LIFESTYLE 05 Jan 2021

イタリアワイン紀行 Vol.6 イタリアの最も美しい村ネイヴェ 「ロマーノ・レヴィ」の伝説のグラッパ


イタリアの最も美しい村 ネイヴェ

伝説のグラッパの造り手ロマーノ・レヴィの故郷ネイヴェ村を訪ねました。
グラッパとはイタリアでつくられるアルコール度数の高い蒸留酒のことで、主に食後の消化酒として飲まれています。

ネイヴェ村の魅力は、なんといってもその美しさ。
なだらかなブドウ畑に囲まれた絵画のような景観は民間団体( borghi più belli d’Italia)による「イタリアの最も美しい村」リストに登録されています。

さらに高級ワインのバルバレスコの銘醸地としても知られているので、秋の白トリュフシーズンになるとワインと白トリュフとの最強のペアリングを求めて世界中から美食家が訪れます。
そんな、魅力でいっぱいのネイヴェ村にある(故)ロマーノ・レヴィのグラッパ蒸留所を訪ねました。

なぜロマーノ・レヴィはこんなにも愛されるのか?

ネイヴェ村に到着すると街のいたるところでロマーノ・レヴィの名前を目にします。知る人ぞ知るグラッパなだけあり、以前日本からのお客様をお連れした際に感動された様子が今でも心に残っています。

そんなロマーノ・レヴィが世界中の人々を惹きつける魅力は何なのでしょう。
1つ目は、透明感と香りを生み出す昔ながらの地球にやさしい製造方法

イタリアでグラッパと呼ぶことができるのは、ぶどうの搾りかすをそのまま蒸留させて造った無糖・無香料の純粋なものに限定されます。レヴィのグラッパ造りには「直火式の蒸留器」という、温度調節が難しく経験と知識を必要とする昔ながらの製法が使用されています。
材料のブドウかすはこの地域で作られるGAJA(ガヤ)など、偉大なワインの生産者から仕入れます。蒸留後灰になった燃料は肥料としてぶどう畑にまかれ、また新しいブドウの果実が実りワインが作られて…と地球に優しい循環のサイクルを作り出しています。

2つ目は本人によって一つ一つ手書きで描かれた愛らしいラベルです。他界されてからは手書きラベルの希少価値がさらに上がり、空ボトルまでもがオークションでやりとりされるほどの人気です。

ロマーノ・レヴィは売るためではなく「贈り物」としてのグラッパ作りを行っていました。
全ての工程は手作業で丁寧に作られるため生産数も限られています。

クモの巣だらけのアトリエ 独創的なロマーノ・レヴィの人生

ユダヤ人起源であるレヴィの家系は17世紀から蒸留酒製造業を行っており、ロマーノの両親は結婚後にワインの醸造地としても知られるネイヴェへ定住しました。父親のセラフィーノは、蒸留所を開設してすぐ42歳の若さで他界してしまいます。父親の死後も蒸留所を管理していた母親までも、ロマーノが17歳の時に空襲で亡くなってしまいました。
姉のリディアと二人っきりになってしまったロマーノは、当時通っていたアルバの学校をやめて姉と共に家系の蒸留所を引き継ぐ決意します。
この日から伝説のグラッパとも呼ばれるロマーノ・レヴィのグラッパ作りが始まりました。

蒸留所の隣はオフィス兼ロマーノ・レヴィのアトリエがあり、ボトルのエチケットの柄付けに使用していた色鉛筆やスケッチブックなど現在もそのままの姿で残されています。作業机の上に置かれたノートには、世界中から訪問した人々からのたくさんの熱いメッセージが残されていました。

室内をよく見回してみるとアトリエの隅々は蜘蛛の巣だらけ。
自然を心から愛したロマーノ氏は昆虫、植物など全ての命を尊重し、家の中にできた蜘蛛の巣も除去することはなく全ての生き物とありのままの姿で共存していました。

姉のリディアの育てたハーブが入ったグラッパ。リディアは厳格な性格の持ち主だったようで、人生の殆どを一階の個室で規則正しく修道院生活のように過ごしたと言われています。

2008年グラッパに捧げたロマーノ・レヴィの生涯は幕を閉じ、現在は生前から彼のもとでグラッパ造りを行ってきたファブリツィオ・ソブレロ氏が伝統の蒸留方法を継承しています。

蒸留所ではグラッパの製造方法、直下式蒸留の方法について詳しく説明を受けたあと、試飲ではモスカート、バローロ、バルバレコ、さらには10年熟成させたもの、そしてカモミールのグラッパ…と、たくさんの種類の中から好きなものを試飲させていただきました。中でもカモミールはグラッパを飲み慣れていない人でも飲みやすいまろやかな味わいと、眠りについてしまいそうな心地よく芳香的な香りが特徴の珍しいグラッパです。

暮らすように泊まる ネイヴェ村のおすすめのホテル

美しいネイヴェの村でまるで暮らすように滞在できるアパートメントタイプのホテルがボルゴ ヴェッキョ ロカンダ ディ キャルメ(Borgo Vecchio Locanda di Charme)。バルバレスコの街へも車で約10分なので、グラッパに加えバルバレスコ見学にも便利な立地です。ホテル内のレストランでは、新鮮な食材を使ったモダンなイタリアンと地元のおいしいワインが揃います。窓の外に広がるぶどう畑をみわたしながらアットホームな空間のなかでゆっくりとした時間が流れます。

Distilleria Romano Levi
ロマーノ・レヴィ グラッパ蒸留所
試飲は予約制。
販売数に限りがあるため購入できない場合もあるので注意。

住所 Via XXSettembre, 91, 12052 Neive CN
URL https://www.distilleriaromanolevi.com/

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WRITER PROFILE
マリーニ あゆみ Ayumi Marini

イタリアソムリエ協会認定ソムリエ。客室乗務員として勤務後、ミスユニバースファイナリストに選出されたのを機にモデル、語学留学など経験。結婚後イタリアへ拠点を移し、ワインの宝庫ピエモンテでワインと出会う。旅とワインのブログではイタリアワインや旅の様子を発信中。https://asmwine.com/