LIFESTYLE 31 May 2021

イタリアのマンマが作ってくれた、濃厚トロットロな「フィレンツェ風トリッパ煮込み」


トリッパとはイタリア語で牛の胃袋のことですが、トリッパを野菜で煮込む「Trippa Alla Fiorentina(トリッパ・アッラ・フィオレンティーナ)=フィレンツェ風トリッパ」はフィレンツェの名物料理のひとつです。今回この料理を披露してくれたマンマ(イタリア語で「お母さん」)は、フィレンツェ在住のパトリツィア・ヴェッリさん。友人のクラウディアから「私のマンマはフィレンツェ風トリッパが得意料理なのよ!」と紹介を受けて、レシピを教えてもらいに行ってきました。

初めて食べたのは50歳の時!それからすっかり虜になったトリッパ煮込み

パトリツィアさんは、ベネツィアの北に位置する町ヴィットリオ・ヴェネトの出身。1972年に大学で建築学を学ぶためにフィレンツェへ来て以来、フィレンツェで暮らしてきました。フィレンツェ出身の夫フランチェスコさんからは、結婚してすぐにこんな本がプレゼントされました。それは、「フィレンツェ料理レシピ集」!

レシピの本

40年前にもらった本ですが、パトリツィアさんは今でも大事に愛読しています。この本は、料理好きのフィレンツェ市民なら誰もが持っている、昔からずっと人気のあるベストセラー料理本です。本の中にはフランチェスコさんからこんなメッセージが。

“Fagioli, Bistecca, Trippa, Ribollita. Sono cose a me gradite! Alla regina della cucina con amore raro, Francesco”
<豆、ビステッカ、トリッパ、リボッリータ。これらは私が好きなものです! キッチンの女王様へ愛を込めて、フランチェスコ>

レシピの本のページ

「豆(料理)、ビステッカ・・・」は、いずれもフィレンツェの郷土料理。フィレンツェから300キロ以上も離れたヴィットリオ・ヴェネト出身の奥様に、地元フィレンツェの郷土料理を一緒に味わいたい思いをこの本に託したフランチェスコさん。その甲斐あって、パトリツィアさんは今ではフィレンツェ名物パッパ・アル・ポモドーロもリボッリータもすっかりお手の物です。ただ、「トリッパ」だけは苦手だったというパトリツィアさん。夫の好物といえども、これだけはずっと食わず嫌いをしてきたのだそうです。

フィレンツェ風トリッパ

「私が初めてトリッパを食べたのは、なんと50歳の時なのよ!」とパトリツィアさん。そのきっかけは友人宅での食事会。フィレンツェ出身の友人がフィレンツェ風トリッパ料理を作ってくれたので食べてみたら、それがすごく美味しかったのだそうです。すっかりトリッパの虜になり、フランチェスコさんからプレゼントされたレシピ本で作り方を調べて試行錯誤し、今では自慢の手料理のひとつになりました。ヴィットリオ・ヴェネトから親戚たちが訪ねて来ると、必ずリクエストされる大人気の料理です。

パトリツィアさん流、誰でも失敗せずに作れるフィレンツェ風トリッパのレシピ

フィレンツェ市民たちはもちろんのこと、北イタリアの人たちをも虜にする絶品フィレンツェ名物トリッパ煮込み。パトリツィアさんからその作り方を丁寧に教えてもらいました。誰でも失敗せずに作ることができる、わかりやすいレシピです。

Trippa alla fiorentina(フィレンツェ風トリッパ)

材料

<4人分材料>

・トリッパ(洗って茹でてあるもの) 1キロ
・にんじん1本、セロリ1本、玉ねぎ1個
・トマト缶詰 400グラム※トマトの皮が無いピューレ状タイプ
・パルミジャーノレッジャーノチーズ 50グラム
・エキストラバージンオリーブオイル 大さじ6
・塩コショウ

<作り方>
①にんじん、セロリ、玉ねぎをフードプロセッサーにかけてみじん切りにする

にんじん、セロリ、玉ねぎをフードプロセッサーにかけてみじん切りにするパトリツィアさん

②鍋にオリーブオイルを入れて弱火にかける

鍋にオイルを入れるパトリツィアさん

③みじん切りにした野菜を鍋に加える

みじん切りにした野菜を鍋に加えたもの

④さらに大さじ1の水を加え、ふたはせずに30分弱火で煮込む
<※パトリツィアさんがボランティアをしている老人ホームのお年寄りから教えてもらった、トリッパ煮込みを美味しくするコツなのだそうです!>

