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ダイエット中には見ないで!コモ湖の”禁断の”名物グルメ「ポレンタ・ウンチャ」

ITALIANITYロンバルディア特集KV

イタリアは日本と同じように各地に様々な郷土料理が存在します。なので、イタリア国内旅行の楽しみのひとつはなんといってもご当地グルメの食べ歩きです。さて、今回はそんな名物料理のひとつ「ポレンタ・ウンチャ(Polenta Uncia)」を紹介します。なんだか「Dr.スランプ アラレちゃん」ぽいネーミングですが、可愛らしい響きからは想像できない、なかなかの「禁断」グルメでした。ダイエット中の方はこれ以上先は読まないで下さい・・・。


「みんなに紹介したい、とっておきの場所があるんだ!」と連れられていった先は・・・

フィレンツェに住むアレッツォ出身の友達から「ロンバルディア州へ一緒に行かない?ミラノの友人たちが案内してくれるよ!」という嬉しいお誘いを受けて、ミラノ〜コモ湖への一泊二日旅行へ行ってきました。


「ミラノからコモ湖周辺へトレッキングに出かけるんだけど、そこでたまたま山小屋風の食堂を見つけたんだよ。入ってみたら最高で、それからというものよく行くようになったんだ。だから、フィレンツェからみんなが来たら絶対連れていきたいって思っていたところなんだよ」とは、今回ミラノ〜コモ湖を案内してくれるミラノ市民のファウストさん。ミラノ市民がミラノ市内のレストランではなく、わざわざ車で2時間近くかけて連れていきたいという食堂!これは期待せずにはいられません。


▲ クロット・ダ・グストの位置

車窓からのコモ湖風景
車窓からのコモ湖風景

ミラノから車で北上し、コモ湖に沿って風光明媚な湖水風景や豪華宮殿の数々を楽しみながらさらに北上、メナッジョという街から山間方面へと続く道を進んでいくと森林風景に変わります。細い山道を進んでいった先に目的地の食堂「クロット・ダ・グスト(Crotto da Gusto)」がありました。


クロット・ダ・グスト

ここは、ホームページも無く、途中に看板も出ていないような知る人ぞ知るといった雰囲気の食堂ですが、13時頃に到着すると既に駐車場には沢山の車が停まっており、続々と人がやってきました。「口コミの評判でこれだけの人たちが来るんだよ」とファウストさん。ますます期待が高まります。こんな山の中でいったいどんな料理を楽しめるのでしょうか。


山中にある山小屋食堂に続々と車や人が集まってきて、あっという間に満席に

ファウストさんが予約を入れてくれていたので予約席に案内されましたが、店内は既に満席でした。愛想のいい店員さんたちがやってくると、すっかり顔なじみのようで「いつもの!」といった感じでオーダー。


ミラノ〜コモ湖を案内してくれた友人たち
ミラノ〜コモ湖を案内してくれた友人たち

ハウスワインはロンバルディア州パヴィア産の赤ワイン、バルベーラ(Barbera)。ロンバルディアの料理にあわせたいのは、やっぱりロンバルディア州のワイン。イタリアではご当地ワインも旅行の楽しみの一つです。


ハウスワインはロンバルディア州パヴィア産の赤ワイン、バルベーラ(Barbera)

まず最初に出てきたのは前菜。様々な野菜のピクルスとゆで卵。ピクルスはここのハンドメイドでどれもとても美味。


まず最初に出てきたのは前菜。様々な野菜のピクルスとゆで卵。ピクルスはここのハンドメイドでどれもとても美味。

イタリアではお馴染み、生ハム類の盛り合わせ。プロシュート、サラミ、パンチェッタ、それにコッパと呼ばれる古代ローマ発祥の豚の首部分の肉で作られる生ハムなどがありました。私の住むフィレンツェでは必ず「フィノッキオーナ」と呼ばれるフェンネルで味付けしたサラミが混じっていますが、ここではやはり出てきません。


イタリアではお馴染み、生ハム類の盛り合わせ

続いて出てきたのがコテキーノ。コテキーノは主にモデナなどで食べられる豚肉のソーセージですが、私はこれまでスーパーなどで販売されているものしか食べたことがなく、油っこくて苦手意識を持っていましたが、ファウストさんたちから「ここのは美味しいから、まずは食べてみてよ」ということで一口食べてびっくり。ここのハンドメイドのコテキーノは、くどくなく美味しくいただけました。


コテキーノは主にモデナなどで食べられる豚肉のソーセージ

コテキーノと一緒に出てきたのが、今日の目的ポレンタ・ウンチャになる前のただのポレンタ。日本では全く馴染みのないイタリア料理ポレンタですが、中部より北ではよく食べられる非常にポピュラーな料理です。


