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コーヒーのプロが教える「Musetti(ムゼッティ)」コーヒーの特徴とおすすめポイント

ミラノのあるロンバルディア州との州境、エミリア・ロマーニャ州最北部に位置する歴史と美食を感じれるピアチェンツァ。この街で80年以上に渡り代表的なトレファッツィオーネ・デル・カッフェ(コーヒーロースター)として街の人達に欠かせないエスプレッソ文化を提供してきたCaffè Musetti。日本でも20年以上前から北イタリアらしいエレガントな味わいのエスプレッソを楽しむことが出来ましたが、今回新しいラインナップGold Cuvéeをイタリア国際カフェテイスティング協会のテイスターでもある筆者が、プロのテイスティング技術を持って紐解いていきます。

コーヒーの評価基準とは?

イタリア国際カフェテイスティング協会は伝わりにくい味や香り、美味しさの評価を知覚分析を通して客観的に評価するメソッドで、世界中で普及しており日本でも1000人以上のテイスターがいます。

今回の評価は知覚のうち、視覚、嗅覚、触覚、味覚を使い、見た目、香り、味わい、余韻を人が食事を楽しむように、見た目から、飲み終わった後の余韻まで順番に評価していき、この一杯のカフェにどのような情報(豆の品種、栽培、精製、焙煎、ブレンド、マシンの種類、バリスタのスキルによる様々な影響)が内包しているか明らかにしていきます。このような表現にするとなんとも難しい方法のように聞こえますが、要は美味しいな、好きだな、美味しくないなという感覚を誰でも共有できる共通言語のような評価をしていきます。

早速ムゼッティをテイスティング

今回テイスティングするGold Cuvée はイタリアのエスプレッソ豆らしく、数種類のコーヒー豆をブレンドしていて、華やかな香りやフルーティな香りをもつアラビカ種85%、ビターでコクをもたらすロブスタ種15%からなるブレンドです。このようなブレンド比率は、北イタリアでよく見かけるタイプです。

コーヒーに詳しい方や好きな方であれば、アラビカ種だけを使ったコーヒーが美味しいと思われるのですが、イタリアではロブスタも含めて、まるでオーケストラのような豊かな味わいをもたらすエスプレッソが好まれます。

イタリアの抽出基準に則り、1杯あたりコーヒー豆量7g、コーヒー抽出の為の湯温90℃、湯の抽出圧力9気圧、コーヒー抽出時間25秒で抽出された25mlエスプレッソを早速テイスティング・評価していきましょう。

ここで大事なのは、エスプレッソの寿命は短いということです。抽出後2分もすれば劣化してしまい本来の味わいを失ってしまいます。なので抽出されたらすぐに評価することが大事です。

イタリアでエスプレッソを楽しむといえばカッフェバールですが、ここはバールカウンター越しバリスタが抽出したエスプレッソを、抽出直後に素早く数口で飲んで立ち去りながらも、その後の余韻までを楽しみます。このスタイルは美味しく楽しむ事にとっても、とても理にかなっています。

初めに見た目の評価です。エスプレッソの表面には、繊維や色素などでできたクレマが覆っています。イタリアでは、よくクレマの色をヘーゼルナッツ色と表現しますが、このGold Cuvéeのクレマもまさにヘーゼルナッツ色です。

そしてクレマ自体は、シルクのような光沢を放つほどにきめ細かく詰まった表面で、ちょっとやそっと揺らしても、このクレマは持続性も高く残っていて、とても好印象です。豆のブレンド比率や焙煎度合い、バリスタに腕が見て取れるものです。

そして鼻にエスプレッソのカップを近づけて、香りの強さと焙煎による香りのボリュームを感じ取ります。

カカオやナッツなどの香りがしっかりと香り、焦げすぎず程よいトースト香を伴う焙煎の香りと雑味、嫌味のないテイストで、飲む前から北イタリアキャラクターにワクワクする気持ちが膨らみます。

そして5〜10ml程度のクレマと液体を一緒にゆっくり舌の上全体に流れるように口に含みます。この時に音を立てたり、吸い込んだりは厳禁です。なぜならテイスティングはその名の通り、料理を食べるように味わうことだからです。

これにより、舌の上に通過するクレマとのバランスでとろみ感(いわゆるボディ)を評価して、苦味と酸味、渋み、全体の口当たりバランスをみていきます。

程よいボディとともに、初めに上品で強すぎない酸が舌の上に現れます。その後にほのかで決して強すぎない苦味が現れます。エスプレッソはカフェインの影響で、飲んでから少しして渋み(これは味覚でなく触覚なんです)が現れますが、これもほとんど感じず、心地よいバランスの口当たりを再現してくれます。

人は口の奥から鼻腔に香りの分子が送られる事で、飲んでからも香りを感じることができます。このGold Cuvée は、口に含むと柑橘系のフルーティな香りとほのかなフローラルな香りを感じさせたのち、ヘーゼルナッツやカカオ、バニラへと変化していきます。
これらは生豆の精製過程や品種、焙煎由来によりますが、複雑な香りの変化を楽しめます。

そして最後はこの香りのボリューム感と余韻を感じとります。先程の香りが飲んでだあとも十分残っており、心地よい余韻を楽しませてくます。

余韻まで楽しめる、まさにイタリアらしいオーケストラのようなエスプレッソ、そして北イタリアらしい味わいのキャラクターです。名前の通り上質なシャンパーニュを楽しむかのように楽しめるエスプレッソでした。

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