2月3日は節分の日。節分には「季節を分ける」という意味もあります。
移ろう一年の中で、四季を感じ、それぞれの時間に区切りをつける日本人の特別な暦。
そして、節分といえば、その時期に食べると縁起がいいとされる食材があります。
みなさまもよくご存知の通り、邪気を追い払うための豆撒きをして、年の数だけの豆を食べて、年の数と同じ数だけ福を身体に取り入れるという”福豆”の文化や、恵方を向いて無言で食べきると縁起がいいと言われる恵方巻きが有名ですね。
実は節分の日に食べると縁起がいいと言われている食べ物は全部で7つあると言われています。
豆だけじゃない。節分の日に食べると縁起の良い食材・料理
・こんにゃく
・イワシ
・そば
・けんちん汁
・恵方巻き
・くじら
・大豆
今日は、節分とイタリアンのコラボレーション。
イタリア料理でも大活躍の「イワシ」にフォーカスし、寒い冬に嬉しいアツアツのオーブン焼きのレシピをご紹介させていただきます。
鬼がイワシの香りが嫌いということもあり、オーブンで焼き上げた香ばしいイワシの香りで鬼払いもできてしまうという内容です。
イタリア料理の伝統や、イタリアの家庭料理を支えてきたマンマの技など数々の”豆”知識を交えてご紹介いたします。
節分に食べたい「イワシ」を使ったアツアツのオーブン焼きイタリアンレシピ
Sarde a beccafico(サルデ ア ベッカフィーコ)
今回は、パレルモ風です。ベッカフィーコはシチリア島でよく見かけられますが、有名なのはパレルモ風とカターニャ風。
カターニャ風にはカチョカヴァッロというチーズを使います。
「ベッカフィーコ」とは、鳥を意味しており、かつてシチリアの貴族達が狩猟の戦利品として食べていた鳥を、庶民が高価な鳥ではなく、イワシで真似したのが始まりと言われております。
イワシの中に詰めているパン粉やレーズンは、鳥のレバー等に見立てられているそうです。
イワシのアツアツオーブン焼き 4人前の材料
・イワシ×500g
・パン粉×110g
・エキストラヴァージンオリーブオイル×スプーン3杯
・干しぶどう×50g
・松の実30g
・ニンニク×1個
・イタリアンパセリ×1パック(葉のみ)
・ローリエ×イワシの本数分の枚数
・オレンジの果汁×2分の1個
・塩
・こしょう
・砂糖×10g
新鮮なイワシを用意します。鱗が多く残っているものがオススメです。新鮮な証拠です。脂がのっている物を選びましょう。
後ほど、オーブンで焼き上げますがその時に、イワシの脂が溶け出してジューシーに仕上がります。
また、イワシに含まれる脂には、中性脂肪、悪玉コレステロールを低下させて、動脈硬化に良く作用する効果がある事でも有名な良質な脂です。
イワシは【手開き】にしていきます。
手開きにする理由としては、後ほど中にパン粉を詰めて巻くためです。
イワシは小骨が多いので、小骨も綺麗に取り除くと食感のいい料理に仕上げられます。
フライパンにニンニクを入れて、弱火で加熱し、オリーブオイルに香りを移していきます。
きつね色になるまで加熱していきます。
使い込まれたフライパンですと、油がフライパンに染み込んでおり、焦げ付き辛いのでオススメです。
パン粉を加えて、さらにきつね色になるまで加熱して香ばしいしていきます。
いきなり強火ではじめてしまうと焦げやすいので要注意です。
弱火でじっくり、ゆっくりと優しく加熱していく事が大事です。
イタリアのマンマは、このようにゆっくりゆっくりやる事を「piano piano(ピアーノ、ピアーノ)」と言います。
思いやりの一声ですね。
パン粉に創意工夫を施して調理する技は、シチリア島で多く見られる技の一つです。
貧しい時代にチーズの代わりにパン粉を用いて代用したり、食材難の時代の「もったいない」から考案されて、今にその伝統が引き継がれているもの等、パン粉を使ったレシピには、それぞれに歴史と浪漫、マンマの愛が詰まっております。
現代では、伝統を繋ぐ目的で、過去を理解して「ricetta(レシピ)」として尊重され残されている事が多いようです。
イタリアンパセリを刻みます。
イタリアンパセリはバジルと並んでイタリア料理になくてはならないハーブです。
当たり前すぎてレシピに書いてなかったり、書き忘れたりする事もしばしば。
愛される続けているハーブの一角。
ご自宅のベランダでも簡単に育てられるので、キッチンハーブとして栽培されてはいかがですか?