ポレンタ・ウンチャになる前のただのポレンタ

ポレンタには3種類あり、中部から北で幅広く流通している最もスタンダードなポレンタがトウモロコシの粉をつかった黄色いポレンタ。それから中部ではほぼ見かけず北イタリアやアルプス地方でよく食べられるのがそば粉とトウモロコシ粉をミックスしたポレンタ・タラーニャ。さらにポレンタの中で一番珍しいのが北イタリアのベネト州でしか見かけない白いポレンタ。この地域で収穫される白いトウモロコシから作られているので白い色をしていますが、ベネチアで初めて見た時は何かわからなかったほど。


黒い粒が入っているのがポレンタ・タラーニャ
黒い粒が入っているのがポレンタ・タラーニャ

私は個人的にポレンタで一番好きなのが、風味が強いそば粉ブレンドのポレンタ・タラーニャなのですが、ここクロット・ダ・グストで出てきたのがポレンタ・タラーニャで気分が上がりました。


コモ湖の名物、「ポレンタ・ウンチャ」とは?気になるお味は?

さあ、続いていよいよお待ちかねのコモ湖名物ポレンタ・ウンチャの登場です。店員のおじちゃんが笑顔で運んでくると、フィレンツェからやってきた私たちから歓声が上がりました。


コモ湖の名物、「ポレンタ・ウンチャ」

これまでイタリアで見たことのない、クリーミーとろとろ系の料理。ポレンタ・ウンチャのウンチャ(uncia)とは「油が多い」という意味で、文字通り溶かしバターがたっぷり入ったポレンタです。ポレンタをバターとフォンティーナなどのとろけるチーズで調理した料理で、言わずもがなのかなり高カロリーな一品です。ダイエット中の人には禁断のポレンタ・ウンチャ。ちなみに、北イタリアのヴァッレ・ダオスタ州にはポレンタ・コンチャ(polenta concia)という料理があり、コンチャは “たくさん混ぜた” というような意味合いで、牛乳やチーズを混ぜています。


コモ湖の名物、「ポレンタ・ウンチャ」

かき混ぜるとこの通り、チーズがとろ〜りとポレンタ・タラーニャに絡んでいきます。


コモ湖の名物、「ポレンタ・ウンチャ」

口に入れるとチーズのコクとバターの風味が口いっぱいに広がり、見た目通りのかなり濃厚な味わいです。容器にへばりついた「オコゲ」の部分がこれまた最高で、カリっとした食感のチーズも絶品。この時ばかりはカロリーのことは頭の片隅へ追いやり、チーズとバターのハーモニーをしっかり堪能しました。


コモ湖の名物、「ポレンタ・ウンチャ」

ちなみに「これは、どんなチーズが入っているのですか」と店員さんに聞いたところ、「お店にある残り物を色々!」ということでした。


コモ湖の名物、「ポレンタ・ウンチャ」

こってり料理の後に、「ちょっとしょっぱい系が食べたいかも・・」と思ったところへ、メインディッシュのお肉3種盛りが運ばれてきました。ウサギ料理、チキン料理、そして牛肉の赤ワイン煮込み・ブラザート。


ウサギ料理、チキン料理、そして牛肉の赤ワイン煮込み・ブラザート

いやはや毎回思うことですが、イタリア人たちは本当によく食べます。食後にはチーズとで手作りケーキの盛り合わせが運ばれてきました。


ウサギ料理、チキン料理、そして牛肉の赤ワイン煮込み・ブラザート

コモ湖の名物「ポレンタ・ウンチャ」は、バターもチーズもたっぷりのハイカロリーな「禁断」グルメでしたが、濃厚な味わいがクセになる料理でした。イタリアにはまだまだ面白い料理があるものだな〜、とまた一つ新たな発見となりました。これからも、日本にはまだ知られていないイタリア料理もご紹介していこうと思います。


今回ご紹介した「クロット・ダ・グスト」は電話でしか予約できませんが、必ず事前に電話予約をしてください。ホームページもないので、営業日や営業時間も事前に電話でお確かめくださいませ。


Crotto da Gusto(クロット・ダ・グスト)

住所 Località Monti di Gottro Carlazzo, Menaggio Italia

電話 +39 0344 70040

URL(トリップアドバイザー) 

https://www.tripadvisor.it/Restaurant_Review-g194821-d967025-Reviews-Crotto_da_Gusto-Menaggio_Lake_Como_Lombardy.html