大さじ1の水を加えるところ

⑤その間にトリッパを1センチ程度の幅の短冊状に切る

トリッパを切るパトリツィアさん

⑥トリッパを鍋に加えて全体をかき混ぜ、さらに10分弱火で煮込む

弱火で煮込むトリッパ

⑦トマト缶と塩こしょうを加え、蓋をしてさらに20分弱火で煮込む

トマト缶と塩こしょうを加えたトリッパ

蓋をした鍋

⑧蓋を取って、2〜3分休ませる

蓋を取って、休ませているトリッパ

⑧削ったパルミジャーノレッジャーノチーズを加え、全体に行き渡るようかき混ぜる

鍋の中にあるトリッパにチーズを加えるところ

⑨食べる直前にさらにパルミジャーノレッジャーノチーズ(分量外)を上から削ってかけてできあがり

お皿にのせたトリッパにチーズを加えるところ

【パトリツィアさんからのアドバイス】

「トリッパが美味しさの秘訣なので必ず新鮮で上質なトリッパを用意することが重要です。見た目が白いものが新鮮で美味しく、古いものは黄色がかった色をしています。」

パトリツィアさんはフィレンツェ郊外のアンテッラという街にあるお肉屋「Batini A.E.Ceccarelli」で仕入れてきた新鮮なトリッパを使っていました。イタリアではトリッパはたいてい既に洗って茹でてある状態のものが売られているので、そのまま使えます。

トリッパを食べる犬

愛犬のぺぺちゃんもさすが、フィレンツェのワンコ。トリッパが大好物で何度もおねだりする姿がとても愛らしかったです。

フィレンツェ市民の大好物バッチェッリ(そら豆)、家庭菜園で収穫したばかりの新鮮を生で

パトリツィアさんがトリッパを煮込んでいる間に、夫のフランチェスコさんから「前菜のための野菜を収穫しに行こう!」とご自慢の家庭菜園へ案内してもらいました。

野菜を収穫に行くフランチェスコさん

フランチェスコさんは二度目のロックダウン中、時間がたっぷりあったことから広大な庭に畑を作りました。トマト、レタス、ズッキーニ、じゃがいも、など沢山の種類の野菜を区分けして育てています。

野菜

5月末の旬は、なんといってもバッチェッリです。バッチェッリとはそら豆のことでファーヴェとも呼ばれますが、トスカーナではバッチェッリと呼ばれる方が多く、トスカーナの人たちの大好物のお豆。これをトスカーナでは生で食べるのですが、採れたての新鮮なものは甘みが強くてとても美味しいのです。

バッチェッリ

私もこれまで何度もスーパーや八百屋で買ってバッチェッリを生で食べていますが、この日食べた採れたてバッチェッリはまるで別物。古くなると苦味が増すのですが、採れたては甘くて味が濃くて絶品です。

バッチェッリに溢れるバケツとバッチェッリの畑

バケツいっぱい収穫して家に戻り、前菜の準備です。生のバッチェッリは、ペコリーノチーズ(羊のチーズ)と一緒に食べるのがトスカーナの定番です。フランチェスコさんは、これにオリーブオイルもたっぷりかけるのが好み。このオリーブオイルも昨年の秋に自宅の庭のオリーブでつくった自家製です。

ペコリーノチーズとファーヴぇ

バッチェッリを食べているパトリツィアさん、フランチェスコさんと二人の娘

バッチェッリを食べ終わる頃、ちょうどトリッパも食べ頃に。奥様が大好物のフィレンツェ風トリッパを手作りしてくれるようになって、フランチェスコさんもこの笑顔。日本では来月20日は父の日ですが、お父さんへの手料理にもおすすめですよ。

トリッパを見せているフランチェスコさん

ちなみにフランチェスコさんもとても料理が上手で、イタリアニティで野うさぎのチョコレート煮込みを紹介してくれました。

<フィレンツェの自慢の一品!チョコレート料理「野うさぎのドルチェフォルテ」を召し上がれ>

ロックダウン中には、夫婦で生パスタやパンの手作りにも挑戦したそうで、「生パスタはうまく作れて絶品だったけど、パンを焼くのは難しかったね」などと話していました。新鮮な畑の野菜と美味しい手料理のおかげで、ステイホームもとても楽しく過ごせたお二人。フランチェスコさんもパトリツィアさんも、「またいつでもおいで!日本の皆さんにイタリア料理を伝えられるのは嬉しいから。」と笑顔で見送ってくれました。お二人には今後も自慢の手料理を紹介してもらいたいですね!

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WRITER PROFILE
小林 真子 Mako Kobayashi

フィレンツェ在住。元静岡朝日テレビ報道記者。2012年よりフィレンツェ在局FMラジオ番組レギュラー出演。イタリアの労働ビザを取得し、イタリア製アイテムのオンラインショップ「AmicaMako(アミーカ・マコ)」を経営。「FIATマガジンCiao!」「週刊新潮」等でイタリア関連の記事やコラムを執筆。 ●ブログ https://www.blog.amicamako.com/ ●FACEBOOK https://www.facebook.com/amicamako/ ●INSTAGRAM https://www.instagram.com/makokobayashi_firenze/ https://www.instagram.com/amicamako_onlineshop/