ラクレット
乳製品の美味しい北イタリア。冬、家庭で食べるチーズ料理といえばラクレットです。
ラクレットはそもそも、外は硬く中は弾力のある柔らい半硬質のスイスチーズの名前です。中世羊飼いがこのチーズをナイフで削り食べたことから、フランス語のracler(削る)に由来した名前がついています。イタリア・スイス・フランスにまたがる地域でよく食べられています。
イタリアのサイコロ状に切ったラクレットチーズを溶かして、焼いた野菜やサラミにかけて食べる料理です。料理と呼んでいいのか。チーズをかけるだけなのですが。
ラクレットはもともとスイスの料理です。スイスのチーズ料理といえば、チーズフォンデュが有名ですが、ラクレットはチーズを溶かすだけなので、ずっと簡単に作ることができます。実際、トリノの家庭ではラクレットの方が一般的です。
家庭でするラクレットは、2段になったホットプレートのような専用の機械を使います。これは、上段は野菜・肉を焼く用の普通のホットプレート、下段はチーズを溶かす用に、手の平サイズの小さな鉄板に持ち手がついたものが複数個ぐるりと入っているものです。トリノに来るまでで見たことがありませんでした。
とはいえ、そのためだけに年に数回も買っても使わないので。我が家ではホットプレートでラクレットをしています。
焼いたソーセージや野菜、サラミのうえにチーズをかけて食べるのです。サラミや小さい玉ねぎやきゅうりのピクルスも合います。シメはパン。フランスパンのような固めのパンとの相性が最高で、ずっと食べてしまうのが危険です。
ラクレット以外のチーズでも楽しむことができるので、私は余ったチーズをラクレットで消費しています。モッツァレラ・パルミジャーノレッジャーノ・ゴルゴンゾーラ・・・固いチーズはかなり小さく切らないと溶けにくいですが、チーズごとの違いが出て面白いです。ぜひお試しください!