ボローニャ発 DOCG「ピニョレット」を巡る旅へ
街中で月桂樹の冠を被った美しい女性に遭遇しました。イタリア特有の卒業シーンです。イタリアの大学では卒業式はなく、各自準備が出来た段階で最終口頭試験を受け、一人ひとり単独で卒業していきます。ヨーロッパ最古の大学がある町として知られるボローニャでは時折このような祝福の光景が見られます。
友人や家族に囲まれ、とびっきりの笑顔の彼女にお祝いに差し出されたスプマンテは地元のピニョレットでした。
ボローニャのシンボルの一つ、ドゥエ・トッリ(2本の塔)。97.2mのアジネッリ(高い方)の塔は1109年~1119年の間に建てられ、この時代の塔としては世界一の高さを誇る。498段の階段を上って、一面オレンジ色のボローニャの町並みを見渡すことができる。
アジネッリの塔の内部。多くの観光客で列をなすため、時間で区切って、上りか下りかの一方通行としている。昔からアジネッリの塔に上るとボローニャ大学を卒業できなくなるというジンクスがあるため、ボローニャ大学の学生たちは卒業するまで上らない。
コッリ・ボロニェージ・ピニョレットの基礎知識
Colli Bolognesi Pignoletto DOCG
コッリ・ボロニェージ・ピニョレット DOCG
エミリア地方の代表的な白ブドウ
ピニョレットは品種名としても呼ばれていますが、品種の正式名称はグレケット・ジェンティーレと言い、ピニョレットは銘柄名です。
グラスに注ぐと白い花やハーブ、リンゴや桃、洋梨、ヘーゼルナッツといった香りが広がり、気軽に飲める親しみやすい味わいです。地元での消費が多く、生産量の多いDOCのピニョレットでさえ、日本では見かけることは稀です。
造られるワインのうち、70%はフリッツァンテ(弱発砲)で、一番伝統的なタイプとされています。20%はフリッツァンテ以外のスプマンテ。白ワインとなるスーペリオーレとクラッシコ・スーペリオーレは10%ほどの割合となっており、発泡酒がメインの銘柄と言えます。
コッリ・ボロニェージ・ピニョレット DOCG
州:エミリア=ロマーニャ
DOCG昇格年:2010年
瓶詰めワイナリー数:約40社
ワインのタイプ:フリッツァンテ、スプマンテ、白
フリッツァンテとスプマンテのブドウ品種:グレケット・ジェンティーレ85%以上、瓶内二次発酵のスプマンテはグレケット・ジェンティーレ100%
法定熟成期間:なし
スーペリオーレのブドウ品種:グレケット・ジェンティーレ85%以上
法定熟成期間:6ヶ月
クラシッコスーペリオーレのブドウ品種:グレケット・ジェンティーレ85%以上
法定熟成期間:1年
生産エリアについて
コッリ・ボロニェージ・ピニョレットDOCGの生産エリアは、エミリア=ロマーニャ州の中心部に位置しています。
地図上で示しているように、コッリ・ボロニェージ・ピニョレットDOCGの生産エリアを、平地であるピニョレットDOCの生産エリアが約5倍もの面積で取り囲んでいます。州都ボローニャの南西に広がる丘陵地帯で造られたワインだけがDOCGを名乗ることができるのです。ワインの生産量が非常に多いエミリア=ロマーニャ州の中で、コッリ・ボロニェージ・ピニョレットDOCGのエリアがいかに限定されているかがわかります。
今月のワイン
TENUTA LA RIVA
Colli Bolognesi Pignoletto
Spumante Metodo Classico DOCG
テヌータ・ラ・リーヴァ
コッリ・ボロニェージ・ピニョレット
スプマンテ メトド・クラッシコ
食事に合わせやすいドサッジョ・ゼロ
8月下旬~9月上旬に収穫。畑の標高は220mで、ブドウの樹の樹齢は40年。瓶内二次発酵のスプマンテで、18か月以上シュールリー熟成したのちにリリースされます。
桃やカモミールのような優しい香りが広がります。洗練された味わいで、シュールリー熟成由来の旨みがあります。補糖をしていないため、後味はすっきりしていて余韻に心地よい苦みを感じます。食事に非常に合わせやすい1本です。年産12,000本。
DATA
ヴィンテージ:2016
アルコール度数:16.0%
ブドウ品種:グレケット・ジェンティーレ100%
購入はこちらから
TENUTA LA RIVA
Colli Bolognesi Pignoletto
Superiore DOCG “Il Superiore”
テヌータ・ラ・リーヴァ
コッリ・ボロニェージ・ピニョレット
スーペリオーレ “イル・スーペリオーレ”
食中にはピニョレット!
畑の標高は220mで、ブドウの樹の樹齢は35年。ステンレスタンクで熟成した後、瓶内で更に12ヶ月以上熟成してからリリースされます。濃いめの麦わら色。黄リンゴやカリン、桃、洋梨のような香り。味わいには心地よい酸味とミネラル感があります。前菜から魚介や鶏、豚といった白肉のグリルなど、骨格があるのでメインディッシュまで幅広く合わせていただ
けます。年産僅か5,000本。
DATA
ヴィンテージ:2016
アルコール度数:13.5%
ブドウ品種:グレケット・ジェンティーレ100%
購入はこちらから
【月刊DOCG】とは?
希少で個性豊かなイタリアワインの輸入・販売を行う株式会社Vino Hayashiによる、イタリアの「地酒」の最高峰であるDOCG銘柄のワインと、生産地の旅情報を掲載したマガジン【月刊DOCG】を2019年3月から発行しています。約5年で全76銘柄を網羅する予定。メジャーなのにマニアックなDOCGワインの旅へあなたをお連れします。ライターはイタリアソムリエ協会認定ソムリエの鶴岡 恵さん。
注文はこちらからhttps://store.vinohayashi.com/lp/docg/