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ホリデーシーズンに楽しみたい! イタリアワインの顔であるトスカーナ州の赤ワイン「キャンティD.O.C.G.」で優雅なひとときを

皆さん、ワインはお好きですか? おうち時間が増えた今、ゆったりとした時を過ごしながら、ワインを嗜んでいる方も多くいらっしゃることでしょう。私自身、赤ワインには、ポリフェノールや、ビタミン、ミネラルが含まれており、適度な飲酒は健康と美容に良いと聞いたことがあるので、好んで飲んでいます。


ワインの中でも、愛飲者が多いのが、イタリアワイン。特にイタリアワインの顔と言っても過言ではない赤ワイン「キャンティ」が世界中で人気を博しています。シンプルで飲みやすく、デイリーに楽しめることから、日本でも人気のあるキャンティですが、生産者や種類が多いことから、どれを選んだらいいのかお悩みの方も多いかもしれません。


そんなお悩みを解決すべく、2021年12月13日(月)に在日イタリア商工会議所主催のワインセミナー「キャンティD.O.C.G. トスカーナの真髄 2019年ヴィンテージのホリゾンタル・テイスティング」がオンラインで開催されました。講師を務めたのが、イタリアと日本で、ワインと食について執筆、セミナーの講師、講演を多数行っている、ワインの専門家でジャーナリストの 宮嶋勲氏。1983年から1989年まで、ローマの新聞社に勤務した経歴を持っています。2014年、イタリア文化への貢献により、イタリアの星勲章「コンメンダトーレ章」をイタリア大統領より授与されるなど、イタリアに精通した方です。


濃いルビーレッドの色調が美しいキャンティワインは、アレッツォ、フィレンツェ、ピサ、ピストイア、プラート、シエナの各県に位置する、法律で定められた地域で生産されています。この地方に共通する自然環境の特徴として、なだらかな起伏が広がり、その谷あいを川が流れる丘隆地帯であることが挙げられます。気候や土壌によって味わいに変化が生まれるのがワインですが、キャンティワインは、トスカーナの丘隆地帯と相性がよく、成功を収めたといいます。


セミナーは、2019年のキャンティD.O.C.Gのヴィンテージワインである「キャンティ コッリ・セネージD.O.C.G.」「キャンティ モンタルバーノD.O.C.G.」「キャンティ (コッリーネ・ピサーネ)D.O.C.G.」「キャンティ モンテスペルトリD.O.C.G.」「キャンティ コッリ・フィオレンティーニD.O.C.G.」「キャンティ (コッリ・アレティーニ)D.O.C.G.」「キャンティ ルフィナD.O.C.G.」の7本を実際に試飲しながら、進められました。キャンティは、これら7つの生産地で構成され、ワインにサブゾーンの名称と合わせて表示することができます。D.O.C.G.とは、キャンティの格付けのことで、イタリア全土で栽培が盛んなブドウの品種「サンジョヴェーゼ」を最低70%以上使用したワインのこと。白ブドウは10%まで、その他黒ブドウは15%までブレンドできると規定されています。また、最低熟成期間が4ヶ月、通常の熟成期間より長く熟成させたリゼルヴァの場合、最低熟成期間は26ヶ月とされています。


次に、産地によって味わいに違いが出るキャンティワインを3つ選んで、特徴をみていきたいと思います。


キャンティ コッリ・セネージD.O.C.G.

キャンティ コッリ・セネージD.O.C.G.

シエナの町とシエナ県の多くの町を含むトスカーナの中心地では、キャンティ コッリ・セネージD.O.C.G.が生産されています。とても広大で変化に富んだ土地は、高い生産性を保有するとともに、キャンティワインの品質の良さでも知られています。


キャンティ コッリ・セネージD.O.C.G.は、キャンティの中でも丸みのあるタンニンが特徴的で、スケールの大きいワインです。野心的な味わいではなく、活き活きとしたチェリーの香りを感じます。成熟したチェリーのトーンが、香ばしく飲みやすい。口に含むとふくよかで、スパイシーな面も。タンニンのグリップがそれほど強くなく、味わいが広がりふくよかで、攻撃的な感じがありません。ピュアなサンジョヴェーゼの特徴が出ています。素直で飲みやすく、アペリティフにもマッチします。


キャンティ モンタルバーノD.O.C.G.

