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コロナ禍が始まってから一年。再ロックダウン中のイタリアから最新リポート(2021年3月24日)

私がITALIANITYに最初にコロナ関連リポートを書いたのは昨年の3月19日。あの最初のロックダウンから1年以上も経過したイタリアでは、3月24日時点の新規感染者は2万人超え、死亡者数は460人にも上ります。昨年11月から再びロックダウン中ですが、日本とは比較にならないほど依然としてコロナが猛威を奮っています。あの頃は、まさかこんなに長引くとは想像もできませんでした。

「誰もいなくなったフィレンツェの街から現状リポート(2020年3月19日現在)」

最初のロックダウンはイタリア全土で一斉に一律レベルでの都市封鎖が行われましたが、あの時のフィレンツェの街から人が消えた景色は一生忘れることができないほど衝撃的でした。Netflixで放映された日本のドラマ「今際の国のアリス」が世界中で人気となりましたが、あのドラマに登場する渋谷から人がいきなり消えたシーンのようなことが実際に現実に起こり、外を歩くのをあれほど不安に感じたことはないほどの緊迫感が漂ってました。

2020年3月19日撮影、誰もいないポンテベッキオ2020年3月19日撮影、誰もいないポンテベッキオ

再ロックダウンは、緊迫感が無くなった普通で穏やかな雰囲気

昨年11月から始まった部分的ロックダウンは、最初のロックダウンのような緊迫感はありません。最初の全国一律の都市封鎖では、その効果は劇的なものではありましたが、経済に深刻なダメージをもたらしてしまいました。その反省から、再ロックダウンでは感染者数によって各州ごとを色分けして規制レベルを変えています。州ごとにレベル分けした二度目、三度目のロックダウンでは感染者数が少ない州では規制レベルをゆるめ、一般のショップや美容院関連の営業などを認めています。

2021年3月25日撮影、フィレンツェの中心街2021年3月25日撮影、フィレンツェの中心街

3月24日現在、主要都市を含む10州で一番規制レベルの強いレッドゾーンに入ってますが、私の住むフィレンツェは一段階弱い規制のオレンジゾーンに残ったため、今も通常のショップも営業し、街には買い物などを楽しむ人たちが歩いており、普段の穏やかな雰囲気のままです。

2021年3月25日撮影、フィレンツェの中心街2021年3月25日撮影、フィレンツェの中心街

再ロックダウンでは警察の監視レベルが低くなり、罰金を課されるケースが減りました。最初のロックダウンでは警察パトロールが非常に厳しく、私も実際に自宅からわずか500メートル以内の範囲で警察から尋問されている人を何人も見かけました。また、私の知人には自宅から約1キロ離れたところでジョギングをしていただけで、警察から罰金を課せられた人もいます。これが二度目のロックダウンになると、警察車両のパトロールは見かけるものの歩行者に対して何も言いません。罰金を課せられたという噂もほとんど聞かなくなりました。最初のロックダウンでは自己宣誓書をしっかり持って歩いていても、警察車両を見るだけでビクッとしてしまうほど緊迫感がありましたが、もはやそんな緊迫感はありません。

2021年3月25日撮影、フィレンツェのシニョリーア広場2021年3月25日撮影、フィレンツェのシニョリーア広場

特に警察の監視が弱まり罰金が課せられなくなった点は大きく、規制がゆるまったから外出するという人が増えた印象です。また、最初の時は一日の死者数が300人などニュースで耳にすると、みんなその数字の多さに恐れを抱いていましが、1年も経過するとそういった数字にも感覚が麻痺するようになり、恐怖心なども薄れているように感じます。

感染者数が再び拡大しているので大きな声では言えませんが、それでも街を歩いているイタリア人についてはそれなりに規制に従い、マスク着用&お互い距離をあける&消毒ジェルや手洗いなどは引き続き行っている人がほとんどのように見えます。22時から5時の間はずっと外出禁止が続いていますが、19時ともなるとフィレンツェの街は静まり返ります。

