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【イタリア最高の産地を巡るワイン付きマガジン月刊DOCG】特別連載vol.6「 畑は森と隣り合わせ」

イタリアワインDOCGとは?

イタリアワインの格付けにおいて最も厳正な規定が設けられている、いわばイタリアワインの最高峰に位置するのがDOCG(原産地呼称保証付き統制ワイン)。このプレミアムなワインと、そのワインが生まれた地を、イタリアワインの輸入・販売を手掛けるVino Hayashi発行の【月刊DOCG】の協力のもと、その一部をご紹介する特別連載がこちら。今回は、北部の土着品種コルテーゼからできるガヴィを巡る旅をお楽しみください。

Gavi(ガヴィ)の畑は森と隣り合わせ

ガヴィのブドウ畑の隣は森が広がり、狩猟が行われる

ブドウ畑を見学に行く際に、生産者のパオラさんは言いました。「今日は狩猟をやっているから……行くのちょっと怖いのよね……。」と。実際畑に到着してみると、パオラさんの言葉どおり大きな銃を持った二人の猟師と二匹の猟犬に遭遇。
ガヴィの生産エリアの周りは非常に森が多く、9月下旬からクリスマスまでの水曜日、土曜日、日曜日は狩猟の日とされているとのこと。狙う獲物は猪だそうです。
南北に広がるガヴィの生産地を車で走る途中、いくつもの丘や森を通り過ぎます。すれ違う車もほとんどなく、人気の少ないエリア。ガヴィの町の中心地もこぢんまりとしていて、観光客も多くありません。
そんなひっそりとしたガヴィの森の中に、猟師の銃声は響き渡るのでした。

町の中心に位置するサン・ジャコモ・マッジョーレ教会

正面は町の中心に位置するサン・ジャコモ・マッジョーレ教会。1172年に着工されたロマネスク様式の建築で、上部の塔は1352年に完成。

ガヴィ要塞は12世紀にジェノヴァ人によって建てられた

丘の頂上に聳え立つ荘厳な雰囲気のガヴィ要塞は12世紀にジェノヴァ人によって建てられたもの。現在は博物館となっている。

Cima alla Genovese(チーマ・アッラ・ジェノヴェーゼ)。ジェノヴァやガヴィ、オヴァダでお馴染みの料理

Cima alla Genovese(チーマ・アッラ・ジェノヴェーゼ)。ジェノヴァやガヴィ、オヴァダでお馴染みの料理。

リグーリア州の風習と同じように、ガヴィ周辺でも朝食にはフォカッチャが食される

リグーリア州の風習と同じように、ガヴィ周辺でも朝食にはフォカッチャが食される。

トラクターいっぱいに積まれたコルテーゼ

ガヴィはこの土地の土着品種、コルテーゼ100%で造られます。コルテーゼはピエモンテ州東部のアレッサンドリア県を中心に、ロンバルディア州南部やヴェネト州西部でも栽培されています。
現地に訪れたのは9月末。畑に到着すると既にたくさんのブドウが摘まれていました。収穫はひと房ひと房手で摘むため、早朝から行われていたようです。
収穫シーズンはこのようにブドウを山盛りに積んだトラクターが道を行き交います。
白ブドウはこのままトラクターでワイナリーに運ばれると、すぐに除梗作業となります。その後圧搾し、大量のブドウジュースを造ってタンクに保存されます。

ガヴィの基礎知識

味わいは親しみやすくスッキリ&ミネラリー

ピエモンテ州の東に位置する人口約4,500人の小さなコムーネ “ガヴィ” を中心に、ワインの生産エリアは南北に広がっています。
1990年のイタ飯ブームの際、ガヴィはいち早く日本に紹介され、人気となりました。その後数々のイタリアワインが輸入され最近では流通量が減りはしましたが、1000年以上の歴史を持つ、ピエモンテ州の代表的な白ワインの一つとして親しまれています。
銘柄名はガヴィDOCG、もしくはコルテーゼ・ディ・ガヴィDOCGとも言うことができます。ワインは柑橘類や白い花、アーモンドのような香りがやさしく広がり、ミネラル感のあるすっきりとした味わいです。
ラベル表示
ガヴィは11のコムーネに分かれており、ワインのラベルには各コムーネを記載することができます。その場合、Gavi DOCGのあとに del Comune di ~という文字が続き、「~のコムーネで造られたガヴィ」を意味しています。
Gavi di Gaviという呼び方はもうしない
かつてはGavi del Comune di Gavi(ガヴィのコムーネで造られたガヴィ)の意味合いで“Gavi di Gavi”としていたことがありましたが、ワイン法の改訂により現在ではGavi di Gaviと表示することは禁じられています。

