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イタリアワインの話 1|ダヴィンチも愛した?帰ってきた白ワイン「ティモラッソ」

イタリアで出会った美味しくて個性的なワインたち。
旅の中で出会ったワインの思い出や、イタリアで活躍するワインの専門家たちに聞いたワインにまつわるゴシップなどをご紹介していきます。

ちょうどイタリアワインに興味を持ち始めた頃に教えてもらったのが「ティモラッソ」というイタリアでも珍しい白ワインです。

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当時住んでいた場所トリノはピエモンテ州の州都で(イタリア列島を長靴に例えたらちょうど膝下あたり)、郊外では高級ワインのバローロを筆頭にワインの産地としても有名な場所です。
今でこそ日本でも幅広いワインを取り扱う場所が増えましたが、イタリアでワインは気軽な飲み物で、レストランで「とりあえずネッビオーロにしとく?」と私の母親世代の女性たち(60歳前半)がワインリストからさらっとオーダーする様子はいたって普通の光景で、幅広い層に親しまれています。

そんなある日仲良しのソムリエのYちゃんから「珍しくておすすめのワインがあるよ」と教えてもらったのが「ティモラッソ」でした。

ティモラッソってどんなワイン?

ティモラッソはピエモンテ南東部のコッリ・トルットネージ(Colli Tortonesi)で古代から栽培されていたブドウ品種で、収穫の時期が他のブドウよりおそく、ワイン造りに手間がかかったことから栽培する農家が減り、絶滅寸前のブドウでした。当時は今のようにワインが高値で売られておらず、労働力と時間の割に合わなかったのが大きな理由の一つだったようです。

そんな歴史のあるブドウの絶滅危機を救ったのが、ワイン生産者のウォルター・マッサ(Walter Massa)という人。ティモラッソの品種を蘇らせ世界的にも大注目される白ワインとなりました。

ティモラッソの特徴は植物や白い花のアロマと味。酸味とミネラルは強めでドイツの辛口白ワイン(ドライリースリング)に似た味わいで、熟成するにつれバランスがよく、しっかりと骨格のあるワインができあがります。白ワインのなかでも珍しい10年以上の長期熟成に耐えられる希少なワインです。

個人的に魚介の旨味が聞いたシーフードを食べるとき、頭に浮かぶワインのひとつで和食との相性もぴったりです。

ダヴィンチに選ばれたお祝いギフト

そんな希少価値の高い「ティモラッソ」には、レオナルド・ダヴィンチが好んで飲んだワインだったという伝説もあります。
ダヴィンチは絵画モナリザのモデルになった女性とも噂されたイザベラ・ダラゴナ(ミラノ公ジャン・ガレアッツォ・スフォルツァの妃)の結婚式のお祝いに「ティモラッソ」を贈ったとかそうでないとか。

ルネサンスの巨匠を魅了したティモラッソの味を、どうぞお試しあれ。

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