スーパーの利用規制もゆるまり、店内には混雑が見られることも

最初のロックダウンでは、スーパーの利用規制もかなり厳しかったのですが、ここ最近ではゆるくなったところが多く感じます。今でも消毒ジェルも体温測定計も入り口にはありますが、係員が入店人数を制限したり、係員から体温測定や消毒ジェルの使用を義務付けされることはほとんど無くなりました。手袋の義務付けもなくなり、入店人数制限数もほぼ無制限になっているところもあり、店内が混雑することも増えました。厳しかったロックダウン中の人数制限下におけるガラ空きのスーパーで悠々買い物できた日々に戻りたいとさえ思うくらいですが、みんな店内では100%マスク着用、お互いの距離を取るように配慮する習慣がすっかり板につき、コロナ禍の生活にすっかり慣れた様子です。

2021年3月25日撮影、入り口から係員がいなくなったフィレンツェ市内のスーパー2021年3月25日撮影、入り口から係員がいなくなったフィレンツェ市内のスーパー

ただ、フィレンツェでは少々不毛な独自のルールを決め、市民たちからかなり反感を買っています。というのも、その独自ルールは金曜〜日曜には午後4時以降、アルコール類の販売を禁止するというもの。フィレンツェ市いわく、「週末にアルコールを飲みながら、路上や広場などでお酒を飲みながらどんちゃん騒ぎをすることを予防するため」という目的らしいですが、それなら4時までか週末以外に買いだめしておけばいいだけのあまり効果の無さそうなルールに対し、市民たちは「なんでも規制すればいいってものじゃない」と呆れ気味です。

ワクチン接種は12月からスタート。医療従事者、教育関係者、高齢者の順で

イタリアでは長引くコロナ禍から脱出するには、ワクチン接種しかないと考える人が増えており、私の周りでも「一度目のワクチン接種してきた」「次は自分の番かな」とワクチンの話題がとても増えました。

イタリアでは12月27日からワクチン接種が始まり、医療従事者、教育関係者や警察&消防関係者、高齢者などから優先的にワクチン接種が行われています。私の周りでも一度目のワクチン接種を行った人は何人もいますが、その中でアストラゼネカ製を接種した友人たちは、「接種後に頭痛と発熱が一晩だけあったけど、すぐに治った」などと話していました。ただ、3月上旬にアストラゼネカ製ワクチン接種後に死亡者が出たことから一度はワクチン使用が見合わせることになりましたが、安全性を保証する声明が出されワクチン接種は再開しています。

イタリア政府は9月までに全国民の8割の接種を目標に掲げていますが、24日時点でのワクチン接種完了者(二度目の接種が済んだ人)は270万6381人で、全国民の4.5%程度、一度目の接種が済んだ人は579万9896人で全国民の約10%程度と進みが遅い状況です。

私の周りのワクチン接種済みの友人たちの中には「二度目のワクチン接種は5月だから、夏のバカンスは外国へだって行けるかも!」と嬉々としている人もおり、この先ワクチン接種完了者と未摂取者の間でもし行動制限の差が広がるのであればなんだかやるせない気持ちになりそうですが、まだ今後のことは不明の状態です。

2021年3月25日撮影、フィレンツェのアルノ川沿い2021年3月25日撮影、フィレンツェのアルノ川沿い

今年のパスクワ(復活祭)は4月4日ですが、この期間中は再び全国一斉に一律規制レベルMAXのロックダウンが行われ、相変わらずお祝いごとなどができないイタリア。最初のロックダウンから一年以上が経過し、国民たちもコロナ疲れがますます深刻になってきていますが、「スーパーマリオ」の異名を持つマリオ・ドラギ新首相の登場はイタリア国民に希望の光をもたらしました。コロナ危機からの脱却に向けた、ドラギ新首相の政治手腕に期待が高まっています。

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