Gavi(ガヴィ) DOCG
州:ピエモンテ
DOCG昇格年:1998年
瓶詰めワイナリー数:約80社
ブドウ品種:コルテーゼ100%
法定熟成期間:1年以上
ワインのタイプ:白、スプマンテ、フリッツァンテ

ジェノヴァとの繋がり

ガヴィの歴史は古く、972年6月3日付けのジェノヴァ国家公文書館に保存された最初の文書に、ガヴィのワイン造りについての記載があります。この頃から既にワインがガヴィからジェノヴァに持ち込まれ、飲まれていたのです。
18世紀までは主に甘口のガヴィが造られていたそうですが、19世紀以降ジェノヴァ人が地中海の魚料理に合わせられるように辛口を要求したため、徐々に白ワインの生産へ移行していきました。ジェノヴァ人が多く行き来する土地柄、その後も白ワインの需要が高まり続け、現在では甘口ワインはあまり見られなくなりました。

今月のワイン

La Mesma Gavi DOCG del Comune di Gavi
ラ・メスマ ガヴィ・デル・コムーネ・ディ・ガヴィ

ラ・メスマ ガヴィ・デル・コムーネ・ディ・ガヴィ2017年のボトル

石灰質土壌のブドウで造られるミネラリーガヴィ
畑はモンテロトンドに位置するガヴィのコムーネで造られたガヴィ。南西向きで、標高は350m。非常に白い石灰質の土壌。熟成はステンレスタンクにて行われます。
グレープフルーツのような柑橘類やアプリコット、セージや小さい野生の花のような香り。ミネラル感をしっかりと感じ、フレッシュでさっぱりとした味わい。爽やかな心地よい余韻が広がります。
DATA
ヴィンテージ:2017
アルコール度数:13.0%
ブドウ品種:コルテーゼ100%
エリア:モンテロトンド
【お届けワインリンクURL】
http://store.vinohayashi.jp/products/list154.html

カステッラーリ・ベルガーリオ ガヴィ・デル・コムーネ・ディ・タッサローロ “フォルナーチ”とラ・ギベッリーナ ガヴィ・デル・コムーネ・ディ・ガヴィ メトド・クラッシコのボトル

(左)Castellari Bergaglio Gavi DOCG del Comune di Tassarolo “FORNACI”
カステッラーリ・ベルガーリオ ガヴィ・デル・コムーネ・ディ・タッサローロ “フォルナーチ”

DATA
ヴィンテージ:2018
アルコール度数:12.0%
ブドウ品種:コルテーゼ100%
エリア:タッサローロ
畑名:フォルナーチ
(右)La Ghibellina Gavi DOCG del Comune di Gavi Metodo Classico
ラ・ギベッリーナ ガヴィ・デル・コムーネ・ディ・ガヴィ メトド・クラッシコ

DATA
ヴィンテージ:2013
アルコール度数:13.0%
ブドウ品種:コルテーゼ100%
エリア:モンテロトンド

【月刊DOCG】とは?

イタリアワインのDOCG銘柄と生産地の旅情報を掲載したマガジン月刊DOCG

希少で個性豊かなイタリアワインの輸入・販売を行う株式会社Vino Hayashiによる、イタリアの「地酒」の最高峰であるDOCG銘柄のワインと、生産地の旅情報を掲載したマガジン【月刊DOCG】を2019年3月から発行しています。約5年で全74銘柄を網羅する予定。メジャーなのにマニアックなDOCGワインの旅へあなたをお連れします。ライターはイタリアソムリエ協会認定ソムリエの鶴岡 恵さん。
注文はこちらからhttps://store.vinohayashi.com/lp/docg/

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