キャンティ モンタルバーノD.O.C.G.

キャンティ モンタルバーノD.O.C.G.は、ピストイア県とともに、プラート県の幾つかの町で生産されています。アルバーノ山の東側の高地まで続く丘隆地帯です。ピストイアとプラートをフィレンツェへと繋ぐ平野の西側にそびえる山の名を冠したキャンティ モンタルバーノD.O.C.G.。その穏やかな斜面にはブドウ畑が広がっています。


たとえ、トスカーナの中で県としての歴史が最も浅く(1992年制定)、狭い領地であろうとも、このプラートは豊かな歴史文化と風景において、また素晴らしいワインを数百年にわたって作りだしている土地という点においても、他に劣ることはありません。規模の大きな生産者から、小・中規模の生産者まで、こだわりのあるワイン作りに力を注いでいます。


北の涼しげなトーンが出やすいキャンティ モンタルバーノD.O.C.G。赤い果実の香りは、開かずに閉じた感じです。口の中でも若いグリップするタンニンで、活き活きとした酸を持っています。キャンティクラシコに近い、山や丘隆を感じさせる味わいです。サラミや生ハムとマッチする赤ワインです。


キャンティ ルフィナD.O.C.G.

キャンティ モンタルバーノD.O.C.G.

フィレンツェの街を取り囲む丘の間にある田園地帯は、数多くの歴史とブドウ畑に包まれています。ブドウの並木は何世紀も前からここに存在し、その風景を特徴的なものとするメディチ家の邸宅や城、塔やロマネスク教会とともに欠かすことのできない存在です。


アルノ河の右岸、ポンタッシエヴェより上ってディーコマーノ、そしてムジェッロまではキャンティ ルフィナD.O.C.G.の地域があり、1700年代にはすでにボディのしっかりとしたワインで名を馳せていました。


キャンティ ルフィナD.O.C.G.は、キャンティの中での最も有名なサブゾーンで、一時独立も囁かれていました。トスカーナの中で一番アペニン山脈を感じさせる、はかなげなワインです。石灰土壌や長期熟成のため、酸の強いサンジョヴェーゼとなっています。熟れていないイチゴのトーンがあり、フルーティというよりフローラルな面持ち。アロマがあり、タンニンが引き締まっています。縦に切り込んでくる、バーティカルな印象です。ミネラルの持続性がある偉大なワインといえるでしょう。最も個性が際立つこちらのキャンティワインは、万人受けするのではなく、通好み。タイトな味わいの中にも、品格の良さを感じさせます。


生産者の熟練した仕事と業界全体の積極的な姿勢によって、条件が整えられた結果、キャンティワインは大規模に流通し、国内外の市場で格別高い人気を誇るようになったそうです。キャンティワインの起業家たちは、常に生産と販売の両面で発展の先頭に立ってきましたが、その証となるのが品質の高さであり、また、イタリアとイタリア製品を世界中の市場に広めることに貢献してきました。


キャンティワイン協会のジョバンニ・ブーシ氏は「キャンティは、地域によって異なる特色を持つワイン。キャンティの大きな呼称は、世界的に有名です。3400の業者が関わっており、サブゾーンの違いが興味深い」と語っています。


また、ブランドアンバサダーのルカ・アルベス氏は「日本の皆さんには、キャンティに愛情を持っていただいていて有難い。キャンティには様々なタイプが存在し、一括りできない複数の違いがあります。キャンティはある意味シンプルで飲みやすいですが、その反面、複雑でそれぞれの特徴を持っています。シンプルですが、奥が深いのです」と述べています。


ホリデーシーズンのお供に、キャンティワインを楽しんでみてはいかがでしょうか。ぜひ、お気に入りの一本を見つけてみてくださいね!