ハーブは摘みたてが1番味も香りもバツグンです!
イタリアでも庭先でよくマンマが育てているのを目にします。イタリア的イタリアンパセリがある生活いいですよ!
アンチョビーのフィレは脂を切って2から3mm角に刻んでいきます。アンチョビーは旨味の塊です!。
イタリアでは、その料理の旨味の補填としてよくアンチョビーを使います。
イワシから造られているアンチョビー。イタリアでも多くの海でイワシが採れ、イタリア各地で愛されています。
今回は、イワシ料理にさらにイワシから造られているアンチョビーを使い、より【イワシの旨味】を楽しめるレシピとなっております。
イタリア各地で愛されるイワシ。
こちらはリグーリア州チンクエテッレから、イワシをモチーフにした雑貨。
今回のイワシ料理の発祥地であるシチリア島の海はこんな感じです。
写真はシラクーサという町の海。たくさんのイワシ料理があります。
ボールに、炒めたパン粉、刻んだイタリアンパセリ、干しぶどう、松の実、砂糖を加えて混ぜ合わせます。
混ざったらパン粉がしっとりとするだけの量のオリーブオイルを入れます。そうする事により、より一層ジューシー感が増していきます。マンマ直伝のちょっとした裏技です。
手開きをし、小骨を取り除き、下処理を施したイワシの両面に塩、こしょうをします。
塩をした数分馴染ませるやり方もありますが、今回はジューシー、しっとりを強調した造り方ですのでイワシの水分が抜けないように塩をしたらすぐに先程混ぜ合わせたパン粉をまぶしていきます。
鮮度のいい臭みのないイワシならではの技法です。
イワシに臭みが感じられる場合は塩をしたら15分ほど休ませて臭み抜きをするといいかもしれません。
臭み抜きをした場合には、必ずイワシから出た水分を拭き取りましょう。その水気の中に臭みが入っています。
使用する塩は、可能であればシチリア産の海の塩をオススメいたします。海から取れた食材に対して、やはり海の塩を使う事はシンプルに相性がいいと考えております。地の料理には、地の食材を使うことが本物の現地の味を再現する事に大切な要素だからです。
流通が良くなった現代では、ある程度食材を取り揃えやすいはずです!。
ぜひこの機会に、他のレシピにも汎用性の高いシチリア島の食材をあれこれ集めてみてはいかがでしょうか?
パン粉をまぶしたら、いよいよ巻いていきます。
このイワシを巻くという工程と、日本では2月3日にイワシを食べる文化からイワシを使うという工程をもじり今回のレシピ記事のタイトルに「イタリアの恵方巻き?」とさせていただきました。
今回のメインの工程となります。イワシの手開きから始まり、全ての工程がこの一瞬の為の丁寧な下ごしらえとなっております。ポイントは、イワシの尾っぽが上に来るように巻く事。
焼き上がりのビジュアルに影響します。
テラコッタの耐熱の器、もしくは耐熱のオーブン皿に巻いたイワシを敷き詰めていきます。
この時に、イワシを置いたら間にローリエの葉を1枚ずつ挟んでいきます。上から軽く炒めた時のパン粉を振りかけて化粧をしていきます。
仕上げにオリーブオイルと、搾りたてのオレンジの果汁をふりかけていきます。料理にオレンジがよく使われるのがシチリア料理の特徴です。
175度のオーブンに25分前後入れて、きつね色にこんがりと香ばしく焼き上がれば完成です。
しっかりと焼き切り、イワシの脂を出させて、中の具に吸わせるとジューシーにしっとりと仕上がります。
ギュウギュウにイワシを敷き詰める事により、適度に水分蒸発を防ぎ、なおかつイワシの持つ旨味を飛ばすことなく中身に吸わせる事が可能となります。
これもシチリアのマンマの技の一つです。
ちょっとだけで作っても味が出にくいので、イタリアのマンマになったつもりでたくさんの量で造る事が美味しく造れるポイントです。
節分に、イワシを使ったアツアツのご家庭イタリアンをご賞味ください
今回は、節分にちなんだイタリアのマンマが伝える家庭料理のレシピをご紹介しました。
今年もまだ始まったばかりと思いきや、あっという間に一年がすぎて行きます。
節分という日本の伝統的暦を、縁起の良いとされる食材を使った料理で感じながら、丁寧に時を刻むのはいかがでしょうか?
それでは、またイタリアの家庭料理のレシピをご紹介します。
それまでみなさまお元気で!
CIAO!