イタリア北東、ヴェネツィアを州都に持つヴェネト州のワイン地域であるヴァルポリチェッラ。イタリアで、最も有名な赤ワイン生産地の一つとして知られています。千年を超える歴史を持つこの地域は、240平方キロメートルの土地を持ち、北部の国境となっているアルプス山麓の丘に位置しています。
この地域で生産されるワインは、イタリアのワイン格付けにおいてDOCやDOCGを獲得。イタリア国内において、トップクラスの実力を持つ生産地と言えるでしょう。
ヴァルポリチェッラで造られるワインは、主に4種類。陰干しブドウから造られる高級ワインの「アマローネ」、スパイシーなチェリーの魅力が漂う「リパッソ」、デザートワインにも最適な甘口の「レチョート」、そして身近な存在の「ヴァルポリチェッラ」です。ヴァルポリチェッラは、ライト~ミディアムボディのワインが多く、テーブルワインとして国内外問わず人気を博しています。
そんなヴァルポリチェッラ産のワインを、ウォークスルー形式で味わえる試飲会イベント「ヴァルポリチェッラ・Walk Around Tasting & Masterclass」が、在日イタリア商工会議所とヴァルポリチェッラ保護協会とのコラボレーションによって、2024年3月18日にホテル雅叙園東京にて開催されました。
今回は、本イベントで見つけた、おすすめイタリアワインを3つご紹介します。
1.Zýmē di Celestino Gaspari(ジーメ ディ チェレスティーノ・ ガスパーリ )
「Zýmē di Celestino Gaspari(ジーメ ディ チェレスティーノ・ ガスパーリ )」のチェレスティーノ・ガスパーリ氏は、1986年〜1997年に「イタリア・ヴェネト州の至宝」と称されるワインの造り手、ジュゼッペ・クインタレッリ氏のもとでワイン造りを学びました。同時に、AISイタリア・ソムリエ協会、ONAVイタリアワインテイスティング組織など、様々なプログラムに参加した後、ワインコンサルタントとして独立。
多くの有名ワイナリーと仕事をするなかで、テロワール、そして自分自身の個性を詰め込んだワインを造りたいとの思いが募っていったといいます。ジーメ ディ チェレスティーノ・ ガスパーリは、ワインコンサルタントとして活躍してきたガスパーリ氏が、2003年に満を持して立ち上げたワイナリーです。
「ジーメ」はギリシャ語で、酵母や発酵を意味し、固有品種のリサーチや遺伝子の研究を行ってきたガスパーリ氏が、原点に立ち戻ってテロワールを表現したいという気持ちが込められています。
フラッグシップワインの「Harlequin(ハーレクイン)」は、イタリアの北東部に位置するヴェネト州の固有品種を伝統的な製法で仕上げたワイン。フレッシュな赤果実の香りに加えて、オリエンタルなスパイスやハーブ、チョコレートの風味がプラスされた優雅なワインです。
2.CA’ DEL SETTE VINI(カ・デル・セッテ・ヴィー二)
「CA’ DEL SETTE VINI(カ・デル・セッテ・ヴィー二)」は、1865年からブドウ園を所有し、150年以上の経験を持つ家族経営のワイナリーです。5世代にわたるワインメーカーによって受け継がれてきた伝統のおかげで、ブドウ栽培が成り立っています。
この情熱から、ヴェローナとヴィチェンツァの有名なDOCとIGPにある農業地域で事業を展開し、ブドウ畑の栽培、ブドウの加工から、世界中でバルクワインとパッケージワインのマーケティングを行っています。
「アマローネ・デッラ・ヴァルポリチェッラDOCG “1944 モンテコムン”」は、1944年9月17日に起こったモンテ・コムンの戦いを記念して造られました。モンテ・コムンの戦いは、アマローネワインの生産地であるグレッツァーナで、ヴェロネーゼのレジスタンスにおける最も重要な戦いのひとつです。
アマローネは歴史に彩られたワインであり、ヴァルポリチェッラ地区で収穫されたブドウを厳選し、乾燥させ、古くからの伝統に従って醸造し、限られた量しか生産されません。豊かな風味と濃厚でエレガントな香りには、ブラックベリーのアロマとオーク樽からくる僅かなスパイシーさが感じられます。
3.PASQUA VIGNETI E CANTINE(パスクア・ヴィニティ・エ・カンティーヌ)
「PASQUA VIGNETI E CANTINE(パスクア・ヴィニティ・エ・カンティーヌ)」は、家族経営のワイナリーです。1925年、パスクア家はペルージャからイタリア北東のヴェネト州のヴェローナに移り住み、ワインの生産を開始。以来、伝統的なワイン造りを大切にしながらも、新しい技術を精力的に導入しています。
同社は、現在3代目となるカルロ・パスクア氏を中心に、イタリアで五指に入る生産量を誇るプライベートカンパニーとなっています。また、特筆すべきは、輸出が70%を占めることです。ワインの本場であるフランスをはじめ、日本、ドイツなど、世界40カ国でパスクアの味が認められています。
伝統的なワイン造りを大切にするパスクアのこだわりは、ブドウの収穫にも表れています。「ヴィッラ・ボルゲッティ アマローネ・クラシコ」や「レ・ソライエ」などは、ブドウを一つひとつ丁寧に手摘みでピッキングします。また、1998年からは自社畑の中心に位置する最新ワイナリーが本格稼働しています。1999年からは、より柔らかい口当りのワインを造るため、夜に収穫を行うナイトハーベストを試験的にスタート。より親しまれるワインを造るための工夫を惜しみません。
以上、「ヴァルポリチェッラ」のワインイベントで見つけた、おすすめイタリアワインを3つご紹介しました。ぜひ、気になるワインがあったら、試してみてくださいね!