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【イタリア最高の産地を巡るワイン付きマガジン月刊DOCG】特別連載最終回「中世の古城と白ワインの町 “ソアヴェ” 」

中世の古城と白ワインの町“ソアヴェ”

ソアヴェの町中にそびえ立つのは、10世紀に建設された大きな城壁を擁するソアヴェ城。威圧感のある壁の上部には皇帝派が持ち主であったことを示すMの装飾と教皇派が持ち主であったことを示す凸の装飾の両方があります。この美しい城の持ち主が何度も変わり、周辺でも歴史的に争いごとが絶えなかったであろうことは容易に想像できますが、今となっては中世を感じるソアヴェの町並みはとても穏やかで、まさにどこを撮っても絵になる風景です。
城に登ると辺り一面にソアヴェのブドウ畑を見渡すことができます。平地から小高い丘にかけて広がっていますが、実はそれこそがポイントで、畑の場所によって造られるソアヴェの銘柄が異なってくるのです。

旧市街への入り口に建つ門。

フレッシュさが心地よいソアヴェ。

平地から丘にかけて広がる畑。

人間の5倍以上もの高さがある威圧感のある壁。

市場に並ぶ野菜や胡桃。

巨大倉庫にて。カセットをかなりな高さにまで積み上げて、ブドウをアパッシメント(陰干し)中。

ポルチーニ茸とトルテッリーニのパスタ。

収穫してトラックで運ばれてきた白ブドウはすぐさま除梗・破砕を経て圧搾される。

トウモロコシの粉を使った北イタリアの伝統料理「ポレンタ」を作っていた鍋。ヴェネト州は農業も盛んで、小麦やお米、トウモロコシの生産でも有名。

黒トリュフを贅沢にかけた手打ちパスタ「パッパルデッレ」。語源のパッパーレとは、「豪快に食べる」「食いしん坊」といった意味を持つ。

ソアヴェ スーペリオーレとレチョート・ディ・ソアヴェを知るきほんのき

丘陵地に限定されて造られるソアヴェ

ソアヴェは日本においても最もよく知られたイタリア白ワインのひとつで、すっきりとしたフレッシュなものから複雑なミネラル感を持つ味わい深いタイプまで幅広く造られています。非常に親しみやすい味わいで世界的に人気を博したのですが、需要の高まりから生産エリアを平野部にまで拡大したことで、大量生産される銘柄となっていきました。その結果クオリティにバラツキが生じてしまったのです。そこで特定の古い地域で造られるものをソアヴェ・クラッシコ、丘陵地で造られたものをソアヴェ スーペリオーレと銘柄名を区別してリリースすることもできるようにしました。
DOCGに昇格しているのはソアヴェ スーペリオーレに限られますが、これを造っている生産者数は多くないのが実際のところで、あまり見かけることのないワインです。ソアヴェDOCやソアヴェ・クラッシコDOCの方がポピュラーな銘柄となっています。

ソアヴェ スーペリオーレの基礎知識
Soave Superiore DOCG
ソアヴェ スーペリオーレDOCG

州:ヴェネト
DOCG:昇格年2002年
瓶詰ワイナリー数:約30社
ブドウ品種:ガルガーネガ70%以上、トレッビアーノ・ディ・ソアヴェ30%まで
法定熟成期間:3ヶ月
ワインのタイプ:白
※特定の古い地域のものはラベルにClassicoと表示することができます。

今月のワイン①
TENUTA DI CORTE GIACOBBE
Soave Superiore DOCG “RUNCATA”
テヌータ・ディ・コルテ・ジャコッベ
ソアヴェ スーペリオーレ “ルンカータ”

DATA
ヴィンテージ:2017
アルコール度数:13.0%
ブドウ品種:ガルガーネガ100%
輸入元: ワインキュレーション
希望小売価格: 4,100円(税込)

ソアヴェ スーペリオーレよりも早くDOCGに昇格

生産エリアはソアヴェ スーペリオーレと等しく、ヴェローナから東に約20㎞のところに位置しています。
5世紀にテオドリック大王によって書かれた文献の中に既にレチョートについて記載があります。この地域において1500年もの歴史を持つ伝統的な甘口ワインです。収穫したブドウをアパッシメント(陰干し)して糖度を高めたのちに醸造して造られます。
干し方としては、360度空気に触れることができるように吊るして干したり、藁の上やカセットにブドウを並べて自然の風や扇風機を用いて乾燥させたりと、生産者によって様々です。
ワインからはアプリコットやキンカン、ハチミツ、アーモンドのような香りが広がります。実は、レチョート・ディ・ソアヴェのスプマンテも存在しますが、2~3生産者しか製造していない幻のワインです。

レチョート・ディ・ソアヴェの基礎知識
Recioto di Soave DOCG
レチョート・ディ・ソアヴェDOCG

州:ヴェネト
DOCG昇格年:1998年
瓶詰ワイナリー数:約40社
ブドウ品種:ガルガーネガ70%以上、トレッビアーノ・ディ・ソアヴェ30%まで
法定熟成期間:ブドウ収穫の翌年8月31日までは消費できない
ワインのタイプ:甘口、スプマンテ
※特定の古い地域のものはラベルにClassicoと表示することができます。

今月のワイン②
PORTINARI
Recioto di Soave DOCG “ORO”
ポルティナーリ
レチョート・ディ・ソアヴェ “オーロ”

黄金の甘口ワイン

ワイン名の“オーロ”とは、黄金を意味しており、まさしくその色合いはしっかりとした黄金色をしています。
ソアヴェ・クラッシコエリア内のクリュ、ブロニョリゴのロンケットという畑と、アルバーレという平地の畑のより小さめの房のブドウを使っています。
収穫の翌年3月までアパッシメントして発酵した後、18か月バリックで熟成します。乾燥には扇風機は使用せず、自然の
風のみで行います。
アプリコットジャムやキンカン、アーモンド、オレンジピールといった複雑な香りが華やかに広がります。貴腐菌が付くこ
とで丸みを帯びた口当たりで骨格のあるワインとなり、余韻も長く続きます。
※甘口ワインはハーフボトル(375ml)もしくは500mlが一般的です。

DATA
ヴィンテージ:2015
アルコール度数:16.0%
ブドウ品種:ガルガーネガ100%
輸入元:Vino Hayashi
希望小売価格:6,820円(税込)
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【月刊DOCG】とは?

イタリアワインのDOCG銘柄と生産地の旅情報を掲載したマガジン月刊DOCG

希少で個性豊かなイタリアワインの輸入・販売を行う株式会社Vino Hayashiによる、イタリアの「地酒」の最高峰であるDOCG銘柄のワインと、生産地の旅情報を掲載したマガジン【月刊DOCG】を2019年3月から発行しています。約5年で全76銘柄を網羅する予定。メジャーなのにマニアックなDOCGワインの旅へあなたをお連れします。ライターはイタリアソムリエ協会認定ソムリエの鶴岡 恵さん。
注文はこちらからhttps://store.vinohayashi.com/lp/docg/

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