内二次発酵」のスプマンテがずらりと並ぶセラーでは、手作業で行われる瓶内の澱を集める作業「ルミアージュ」の様子を細かく説明してくださいました。
細部まで手が行き届き、こだわりを感じる内装からセンスの良さが伺えます。
カッシーナ・キッコのワイン3種をテイスティング
セラーを見学した後は、テイスティングへ。今回試飲したのは写真左からスプマンテ、ロエロアルネイスの白、ネッビオーロの赤の3種類。
日本食にぴったりな辛口スプマンテと白ワインは、日本食レストランでも人気とのこと。ネッビオーロはフルーティで軽やかな飲み口で、タンニンや渋みなどをあまり感じず、ネッビオーロを初めて飲む方にオススメ。
数々の賞を受賞しているカッシーナ・キッコのワインは、品質とコストパフォーマンスの高さが魅力です。
ワインは「畑」から。無農薬、テロワールを生かしたこだわりの畑
「今回は特別にご案内します」と、エンリコさんに連れて行っていただいたのはカナーレのぶどう畑。無農薬栽培で、収穫は全て手作業。土地の持つテロワールを生かしたぶどうの栽培を行なっており、畑の名前がそのままワイン名として付けられていることからも、畑に対する情熱が感じられます。
カナーレの絶品タヤリンとおすすめバローロ
昼食は「ピエモンテで一番美味しいタヤリンが食べられる!」というカナーレの老舗レストランil centroへ連れて行っていただきました。
タヤリンとは、卵の練り込まれたピエモンテ州のご当地パスタのこと。こんなに細いタヤリンは初めてで、感動のあまりたくさん写真を撮り続けてしまいました。バターと絡めて、パルメザンチーズをかけただけなのに味は絶品!
お料理に合わせてカッシーナ・キッコのロゼスプマンテとバローロを一緒にいただきます。Ginestraの畑で生産されたバローロ(2010)はワインスペクテイターで95点を獲得したという逸品。香りを嗅いだ瞬間に虜になってしまいました……。バローロ好きは見逃せないおすすめの一本です。
モダンなスタイルにアレンジされたピエモンテの郷土料理はどれも美味。食事のあとはカンティーナへ戻り、エンリコさんと共に記念撮影。温かいおもてなしのおかげでワインもお食事も一層おいしく感じられ、すっかり満たされた1日となりました。
今回、オーガナイズをしてくださったのはWell com Albaのシモネッタさん。貴重な体験とお心遣いをありがとうございました。
カッシーナ・キッコのワイナリーは英語対応可能。親切なスタッフの方々が対応してくださるので安心です。ぜひ、カナーレへ至福のワインの旅を企画してみてはいかがでしょうか。
Via Valentino,14–12043 CANALE(CN)
TEL:0173979411
ワイナリー訪問は要予約。英語での案内可
【初出:この記事は2018年4月17日、初公開されました@AGARU ITALIA】